脳筋と少女たちの探索Log〜魔法が使えない脳筋は少女たちとの出会いによって伝説を築いていく〜

ちゃっぴぃ

第1話


 001




 夏のとある土曜日。




 A級ダンジョン虹色の道。

 国内上位の危険なダンジョンで知られている。  

 ダンジョンでは珍しい一層のみで構成され、とんでもなく広い。

 加えて多種多様な地形と殺意高めの魔物が生息している為、上位の探索者しかダンジョンに入ることは許されていない。


 そんな危険なダンジョンが探索者を中心に話題になっていた。


 きっかけは配信。

 ダンジョンでは多くの探索者が配信をしながら探索をしている。

 これらはエンタメとしての側面もあるが、探索者達のリスクを減らす役割も兼ねていた。


 探索者界隈がざわつき始めたのは、あるパーティーが配信する画面に二人の女の子が映り込んだのが最初だった。

 その後も他の配信にて森の中を元気に走り抜ける少女の姿が一瞬ではあるが何度か映り込むようになり、視聴者達が騒つく。


 それからまたしばらくすると女の子二人組が別の配信にて目撃された。

 これまでの配信では一瞬しか捉えられなかったが、今回は女の子達の姿がはっきりと映っていた。


 その姿はどう見ても小学生か中学生にしか見えない幼き女の子。


 驚くことに二人はまるで遠足にでも行くような格好をしており、背負っているリュックサックが大きく見えるくらいには彼女達の身体は小さかった。そんな女の子が配信画面に映された姿は衝撃的な光景だった。


