第2話 青空の教室
翌日の教室は、昨日とは違った匂いがした。
机の上には新しい教科書が並び、まだ開かれていないページがぼくを待っている。
クラスメイトたちは早速、授業のことで笑い合い、あちこちで小さな話し声が飛び交っていた。
ぼくも席についた。
でも、心の中は相変わらず空っぽで、昨日抱いた問いがまだ残っている。
「人生って、何だろう?」
何度も頭の中で繰り返す言葉。
放課後、友達の悠人が教室に近づいてきた。
「昨日の塾、どうだった?」
ぼくは小さく肩をすくめて答えた。
「うん、まあ…普通かな」
悠人は笑った。
「普通、か。ぼくはもっと必死だったけどな」
その言葉に、少しだけ心が軽くなる気がした。
他人の努力や悩みを知ると、自分の問いも少し形を変えるようだ。
家に帰ると、母が夕飯を作っていた。
「勉強、疲れたでしょ?」
「うん…でも、なんか空っぽなんだ」
母は何も言わず、ただぼくの頭をそっと撫でた。
その夜、机に向かって日記を開く。
桜の花びらが風に舞う音を思い出しながら、ぼくは文字を綴った。
「今日も問いは消えない。でも、少しずつ答えに近づいている気がする」
文字にしてみると、問いは重く、でも希望も少し含んでいた。
ぼくは、まだ見ぬ日々の中で、この問いと向き合い続けるのだろう。
それが、人生を追い求めるということなのかもしれない――そう思った。
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