静かに人が消え、行方不明者が続出する離島。白装束の怪異が迎えに来たら諦めてください

わんた

第1話 日本某所にある離島で多発する行方不明者

「ああ、あそこの離島ね。観光名所になったみたいだけど行くのはおすすめしないよ」


 毎年、海で数名の行方不明者が出る場所だが、近隣の漁師が止めるほどだろうか。


 疑問に思った私はジャーナリスト魂に火が付いて、離島の調査を始めた。


 すると面白いことがわかる。


 行方不明として発表されている人数以上に人が消えているのだ。さらに住民への聞き込みを進めていくと、怪異の存在にたどり着く。


 村人曰く、


 夜は出歩くな。

 周りに人がいなくなったら全力で逃げろ。ただし逃げ切れる可能性は低い。

 お守りを持たなければ女は花嫁にされ、男は食われる。


 などといった迷信だ。ちなみにお守りについては島に着くと百円で売りつけていた。観光客のほとんどが記念として買っていて、私も興味があったので手に入れたが、中身は石が入っているだけだ。


 価値はない。


 宿泊施設に泊まるとゴミ箱へ捨てて取材を続ける。


 田舎の村といった感じで、これといって特徴的なのは見当たらない。資料館を訪れても入植の歴史が書いてあるぐらいだ。巨乳の女性が館長だったのが唯一の収穫か。


 人気のビーチは遠浅の海で遠くに黒い岩が見える。


 地元の人間に近寄るなと言われたが、俺は言うことを聞くつもりはない。


 明日にでもゴムボートを使って乗り込むつもりだ。


 よし、今晩は景気づけに飲むぞ!

 

 ――――――


 20XX年X月X日。

 帰還予定の自称ジャーナリスト上田浩介は、離島を訪れてから姿を消して戻ることはなかった。

 今年になって23名が消えている。


 警察機関は失踪者として登録するだけで、まともな調査を行うことはない。


 来年、再来年も同じだろう。


 誰も白装束の怪異に関わりたくないのだから。

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