第29話 女神への奉仕


 僕の全身を支配していた嵐のような痙攣が収まった。そして、そこには深い静寂だけが残された。僕はまだ浅い呼吸を繰り返しながら目の前の光景をただ呆然と見つめていた。僕の純潔をその唇で受け止めた千聖お姉ちゃん。彼女は僕の射精の余韻で微かに震えるペニスをもう一度その潤んだ瞳で見つめた。そして、こくりと喉を鳴らした。


 飲み込んだ。


 その事実が僕のまだ痺れている脳髄に第二の衝撃となって突き刺さる。僕のすべてを彼女が受け入れてくれた。その行為はあまりにも背徳的であまりにも献身的だった。僕はもはや言葉を完全に失っていた。


 彼女はゆっくりと立ち上がった。そして、僕の目の前で今度は彼女自身の聖衣を脱ぎ始めたのだ。


 黒いレースのブラジャーのホックに彼女の白い指がかかる。ぱちんと小さな音がして彼女の豊かな胸を支えていた最後の束縛が解き放たれた。重力に従って柔らかく揺れる二つの乳房。その先端は固く尖り僕を無言で挑発していた。


 続いて彼女は最後の一枚である黒いレースのショーツに手をかけた。その滑らかな動きに合わせて布地が彼女の白い肌の上を滑り落ちていく。


 そして、ついに女神の全てが僕の目の前に現れた。


 僕は息を呑んだ。それは僕がこれまで想像してきたどんなイメージよりも遥かに神々しくそして扇情的な光景だった。僕はその完璧な美しさの前にひれ伏したいような衝動に駆られた。


 彼女はソファの上にゆっくりと仰向けになると僕を見つめた。そして、少しだけ恥ずかしそうにしかし確かに熱を帯びた声で言った。


「わたしにもしてくれる?」


 その問いかけの意味を僕が理解するのに数秒かかった。僕の乏しい知識がようやく彼女の望んでいることを僕に教える。僕は戸惑った。そんなこと僕にできるのだろうか。


 しかし、僕の戸惑いを打ち消したのは彼女を喜ばせたいという純粋でそして強烈な欲望だった。僕はまるで神の御前に進み出る敬虔な信者のように彼女の足元に跪いた。


 未知の香りがした。微かな潮の香りと甘い果実の香りが入り混じったような僕の本能を直接揺さぶる濃密な香り。僕はその香りに導かれるように彼女の美しい秘所へと顔を寄せた。


 そして、僕は夢中で女神への奉仕を始めた。


 ぬるりとした粘膜の感触。少しだけしょっぱいような独特の味。最初はそろそろだった僕の舌の動きは彼女の吐息が漏れるたびに大胆さを増していく。


「んっ…ぁ…ゆうきくん…」


 彼女の甘い喘ぎ声。その声が僕の支配欲とそして征服欲を激しく煽った。もっともっと彼女を感じたい。もっと彼女を喜ばせたい。その一心で僕は彼女の全てを味わい尽くす。


 やがて彼女の腰が大きくしなり始めた。僕の顔に彼女の体の震えが直接伝わってくる。


「いっ、く…! ぁ、あああっ!」


 甲高い絶叫と共に彼女の体がびくんびくんと大きく痙攣した。僕はその生命の奔流をすべて受け止めながら彼女を僕が初めての絶頂へと導いた。その圧倒的な達成感に打ち震えていた。

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