 地響きを伴いながら叫び、荒れ狂うオーガの群れが怒号を発しながら女の子達を追いかけている。そのあまりにも絶望的な状況に出くわした探索者達は唖然と固まってしまう。


 しかしそれはほんの一瞬で、すぐに女の子を助けるべく動きだす。

 彼らは上位の探索者ということもあり、的確に指示を出しオーガの群れ、ひいては女の子達の元へと全力で走り、助けるべくオーガの後を追う。


 しかし彼らが追いつくことはなかった。

 むしろ距離がどんどん離されていき、いつのまにか見えなくなっていた。


「え?」

「嘘でしょ」


 探索者のパーティーが息を切らしながら立ち尽くす。

 彼らの目線は経った今、オーガ達が過ぎて行った場所だった。






 ▽▼▽





 同日。

 探索者歴十年の26歳、ベテラン探索者であるロベルトも『虹色の道』で配信をしていた。

 探索者界隈ではロベルトの配信は特殊な部類に入る。


 普通、探索者の配信とはダンジョン内で魔物と戦ったり、何らかの素材を採取している所を映すのが一般的と言えるだろう。

 しかしロベルトの配信は延々と彼のトレーニング風景を流すという異質なもの。

 身長2m10cmという恵まれた体躯にアスリートを凌駕する人間とは思えないような筋肉。全てにおいて己の身体で解決してきた男は界隈では超絶異質な存在。


 まずウォーミングアップで森を走り、巨大な岩を持ち上げ筋トレ。極めつけは武器無しで魔物相手に真正面から体当たり。

 いかにも脳筋が考えそうなトレーニングを馬鹿みたいな質量で毎日飽くなくこなす。

 強くなる為に髪を整える時間が無駄だと丸坊主にし、食事を考えたり作る暇があったら鍛えたいという思想を持つロベルト。



 そのため配信は強さを求め黙々と鍛錬。



 配信としては極めて地味。エンタメ要素皆無、もちろん飽きて離れていく視聴者もいるが、それでもロベルトを好んで配信を見に来るファンは多い。

 それは彼ほど誠実に己に向き合い、強くなる為にまっすぐ、ひたすらな探索者はいないから、視聴者達は彼のそんな姿に惹かれるのだろう。



 ロベルトは今日も森の中を全力で走る。



 バキッ――ボギッ。



 枝が折れる音が森の中に響く。

 草木や小枝等は避けずに突っ切るスタイル。故にロベルトが通る道は賑やかな音を鳴らす。

 ロベルト曰く、まっすぐ走った方が走ってて気持ちが良いらしく、バキボキと騒がしく音を鳴らしながら彼は淡々と森を走る。

 それに加え痛みを対する耐性が出来ると思っているらしく、ロベルトが身体は小さな傷が絶えない。


 視聴者はそんなロベルトを笑いながら見ていると、コメント欄が次第に騒しくなりコメントの流れが早くなっていた。


『今、女の子映ってなかった?』

『女の子やん』

『確かに映ってたな』

『ようじょかわいい』

『あの子たち大丈夫か?』 


 コメントの流れに気付いたロベルトが足を止めてひと通りコメントに目を通す。

 そのほとんどが『女の子がいた』というもので、ロベルトはまたかと言わんばかりな表情を浮かべ、


「ぷっ。みんな彼女居なさすぎて幻覚でも見たんじゃねーの?」

『お前が言うなロベルト』

『は?脳筋が煽ってんじゃねーぞ』

『まじでジャージの女の子が映ってたぞ』

「え?ジャージ姿の女の子?いやいやいやいや、そんな馬鹿なヤツいないだろう!ダンジョンだぞここは」


 怪訝な表情を浮かべロベルトがそのように返すとコメント欄からツッコミが飛ぶ。


『ロベルトもジャージやん』

『おまいう二回目』

『ブーメランで草』

「あ、そうか。そういえば俺もジャージだったな!ガハハハハ」


 高笑いするロベルトに視聴者が総ツッコミ。


 そう。

 ロベルトもジャージにTシャツでダンジョンに来ているのだ。

『探索者としてどうなの?』という言葉はこれまで多くの先輩や同僚に貰ってはいるが、ロベルトは頑なにこのスタイルを貫いていた。


 そしてコメント欄に女の子たちの新たな情報が寄せられる。


 短い動画クリップ付きのコメントなどが増え、それを見ると確かに女の子だった。

 しばらくの間、ロベルトは視聴者達と何でダンジョンにいるんだろうと議論を交わしていると、とんでもない最新情報が寄せられた。


『【緊急】ロベ兄、これ見てくれ!/動画』

『おい!やべえぞスタンピードか』

『オーガ?何体いんだよ?』

『女の子たち早く逃げてくれぇぇ』


 寄せられ動画はオーガの群れに追われている女の子たちの動画だった。


 ロベルトは目を見開き食い入るように動画を見ると、すぐに真剣な眼差しで視聴者へと語りかけた。


「みんな頼む!情報をくれ。この動画の位置情報とオーガの進行方向。それに俺のいる場所から進行ルート。進行ルートは合流予想地点でかまわねぇ」

『了解、今計算する』

『とりあえずオーガの進行ルートはこれな』

『ロベルトあの子たちのこと頼んだぞ』


 情報はすぐに集まった。


 それからロベルトは背負っていた剣を取り出し「クソッ!大剣持って来とけば良かったぜ」と顔を歪ませ走り出す。


 目指す先はオーガの群れ。


 鬱蒼と茂る森の中。

 ロベルトは時折剣を振り回し森を駆けた。

 極限まで鍛えた大きな身体。それに似合わないような走力とバランス感覚。

 倒木や岩を飛び越え、足場の悪い所は左手を地に付け低い体制で獣のように走る。

 常日頃の鍛錬が生かされる。

 魔法無しの状態でこのように身体を使いこなせるのはロベルトの他にいない。


 ロベルトはとにかく夢中になって走った。

 時を重ね、合流予想地点に近づく。

 だが魔物の気配は一切感じない。

 森はやけに静かだった。

 その静寂がより一層、ロベルトを焦らせた。


 そしてそんな時に一つのコメントがロベルトの目に止まる。

『【緊急】最新情報!/clip』

 ロベルトは走りながら画面を操作し動画を見る。

 そこに映された映像は衝撃的だった。


 一人の女の子が消えたと思ったら、突然オーガの前に現れ――腹パン。

 オーガは勢いよく飛ばされ後ろにいたオーガ達を巻き込んで木に激突。 

 すると今度はオーガ達が逃げ出し女の子たちが追いかけるという意味が分からない構図となった。 

 

