第14話 アイタカ
アイタカ。
風に揺れる芒の音。
響いては消える、虫の声。
月は澄んだ空気に明るく、街に、森に、海に、蒼い陰影をつける。
そんな静かな秋の夜長に、人恋しくなることはないだろうか。
アイタカは、そんな気分を運んで来るタカ科の鳥である。
アイタカは実に物静かな鳥で、飛ぶ時もほとんど音を立てない。また、滅多に鳴くこともなく、姿を探すのは通常ならば非常に困難だ。
しかし、もしもあなたの心が何らかの原因でとても疲れていたら。或いは何らかの理由で悲しみを抱えていたら。
そんな波長を捉えたアイタカが、音もなく巣を飛び立つ。そしてあなたの肩にそっと留まり、囁くようにひと声、鳴くのだ。
「会いたか」
アイタカの鳴き声はつまり、あなたの心の声そのもの。
この声を聴いたあなたはきっと、話したい人に電話をかけるだろう。あるいは直接、会いたい人に会いに行くだろう。
アイタカの声、あなたの心に従って、話したい人と話せたら。会いたい人に会えたなら。
あなたの心はアイタカの羽ばたきのように、ふわりと軽くなるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます