第2話 新たな生の幕開け
チュンチュンと鳥の囀り声が聞こえてくる。もしかしてあの世にでも来たのか?
ん?あれ?でも身体の感覚がある。どうなってるんだ?
ボクは試しに目を開くことにしてみた。その結果、ボクの視界に入ってきたのは、ウザイほどに輝かしい太陽の光だった。
な、なんで、太陽の光が。
ボクは困惑しながらも周囲を見てみると、周りは豊かな自然に囲まれていた。
一体どうなってるんだ...あっ、そうだ。今身体はどうなってるんだ。
ボクはこの少し前に苦痛に苦しめられていたため、身体を触ってみると、あることに気が付く。
服装が制服から見事に変わってる。
かなり大きな黒一色のパーカーに、黒の長ズボン、そして黒のロングブーツ。自分の見た目を見ていたその時、もう一つあることに気づく。手や腕が、ないのだ。あるのはパーカーの袖だけ。袖がまるで手や腕のように動いている。
瞬間、ボクの頭にあるキャラクターがよぎる。
これ、ボクが妄想でつくった、パンプジャック?もしかしてボク、パンプジャックにいわゆる転生ってやつをしたのか?もしそうならきっと...
ボクはホントにボク自身がつくったキャラ、パンプジャックに転生をしたのかを確かめるため、立ち上がり、歩みを進め、水場を探し始めた。
水場を探している途中、ボクは興味本位で自分の袖の中を覗いてみた。袖の中は、闇のみが広がっていた。どこまでも闇、まったく奥が見えない。
はぁ、ボクが設定した通りで安心した。ボクの設定では、パンプジャックの中身は只々闇が広がっているのみ。これでもし、身体がありましたぁ、とかだったら相当萎えてたよ。
ボクがそんなことを考えながら、歩みを進めていると、遠くで微かに水の流れる音が聞こえて来た。ボクはそれを聞くと、少し歩みを早め、目的地へ急いだ。
ボクは草木をかき分け、目的地へ到着した。目の前には、初めて見るほど綺麗な池が広がっていた。
よし、この水だったら絶対にボクの姿が映る。これで分かる。ボクがホントにパンプジャックに転生したのかが。ボクは胸を躍らせながら、池を覗き込んだ。
そこに映ったのは、カボチャ頭。そしてそのカボチャには、目の位置は三日月の形、口の位置には太いギザギザの線が彫られていた。
ハハッ、ハハハッ、やった!やったぞ!ホントのホントに、ボクはパンプジャックに転生したんだ!アハハハハッ.....
でもちょっと残念だなぁ。この状態で目の前にアイツらがいないんだから。いてくれたら、ちゃぁんと殺ってあげたのに。はぁ、まっ、今残念がっても仕方ないか。さて、これからどうしようか...
ボクがこれからの行動をどうしようかと頭を巡らせていると。
ん?なんだ、この音?
微かに、何かと何かがぶつかり合う音が聞こえて来た。気になりさらに耳を澄ましてみると、複数の足音、謎の唸り声、焦っているような息遣いが聞こえて来た。
ん〜、なんだか面白そうだねぇ〜。...これは行って見るしかないでしょ!
ボクは行くことを決めると、音が聞こえて来た方向へすぐ走り出した。
そのときボクは気付いた。とてつもなく足が速くなっている。以前のボクより何十倍も。
ハハッ、ハハハッ!、こりゃ凄いや。まだまだパンプジャックにはたくさんの可能性が秘められてるねぇ〜。
ボクは自分のこの身体に興奮しながらも、目的の場所へスピードを緩めることなく向かった。
ん?大分見えてきたな。
ボクが少し目を凝らすと、木々の間に少し人影が見えていた。
これ、さっきも思ったけど多分かなり目と耳良くなってるよな。だってさっきかなり集中したとはいえ、めっちゃ遠くの音が聞こえてきたんだから。集中しなくても微かに聞こえるけど...
それに、目も少し凝らすと先の場所が見えて来る。こんな設定ボク書いた覚えないんだけど...
ボクは頭の中に少し疑問はありながらも、今はとにかく目の前のことに集中することにした。そう、ボクは到着したのだ。
今ボクの前には目的地としていた場所がある。
そこにはなんと、額に一つ目を生やした狼のような身体をしたバケモノが五匹、そしてそのバケモノに相対しているのは、濃い青色を基調とした魔法使い衣装を身にまとい、魔法使いらしい木の大きな杖を持った、水色のボーイッシュ髪の女性だった。
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