聖剣鍛冶師は知らない
@boumeiyurei
ある少女
少女は絶望していた。
母親は病に倒れ、父親は病を治すための治療薬を探しにダンジョンに潜ったきりだった。
少女は絶望していた。そして奮起した。わたしも剣をもってダンジョンに潜ろうと。
ダンジョンには富と名声、そしてオーパーツが眠る。かつて地上にいた神が残した神域。そのダンジョンでモンスターを倒せばレベルが上がり、そしてより奥へと進むことができるようになる。
少女は残されたわずかなお金を握りしめダンジョンに向かった。その道すがら短剣を一本買い、そして彼女は――。
*
今日の成果は短剣一本だった。買い取ってくれたのは緑髪のエルフの少女だった。俺は軽く溜息を吐いた。異世界転生それは甘美な響きで、何も考えず異世界に転生していたのは、残酷なほどの身分格差だった。
この国において人は移動を制限されている。それはなにかという関税所だ。関税所で税をとり、人材の流出を防ぐ、税で国を潤す。一石二鳥だ。
俺は異世界に転生してはや10年になる子供だ。今はもぐりの鍛冶師見習いを始めたところだ。
転生した当初は俺TUEEEキターとかいっていろいろ試したのだが、そもそもこの国はダンジョンというものがあり、そこからはオーパーツというものが出てくる。宝箱に入っていたり、モンスターからドロップしたりといろいろ手に入るらしいが、それが結構便利なのだ。
そもそもオーパーツというのはこの世界の神様が作った遺物のレプリカとかなんとからしく性能もピカ一。そもそも俺の知っているネットでググった程度の知識の付け焼刃では太刀打ちもできず、なんの知識も役に立たなかった。
ただ、俺には切り蓋があった。それは転生特典【聖剣鍛冶】だった。デクスエクスマキナと名乗った神いわく。それはそれは便利な技能でこれあれば楽ちん♡とのことだったが、うっかりしたことに俺はその特典の使い方を聞かずに異世界転生。そしてどうやって作るんだ?となって困り果てていたところ、つい最近【聖剣鍛冶】の使い方がわかり、いま初めて剣が一本売れたところだった。
ただこの剣の販売もかなりリスキーだった。この国ではすべての仕事にそれぞれ税がかけられており、剣の販売、製造、流通で権利所を通して行わないとならないとなっている。
それを俺はぶっちした。つまり俺がやったことは脱税にあたる。この国における脱税の最高刑は死刑だ。ちょっとやばいかも。ちょっとどころかじゃないか。まあ【聖剣鍛冶】が使えるから、生活は最悪何とかなるだろうということで究極、密航して逃げるという手も今では使える。何とかなるかという見立てだ。ただばれないことに越したことはない。まあ俺だけじゃないし・・・・・・・。
まあ今日はこの金で野宿とはおさらばだ。しばらくぶりにうまい飯でも食おう。当社比、大金をにぎりしめて俺は宿に向かった。久しぶりの野宿だーー。いえい!
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