 これには流石のロベルトも足を止めた。


「え。す、す、凄くない?」

『やばいよやべえよ』

『人間なんかな?』

『速すぎて見えねぇ』

『ようじょ最強』

『と、とんでもないな』

『俺、オーガ殴って吹っ飛ばす人初めて見たわ』


 信じられない光景だった。

 三メートル近くあるオーガに素手で殴り飛ばすという事自体があり得ない。


 それに。

 女の子たちは楽しそうに笑っていた。これもまた信じられない光景だった。


 ロベルトはふと我に返り動画を何度も見返していた。

 その表情は目を輝かせ喜色の笑みを浮かべていた。




 


 ▽▼▽


 




 一方。

 世間を賑わせている女の子二人組はオーガ達との遊びに満足し、ゆっくりと歩きながら森の中を探索していた。


「楽しかったねー!沙希ちゃん」

「うん!楽しかったー!でもうちの村にいる鬼さんよりも足遅かったかも」

「きっとお腹すいてたんね」

「ふふっ。そうかもー」


 二人は顔を見合わせゲラゲラと笑い合う。

 沙希とみなみにとって魔物と遊ぶのはいつもと変わらない日常であった。


 仲良く並んで森の中を歩く二人。


 スーパーやコンビニもない村出身の沙希とみなみが、この迷宮都市のダンジョンに来ている理由の一つが夏休みだからである。

 二人は遠く離れた村から、沙希の姉が住む迷宮都市に遊びに来たのだ。


 大きなビルや商業施設が立ち並ぶ都市に初めこそ興奮したものの、二人は早々に飽きてしまう。

 というのも人が多くて走れないし、危ないから魔法も使えない。目の前に広がる景色は空を覆うほど高い建物ばかりで変わり映えがなく、二人は何となく気持ちが萎えてしまった。


 そんな萎れた沙希とみなみを見て、沙耶がこの場所――ダンジョン――を教えてくれたのだ。


 そして二人にダンジョンを勧めた沙耶はというと、昨日は久しぶりの再会ということもあり話が弾み、それから『沙希みなちゃんと会うのは久しぶりだから』という謎理論を引き合いに酒を持ってきて晩酌。

 己の欲望にはめっぽう弱い沙耶は浴びるほど酒を飲んで上機嫌。

 その結果。

 妹達の面倒をしっかりと見なさいね、と釘を刺されたにも関わらず、その釘は酒により僅か半日で跡形もなく崩れ、沙耶は二人を放置し、現在は泥酔し自室にて爆睡している。




 沙希とみなみが森の中を散歩していると、奥の方に魔物の姿が見えてきた。


「沙希ちゃん見てー蜘蛛がいるよー!」

「あ、本当だ!大っきいやつじゃん!」

「ねぇねぇ。久しぶりにスパイダーマンごっこしようよ!」

「おっ。いいね!やろやろ。そんじゃ、アイツ捕まえようぜ!」


 たたたと駆け出すみなみの後を沙希が追う。


 みなみのいう蜘蛛とはデススパイダーと呼ばれている魔物。ダンジョン黎明期にとある魔法士が名付けた魔物で体高三メートルを超え、糸を吐き出し強力な顎の力で人間を捕食し、探索者界隈では恐れられている魔物だ。


