第2話 仲間
やがてゆっくりと目を開けたロイは、前を見た。
土をそっとかけて、立ち上がる。
「……私は、進まなければならない。」
諦めてはならない。絶対に。
……それが、
それが。
□
ロイは進み続けた。
そして、隣国からの帰りである商業の馬車と出会った。
御者はお人好しそうなおじいさんで、快くロイを乗せてくれた。
やがて到着した街で、ロイは3人の仲間を得た。
1人目は、ギルドで会った、現実主義のカイル。
生き延びることが全てだと考えているらしい。一番強い。
2人目は、ロイと同じ『緑の大地』を探し求めていたアイリーン。
仲間を失ってしまった彼女の口癖は、「夢は叶わない」。
3人目は、頭の回転が速いエリス。
なぜか一緒に行動したいと言ってくれた。目的は分からない。
3人ともロイより年は上だったが、そんなこと気にならないほど楽しかった。
以前カイルに、木々が美しいという土地に連れて行ってもらったが、そこは伝承の『緑の大地』ではない気がした。
魔物を倒すのにも慣れてきて、稼いだお金でペンダントを買った。
そこに、ヌイの毛を大切に入れた。
「なあ、次の依頼はどうするか?」
カイルがそう言った。
「えー、私たちずっと依頼ばっかやってるし、そろそろ別のことやろうよー!」
エリスが明るく言う。
「別のこと、とはどんなことでしょう?」
アイリーンが無表情でエリスに尋ねる。
「えー、うーん………。あっ、ロイは?ロイは、なんかやりたいことない?」
「…え!?」
突然話を振られたことに驚くが、ずっと、言いたかったことについて口を開く。
「………私、は。『緑の大地』を、探したい。」
一瞬の沈黙。
「…ロイは、何か目途があるの?」
「はあ?そんなのただの幻想だろ。本気にしてたらキリがない。」
カイルが笑うように言う。
「カイル、言い方が強いです。……でも、私もその夢は叶わないと思います。」
「………うん。私にも、それが何かは分からない。でももともと、落ち着いたら探しに行こうと思っていたから。……3人とも、私より強いし、私がいなくても大丈夫だと思うよ。」
「何言ってんだよ、ロイ。お前もあと一歩で俺たちに追いつくじゃねえか。お前の謙虚さは気持ち悪いんだよ。」
「そうですよ、ロイ。この短期間で貴方は十分強くなりました。」
「……ありがとう。でも、私は夢を信じたいんだ。この決心は変わらない。絶対に諦めない。」
ロイの瞳は、とても真っ直ぐで、強かった。
「……ふーん、まあ、私はロイに着いていくよ!面白そうだし、気になるし。」
エリスがそう言った。
「………私も、他にやることもないですし。無駄だとは思いますが、また、探すのも良いかもしれませんね。」
「……ハッ、お前らだけじゃなくて俺も必要だろ?」
「3人とも……ありがとう。心強いよ。」
「具体的には何をするんだよ?」
「………とりあえず依頼をやろう。」
「結局依頼かよ」
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