第二幕の後半
「ん。ラヴァイト。今回は少し、迷宮等探索の時間を、長く取ろうか。大丈夫なのかな」
「うん」
「ラヴァイト。今回の得物を、長剣にしてみては、どうなのかな」
「長剣」
「ええ。刃渡りが、二尺三寸を超えるとはいえ。流石に、全体の長さが複合槍程ではないことが、多いのかな。とはいえ、より長い刃渡りが大切になることは、あり得るのかな」
『ふにゃ』
「うん。使ってみる」
(複合槍の使用に、慣れ過ぎる前に。長剣等を、用いて置くというのは、大切なのかな)
「それで、どの様な形状にすれば、良いのかな」
「基本的には、対象の純雑質が単純強固さから、突きにおいても、両手持ちになるから。護拳はなくて、棒鍔の類で、良さそうなのかな。流石に、全長六尺超えはないとして、全長四尺七寸で、剣身が四尺にも及ぶと、ラヴァイトや我々の身長からして、床に当たるのかな。まあ。大抵の場合は、空中を足場にしているのだから。大丈夫なのだろうけれどもね。そして、片刃にして、騎兵用軍刀のように、反りを付けるというのも、あり得るのかな。まあ。役割、技能系統の仕組み的に、それで切断力等が高まるとは、思い難いけれども。人間最上位程までに膂力が制約されている選手権競技が場面等では、有効なことも」
「全長四尺七寸、剣身が四尺の直剣棒鍔。打撃用の石突を大きくしないと言ったところ」
「うん。長いの」
「大丈夫。なのかな。振って見ようか」
『ふにゃ、ふにゃ』
ラヴァイトは、一討伐者組合支分支所に配置された、(意匠権等の存続期間が、過ぎている)廉価有償貸与用物化精霊質製武器・長剣が、姿容を参考にして、自らの得物・長剣を、一振りつくり出す。
「うん」
『ふにゃ』
ラヴァイトは、対人戦剣術用の構え方ではなく。普通に、右手を前、左手を後ろ(「眷族」等に、利き手はなく。人間としてからではなく、白龍としてうまれたラヴァイトは特に。現世等における利き手の影響は、記憶の残滓から分からないことが、恐らく、多い)で、余り、両拳で隙間を開けずに握り。剣先を斜め上前方に向けて、構える。
「うんしょ、うんしょ、うんしょ」
『ふにゃ、ふにゃ、ふにゃ』
(流石に、通常時は、膂力からして、床面に、打っつけるようなことはないとして。討伐訓練中においては、どうなのかな。迷宮等通路とはいえ。問題なく、槍等を振り回せる程に、幅員があるのなら。空中を足場とすれば。擬似怪物等は、混乱等までは再現してはいないのなら。壁等の位置関係を用いて、討伐者と対峙することが、あり得るとしてもね)
「…………。ん。大丈夫そうなのかな」
「そうだね」
『ふにゃ』
頭胴長が一丈を超えるような擬似怪物が、配置される迷宮等通路の幅員は、八間五尺弱程となっており。聖騎士は、八尺三寸が複合槍も超える長さの槍を振るう、場合がある。
(正面、左右斬り降ろし。左右斬り上げ。左右水平切り。両手突き、片手突き。強撃、はたき切り。技を有効的に用いるには、対人戦剣術用の構え方が大切になるのだろうけれども。制約されるとはいえ、膂力をある程度、生かすだけなのなら。大丈夫なのだろう。とはいえ。(仕様がないので、ここは混乱を反映する形での難易度調整により)空中を足場にしない四足獣形であっても、片方の前肢に加えて、頭部に備わる角や牙が備わることから。攻撃に用いられる箇所が多く、空中を足場にし、一撃離脱(人間を圧倒する機動力を発揮させる程には、距離を取らず)を心掛けることになる。それでも、空中を足場に出来ない場合には、潜り抜け、付け替え、巻き越え等の技を、姿容からして、近接戦闘に優れる擬似怪物等相手に、駆使することになる。対人戦とは異なる防御能力の関係から。余り威力を、期待できないのだとしても。裏刃があることで、柄から回転をさせるようなことは欠かせない訳ではなくとも、持ち替えによる連続攻撃を含めて。常に、対象の単純強固さから。強撃に近い威力を、期待することになるのなら。役割、技能系統がなければ、一撃死するような攻撃を、防御、回避しながら。そうして、二撃目以降は、間合いを取りながらの刺突が、中心になる。刀身の長さからは、刺創の深さを合わせ、期待することになる。核の位置が表層であるようなことは、核が移動するにしても、比較的少ないのなら)
「眷族」等は、身体的疲労がないのなら。手数を重視して、仮想体力(核ににより引き出せる相転移炉の出力)等を、削り切るということが、選択可能だとしても。仮の器に囚われている低位精霊の精神的負担等を思うと、相当な素早さによる手数が、大切になる。
「ところで、ルセレナンは、迷宮等探索の方はどのように、するのかな。まあ。アルウロム、トゥリベル達が、参加できるようになるのは、幾らか先のことなのだろうけれども」
「ええ。とはいえ。一応、参考までに、ラヴァイトの様子を、見て置きたいのかな」