 そんな魔物と対峙する二人は楽しそうにはしゃいでいた。


 シュッシュッ。

 高速で吐き出す糸を木を蹴り飛ばして難なく躱していく。

 魔物が糸で捕獲網を作っていくのに対し、みなみがドヤ顔で魔法を放ち網を削っていく。

 糸と魔法が高速で飛び交う空中戦。少しでも気を抜けば身体ごと糸に持ってかれるであろう状況。

 そんな中でも二人はきゃっきゃと笑いながら楽しそうだった。


 次第に魔物との距離が縮まっていくと、


「沙希ちゃん」

「おっけーまかせろ」


 みなみの合図に沙希が応える。


 沙希が魔物に向け手をかざすと沙希の周囲に十個の光が現れ、魔物へと魔法が放たれる。

 ピシ、ピシッと魔物の体表が色を変え音を奏でた。

 そして魔物の口と脚が凍結。

 魔物は身体を揺らし脱出を試みるが、それも叶わず、その場から一歩も動けない状態。


 そして動きを封じられた魔物にみなみが近づき、魔物の腹に両手を当て、元気よく「スティール」と声を上げた。

 すると、みなみの手には大きな糸の塊が二つ現れ、二人はやったーと叫ぶ。

 その嬉しさ溢れる表情は年相応の無邪気な顔をしていた。


 それから二人は魔力糸を使って遊び始める。


 地上と空中、障害物だらけの森の中を二人は縦横無尽に飛び回る。

 二人の姿はまさに飛んでいるという感じだった。


 実はこの魔力糸の操作は比較的難易度が高い。


 まず魔力糸を射出するのが難しい。

 むしろ魔法の方がハードルは低い。

 魔法よりも難しいという理由は、物質を経由して魔力糸を操作しなければならないという点だろう。

 剣や盾を通して魔法を放つような感覚なのだ。

 しかし沙希とみなみにとっては慣れたもの。

 小学校に入る前、みなみがスパイダーマンを見て「みなみもあれやりたい」と言ってから、十年近くはこの遊びをやっている。


 森の中を飛びなら二人はどんどん森の奥へと進んでいく。


 途中、探索中のパーティーがいたので通り過ぎる時に「こんにちは」と挨拶。

 探索者達は驚いた顔をしていたが、しっかりと挨拶を返してくれたので二人は嬉しかった。


 沙希とみなみが挨拶をしたのは母親から登山客の習慣を聞いたからであり、いつかやってみたいと二人は思っていた。

 実際には登山とか下山とか関係なく、突然頭上から声を掛けてあっという間に過ぎ去っていくという、相手をただただ驚かせる挨拶なのだが、村を出たことがない二人にとっては初めての社会での交流でもあり、大きな一歩でもあった。


 そして挨拶が返ってきたことが嬉しかった二人は、この後、何度も飛びなら声を掛け探索者達を驚かせていた。






 ▽▼▽






 ロベルトは探索――トレーニング――を終えると足を運ぶ場所がある。

 元パーティーメンバーの大輝が営む焼き鳥屋だ。


 ロベルトは基本、強くなる為に必要な情報には興味はあるが、それ以外の事柄に対しての興味は極めて薄い。

 食事もそのひとつ。

 筋肉の為に必要な栄養素はすらすら答えられるが、食事を作る時間があったらその分トレーニングに時間を割きたいという考えを持っている為、昔の食事はプロテインとサプリメント飲んで終了ということが多かった。


 それらを見兼ねた仲間達が、ロベルトにちゃんとした食事を摂るように働きかけ現在に至る。

 焼き鳥屋の店主、大輝はいわばロベルトの栄養士を務めているようなものでもあり、パーティーを解散してからもその関係は続いていた。


 そんなロベルトだが昔から脳筋という訳ではなく、探索者という世界に身を投じてから、より深く脳筋よりの思考になっていった。

 それはダンジョン黎明期なら筋力が何よりも優先されていたが、現在は残念ながらそうではない。

 魔法技術が広く伝わったことで、より深く、高いレベルで魔法が使われ、探索者の活動に魔法は必要不可欠な技術。


 しかしロベルトは魔法が使えなかった。


 正確には探索で使えるレベルの魔法が使えなかった。これは探索者にとっては大きなハンデであり、それを補う手段として自分の身体を鍛えるしかなかったので、脳筋よりの思考になってしまったのだろう。

