妖精とお菓子屋さん〜転生後、濡れ衣で婚約破棄&追放されたのでお菓子屋さん始めました!〜【改訂版】

つきがし ちの

第1話 妖精のいたずらと婚約破棄



「妖精のいたずらにかこつけて、エクレア嬢の宝石を盗むなんて何事だ!!」



私の婚約者はそう言うと、私にそのアクセサリーを突きつけました。


そして、私の婚約者の隣にいた美しい金髪ブロンドの豪華な縦巻きロールの令嬢は……



「ひどいわ、シュガレット子爵令嬢……私……ただあなたと仲良くしたかっただけなのに……」



なんて言って肩を震わせてシクシクと泣かれておられました。


この時私がすでに前世の記憶を取り戻していれば「あんたそんな性格じゃないじゃん……」と、前世の私が頭の中でつぶやいていた可能性はございますが…


残念ながら当時の私は、転生した記憶がなく、年相応の性格の令嬢でございましたために、身の潔白を証言するだけで精いっぱいでございました。



「私は盗んでなどおりませんわ!」



「うそをつけ!エクレア嬢が羨ましかったのだろう?君の家は家計が逼迫していてこのような豪華なものは買えないからな」



「そんな…」



証拠がないこの状況で『心当たりがありません』だなんて申し上げても、政治家の『記憶にございません』レベルで信用がございません。


なので当然……



「素直に認めれば、まだ潔いものの……他人のものを盗むような人間と婚約関係など結べない。君との婚約は破棄させてもらう!!」



このような処置がとられるのは当然なのでございました。


当時は号泣いたしましたっけ……












しかし月日が流れるのは早いもので、それから3年前がたちました。


盗みの濡れ衣を着せられた私は、父の爵位返上を回避するために、貴族社会から追放されることになりました。


さぞかし悲惨な生活をしていることだろう……と想像されるかもしれません……。



いえ、昨今の流行を考えると、転生者がそんな悲惨な庶民生活を送っていないことの方がベターでございましょうか?


だとしたら、その想像を私は裏切りませんわ。



現在私は……と言いますと……






「いらっしゃいませ」






名前を変えて、小さなお菓子屋さんを切り盛りしているオーナーでございました。


ちなみに従業員はオーナーの私、ノエル・シュガレット改めノノ・シュガーと……






「「「「「「いらっしゃいませ!!」」」」」」






手のひらサイズの小人スタイル、2頭身小人スタイルの妖精が無数です。



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