クラス転移 〜非戦闘スキル『同級生探知』を授かった俺は『チート能力』持ちのいじめられっ子とデスゲームを勝ち抜く〜

@umino9643

第1章 いじめとクラス転移

第1話

「や、やめろよっ! 可哀想、だろ」


 時刻は昼の12時20分。晴れ。昼休み。とある高校の校舎裏にて。


「お前さぁ〜〜〜〜」

「自分がいったい何やってるか――」

「分かってンのかゴルァ――!?」


 金髪ベースに黒メッシュの池呂瑛斗いけろえいと

 赤い丸刈りの勝居蒼太かついそうた

 こげ茶のオールバックの管生悠すがいゆう

 3人の男子生徒が。


(あ〜あ、やっちまった、俺。学園生活終了だな……)


 普遍的な黒髪の男子生徒・阪辺翔真さかべしょうまと対峙していた。


「あ……あ……」


 そして、すぐ近くで手と膝を地につけている、眼鏡を掛けた冴えない男子生徒・落久保理仁おちくぼりひと


 理仁が、瑛斗・蒼太・悠の3人からいじめられようとしているところを、翔真が庇ったのだ。


 だが当然敵うはずがなく。


「おらァ!」瑛斗が、翔真の腹を殴る。

「あぐッ!? 理仁……早く、逃げ……」腹を押さえうずくまる翔真。


「あ……あ……ひぃぃぃぃッ!!」おぼつかない足取りで逃げ出す理仁。


「休んでんじゃねぇ!」蒼太が、翔真の両肩を掴んで起こし投げ飛ばす。

「うぁっ」近くの低木に後頭部から突っ込む翔真。


「まだまだ終わんねーゾぉ!」悠に両足首を掴まれ引っ張られる。

「うぐぐ……」低木から引きずり出される。


「どっこいしょー!」そのまま振り回され投げ飛ばされる。

「がぁッ――」背中から地面に激突する。


(俺、やばい、このままだと)


 翔真が死を悟る。


「ここで、デカいの一発――」

「くっ……」


 瑛斗が大きく拳を振りかざした、その時。


「そこまでだ――」


 筋骨隆々の男子生徒・埜上一心のがみいっしんが、瑛斗の手首を掴んだ。


「なッ――お前は、埜が、ぐはッ」

 一心が、瑛斗の頬を殴る。


「てめぇ――んごッ」

 駆け寄る蒼太のエルボーをダッキングでかわし、腹に拳を入れる。


「舐めてんじゃ――ぐぉッ」

 気怠げに立ったままその場を動かない悠に、悠然と近寄り、素早く背負投を決める。


(や、やっぱり、埜上くん強い……強すぎるよ……)


 心の中で感心する翔真。


「観念しろ」


 軽薄な学徒相手に3対1で圧倒する漢・埜上一心。校舎裏に屹立するその姿は、巨人の如し。


「「「お、覚えてろよ!」」」


 各々頬、腹、腰をそれぞれ押さえながら歩くような速さで駆け出し逃げる瑛斗と蒼太と悠。


 ◇◇◇


 保健室にて。昼の12時30分。


「いてて……悪いな、埜上。これ先生にチクったら解決したり――」

「しないだろうな」


 一心が、翔真の傷の手当てをしていた。

 ふたりきり。養護教諭の姿は見当たらない。


「だよな〜。ここは揉み消す所だよな……」

 翔真が落胆する。


「阪辺お前、よくあそこで飛び出したな」

 一心が仏頂面なまま声に僅かに抑揚を乗せる。


「困ってる人は放っておけないでしょ」

 翔真が己の信条を言う。


「お前、あの程度の腕っ節じゃ、いずれ殺されるぞ。今度から落久保じゃなく阪辺がいじめられる」

 状況を分析し憂う一心。


「分かってるよ。けど、俺がいなくなったらまた落久保が引き続きいじめられる。それはまずい」

 翔真の決心は揺るがない。


「あいつなんかに、そこまでするか?」


「……それより、登場タイミング良すぎて助かったよ」

「一部始終をずっと見てたからな」

「はぁ!? 眺めてないで助けろっての!」

「落久保が自力で打開できるか見守ってた」

「できるわけないじゃん……」

「そんなことは無い。非力でもやりようはある。こっそり小石を握って、一番近くにいる奴の顔めがけて投げる。三人揃って怯んでる隙に校舎内に逃げる。それから無断で早退し――」

「はいはいそこまでそこまで! そんな都合よくいくかね……」

「やってみなけりゃ分からんだろ」


 打ち解けるふたり。


「はぁ。埜上なら出来るだろうけどさ、マッチョだし。そもそも3対1で喧嘩勝つし。……なぁ、何で埜上はそんなに強いんだ?」


 翔真が踏み込んだ質問を投げる。


 と、ここで。


「それは――ん?」


 突如、周囲の空間が歪む。


「なっ――何の光だ!?」


 そして、ふたりとも強烈な光に包まれて――


 ◇◇◇


 光がやがてしぼんでいき――


「ん――ここは……?」


 翔真が、両目を塞いでた腕を下ろす。


「何が起こったんだ……?」


 一心が、周囲を見回す。


 粘性の高いラメ入りの瑠璃色の液体が1000平方メートルほどの円形の地面に広がり、それは端で溢れ落ちている。円の外側は四方八方が星々煌めく紺青色の宇宙空間である。


 が、翔真も一心も、硬い床の上にいるかのように立ち、問題なく呼吸できている。


「ぱんぱかぱーん!! おめでとうございます! めでたく、我が3年C組の30名のうら若き少年少女たちが、異世界転移する運びとなりました〜〜!! ぱちぱちぱち〜〜」


 円形の中央に、女神がいた。


 金色の腰丈の長髪。銀色の葉でできている髪飾り。純白を基調とした金色の刺繍のドレス。豊満な胸。谷間と横乳。やや健康的過ぎるほどの膨らみがある太ももが覗く。裸足。


「えっ、柚希みずき先生!? どうしたのその格好!?」


 ひとりの女子生徒がすぐに、この女神の顔立ちをて、正体が3年C組の担任・本邑柚希もとむらみずきであると見抜いた。


「何なに、コスプレ!? や〜〜先生綺麗過ぎ!!」

「うひょ〜、めっちゃ美人! 写真撮っていいすか!? ――あれ、スマホが無い! 何でだよ!?」

「私も無くなってる! 首に下げてたはずなのに!」

「ってかここどこだよ!?」

「確かお昼休みだったはすだけど……」

「購買の揚げパン無くなってるんですけど!? ちょうど袋開けたところなのに! ラスいちだったのにぃ!」


 昼休みを謳歌していたところ突然、制服姿なまま、所持品を没収され、見ず知らずの場所に飛ばされた3年C組の生徒らが、騒ぎ出す。


「はいはいはい! みんな静かに!」


 先生と呼ばれた女神姿の女性が掌を叩きながら静寂を促す。


「――ここは、異世界『ウィルドラド』です。地球の遥か彼方の星にあります」


「「「えええ〜〜〜っっっ!!」」」

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