 もちろん脳筋としての素質は最高レベルで潜在していたが……




 大輝の店はカウンター席十五席のこじんまりとした店で、焼き鳥屋として開いているがロベルトの食事の件もあって、日替わりで結構な種類の料理を出している。

 ロベルトが店に入ると大輝の威勢の良い声が出迎えた。


「お疲れリーダー!飯はもう出来てんぜ!」

「おう!ありがとな大輝」

「今日、凄かったな!いやマジでビビったわ」


 人懐っこい笑顔を向ける大輝にロベルトが笑顔で応える。


 大輝のいう話はもちろんジャージの女の子たちのことだろう。

 ロベルトがダンジョンから帰る際に、ダンジョンのロビーでもかなり話題になっていた。

 その際に仲の良い探索者から聞いた話によると、あの女の子たちは夕方にはダンジョンを出たらしく、彼女達はお姉さんの面倒を見なければいけないそうで足速に帰って行ったようだ。


 ロベルトはいつもの席に腰を下ろし、タブレットで探索者のタイムラインに目を通す。


 今日のタイムラインはあの女の子たちの話題で賑わっていた。

 探索者専用のタイムライン上に千を超える動画クリップが貼られ、探索者達の検証・考察が重ねられている。ここまでタイムラインが賑わっているのは久しぶりだった。


 難しい顔でタブレットを睨むロベルトに大輝が声をかける。


「はいよリーダー!筋肉定食メガ盛り」

「あぁ、悪いな」

「あれ見てたんか?例の女の子たち」

「あぁ、うちの配信にも映っててな。ちょっと気になってな」

「今、その子たちバズってるぜリーダー。俺もクリップ見まくったけど、あれはやばい。久々の本物って感じだぜ。残念なのが映像が全部小さく映っているだけなんだよなー」


 残念そうに表情を歪める大輝。 

 彼女たちは本物だという意見にはロベルトもまた同じ意見だった。


 クリップに貼られた検証・考察の議論を見ても彼女たちの身体能力は異常。

 他の探査者と比べても群を抜いて飛び抜けている。


 あるクリップでは高さ十メートルは軽々と飛んでいると推測され、また他のクリップでは森の中を最速と言われている探索者を超える速度で走っていることが解明されていた。

 オーガを殴り飛ばしているクリップでは、高速道路を走るトラックと衝突した時の衝撃と同じではないかと考察されている。


 ロベルトは焼き鳥を頬張りながらクリップを見漁っていると大輝が笑いながら、あるクリップを勧めてきた。

 そのクリップを見てみると女の子たちは手から糸を出し、森の中を飛び回っている映像だった。

 あまりの映像に驚愕し固まるロベルトを大輝が笑い飛ばす。


「か、彼女たちは魔物なのか?」

「ガハハハハ、んな訳ないじゃんリーダー。なんか話によるとこの付近で糸を出さないデススパがいたから、多分そいつから糸を抜いたんじゃないかって話だぜ!」

「そ、そうか。なぁ大輝、彼女たちは何で危険を冒してまで魔力糸を取ろうと思ったんだろう」

「そりゃアレじゃねーかな。スパイダーマンに憧れてたとか?」

「な、なるほど。俺には理解できん」

「ガハハ、俺もだよ。でもこのクリップの笑い声聞いてたら、すんげー楽しそうでなんかほっこりしたぜ」


 確かにな、とロベルトは頷く。

 ロベルトが探索者として活動を始めたのが十年前。あの頃はただ探索しているだけで楽しかった。ちょっとした発見で喜び、初めて見る景色に感動し、魔物が出るたびにワクワクしていた。


 懐かしさに浸りジョッキを傾ける。

 ソロになって半年。

 そういう意味では俺もまだまだこれからじゃないか、とロベルトは一人で納得し気合いを入れ直す。

 ふとしたきっかけで初心に帰ったロベルト。テーブルの前に置いてあった山盛りの料理はいつの間にか半分ほど減っており、再びタブレットに目を向け焼き鳥を頬張った。

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