第1話 転生マフィア王、いきなりギャンブル勝負
「……ここ、どこだ?」
目を覚ました桜井カズマは、天井の豪華なシャンデリアを見上げて呆然としていた。前世の自室とは比べ物にならない豪華さだ。絨毯の感触も、ソファのふかふか具合も、尋常ではない。
「ボス、お目覚めですか!」
声がして振り向くと、そこには黒スーツの男たちが整列していた。その中で一番派手な女性が前に出て、深々と頭を下げる。
「……え、私、マフィアのボス?」
「そうです、ボス。あなた様がこの組織の新たなボスです!」
桜井カズマは心の中で叫んだ。
(いや、転生とか聞いてないし!前世は普通の会社員だぞ!)
しかし、状況は待ってくれない。部下の一人がカズマをギャンブルテーブルへと引っ張った。異世界では、マフィアの権力はギャンブルで決まるらしい。
「今日の勝負は……ルールは簡単。ブラックジャックで勝った方が組の全権を握る!」
カズマの目の前には、分厚いチップの山と、笑みを浮かべたルナという魔法使いが座っていた。負けず嫌いの彼女は、勝負となると容赦しないらしい。
カズマは心の中で計画を練った。
(ここは現代知識フル活用……トランプの裏に超薄い魔法の印を刻む。これで勝率ほぼ100%……いや、ちょっとギリギリだけど。)
ゲーム開始。
ルナ:「ふふ、ボス、まずはチップを賭けて。」
桜井カズマは小さく息を吐くと、さりげなくカードに指を滑らせ、微細な魔法印を発動。瞬間、カードの数値が少しずつこちらに有利になる。
「……さて、行くか。」
ルナは魔法でカードを操作するが、カズマも現代知識+インチキ魔法で応戦。お互いに数字が増えたり減ったり、何がどうなっているのか周囲にはまったく理解できない戦いが繰り広げられる。
そこへボボ(モンスター部下)がテーブルに飛び込んできた。
「にゃはは!ボス、チップ食べていい?」
「……いや、食べるな!」
笑いながらチップを口に放り込むボボに、ルナも思わず吹き出す。
「ボス!これ、勝負が台無しに!」
カズマ:「……じゃあ、最後は運で!」
結局、最後の一枚を引いた瞬間、カズマの勝利が決まった。ルナは悔しそうに肩を落とすが、笑いも止まらない。
「ふっ……ボス、いきなりこの強運。さすがです。」
カズマは微笑みつつ心の中で呟いた。
(転生してマフィアのボスになったけど……毎日こんなギャグとギャンブルとイカサマの連続か……楽しくなりそうだ。)
こうして桜井カズマの異世界マフィア生活は、笑いとトラブル満載で幕を開けた。
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