第7話 影の時間

放課後、教室は静まり返っていた。

ぼくは机にひじをつき、ノートに向かう。

今日も問いは消えない。

「答えはどこにあるんだろう」

教科書の文字を追う手が止まり、窓の外を眺める。

桜の枝が風に揺れ、影を校庭に落としている。


悠人が声をかけてきた。

「悩んでるの?」

「うん…少し」

お互いに黙って笑った。

言葉にできなくても、問いは共有できる。


家に帰ると、母が夕飯を用意していた。

「今日も大丈夫だった?」

「うん、まあね」

でも、心の中には小さな迷いが残る。

夜、日記に文字を刻む。

影のように重くて、でも確かに存在する問い。

その問いが、ぼくを前に進ませる。

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