第36話

 夢と一緒に登下校するようになってから、一週間ほど時間が過ぎた。


 その間、沙耶が接触してくることは何度かあったが、夢がことごとく撃退しているため結城が何か被害を受けるなんてことは無かった。


「じゃあ、また帰りに会おうね。いってらっしゃい」

「..はい。夢さんもいってらっしゃい」

「うん!!」


 ニコニコとこれ以上ない笑顔で大学へと向かう夢と別れて、何事もなく教室へと入り、席へと着いた。


 前までであれば、この後何かしらの小テストの準備や余裕をしたりするところだがここ数日間、結城はずっと考え事をしていた。


 このままでよいのだろうか、という悩みである。


 夢と一緒に登下校するようになってから、いやそれ以前から結城は恭介と夢にずっとしてもらっているばかりで何かを返すことが出来ていない。


 手紙や花束を渡しはしたが、それ以上のものを貰っていると思ってしまっているため悩みは膨らんでいくばかりなのである。


 鞄の中に見えるお弁当の事だってそうだし、バイトでもよくしてもらっている。勿論綾香やアリサの事もそうだ。


 これは結城が綾香に壊される前に戻りつつある、正確に言えば夢と恭介にだけ前の状態に少しだが戻りつつあるという事でもある。


 何かできることは無いだろうか、と考えた時。


 ずっと頭を巡っているのは、いい加減あの面倒な沙耶との決着をつけるべきなのではないかとそう考えてはいるものの、関わりたくない、顔も見たくない。今までされたことの積み重ねで、トラウマとなった彼女達と話すだけでもかなりのストレスなのである。


 夢がもし、結城がそんなことを思っていると知れば必ずと言っていいほど沙耶を潰しに行くだろうが、結城は夢や恭介に頼りきりだと考えているから話すこともない。


 どうしようか、そう考え続けているといつの間にか教師が入ってきて朝のホームルームが始まってしまった。



********


 気持ちが授業に集中できないままいつの間にか、午前中の授業は終わっていた。


 結城は、鞄の中からお弁当を取り出して席を立ち、いつもの場所へと歩いていく。


 いつもの場所というのは、綾香の事を振った場所でありあの日からここで食べることが日課となっていた。


 ベンチに座って、悩み事をああでもない、こうでもないと考えながらお弁当を食べていると此方へと歩いてくる人影が見える。


 どこか既視感があるこの光景に結城は嫌な予感がしてそちらから視線を外して空を眺めながらご飯を食べ、やり過ごそうとするもやはり嫌な予感というのは当たるもので例の人物が話しかけてきたのである。


「結城君」


 さて、どうしたものか。


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 かにくいです


 期間が空きすぎて、新条沙耶って誰やねんというコメントがいくつかあったので。


 「第30話  頼りないかな」で結城がお祓いを考えているところで少しだけ出てきています。沙耶の過去や詳細はアリサや綾香同様にこれからのお話でというか、明日のお話で少しはわかると思うので、お楽しみに。


 ではまた


 


 


 


 


 

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