「ルセレナンの役割、技能系は前衛寄りで、ラヴァイトと同じ、聖騎士・武僧で、得物が長剣なのなら。同行してくれるのは、好ましいのかな。「眷族」等は、膂力の関係から。通常、回復能力に優れた・耐久力が幾らかある後衛なのなら。前に出るのだけれどもね」
「ふふ。そう」
「うん」
『ふにゃ』
「しかし。今回は、相方精霊達が、四体も増えたから。大部屋等の守護に残る精霊達を、増やすのかな。とはいえ。ワラックル、ロドラウム、リカルタフは、連れて行きたいのだよね。ラヴァイト。同行組、守護組、二体ずつ増えるのかな。エストゥラ、ソエーニョ、ワトゥレト。ヴァルノア達への連絡役は、プレアテルの相方精霊達で、大丈夫なのかな」
「うん」
『ふにゃ』
「では。ヴァレウス。残りの同行組は、順当にラヴァイトの相方精霊達、レッテリフ、ソニョリム、リジョンザだよね」
「ええ。まあ。そうなるね。とはいえ。皇霊級が白黒の恙がいなくて、大丈夫なのかな」
「うん」
『ふにゃ』
「アクリス形とは前回、対峙したのなら。今回は、恐らく、フスパリム形からになるね」
「ええ。迷宮等は、基本的に、配置擬似怪物が、似ているからね。四足動物食獣の姿容を持つ精霊の中にあっては、近接戦闘能力が低い方で」
「フスパリム形」
『ふにゃふにゃ』
『猿頭鼠フスパリム形は、小さな耳で猿様の頭部を持ち。大型種に近いとはいえげっ歯類の形が胴体とされながら、相当に巨体であり。毛が少なく、赤い斑点が全身に見られる。肩高が四尺七寸前後で、頭胴長は八尺半前後に及ぶ。加速を経ずに瞬時に三十里毎刻程となり。山鼠的特徴とされる脚部が肉付きは別として、外形的に中型獅子(翼猫達が最大種の最大個体級なだけで、最大級)に近く、中型獅子に比べ、より肩高が高くなっている』
「道中のアクリス形は、ラヴァイト以外が、交代で対峙して。早急に終わらせることに」
『うん』
『ふにゃ』
そうして、明日のラヴァイトが討伐訓練へ向けてのヴァレウス一党が準備を、整える。
『おやすみ』
『ふにゃ』
また、無事に、一泊二日惑星間旅行が第一日目を、終えようとしている。
『おはよう』
『ふにゃ』
「では。大部屋の方へと向かおうかな」
『うん』
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、惑星間旅行者等に対し、人形遠隔操作端末や筐体、没入型仮想現実用気密容器等組み合わせ導入した迷宮等探索や間接的外出について、大部屋における重ねての説明を、終え。惑星間旅行者等は、解散し、各自行動する。今回も、初等中等迷宮開放階層での採取を選択する者は、順当に、増えた。
「では。ヴァイイト達は、大部屋に残り。我々は、初等中等迷宮へ」
『うん』
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、精霊達六体と、子ども達三体との連結一党を、組み。初等中等迷宮へと入場する
「ワラックル、ロドラウム、リカルタフ。夢魔等の介入は、大丈夫なのかな」
『ふにゃ』
「フスパリム形配置区域まで、鷲馬猫達、翼猫達交代で、アクリス形に、対峙するよう」
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第一階層迷宮通路を、奥へと進む。
「ワラックル」
黒サン猊ワラックルが、フスパリム形を威圧する。
「ラヴァイト。大丈夫なのかな」
「うん」
「ふにゃ」
「ピーィツ。ピィツ、ピィ」
ラヴァイトは、フスパリム形右半身肩甲横突筋付近から広背筋周辺まで、切り裂き。右半身胸筋付近へと突きを放ち、核を破壊したのか、討伐に至る。頸部が上方に向くことから、腕頭筋付近から切り裂くのは、難しい。
ラヴァイトは、四足獣が胸筋へと突きを放てる程に、身長が低い。
「二撃だね。やはり、技量に、問題はなさそうだね。初等中等迷宮第二層ではなく、擬似迷宮の方へと移ろうか。ヴァルノアと共に、プレアテルを説得出来たらなのだけれども」
「うん」
「ヴァレウス。ラヴァイトの技量的には、問題がなくても。それは難しいそうなのかな」
『ふにゃあ』
父との相談後、初等中等迷宮における迷宮支配者討伐を、目指すこととなった。
「それでは。次配置区域まで、鷲馬猫達、翼猫達交代で、フスパリム形に対峙するよう」
『ふにゃ』
(ん。初等中等迷宮配置擬似怪物とはいえ。鷲馬猫、翼猫、龍、竜が、連結一党に加わっている分、強化はされているのだろうけれども。膂力というより、ラヴァイトの技量が)
ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第一階層迷宮通路を、奥へと進む。
『巨山羊ウェザー形は、肩高三尺七寸前後、頭胴長六尺三寸前後に及び。頭突きに用いられることの多い、後方に流れる二本の長く尖った螺子状洞角は、五尺三寸前後にも及ぶ。加速を経ずに瞬時に出せる速さの方は、人間以上ではあっても、二十里毎刻程に留まる』
ヴァレウスは、設定画面を確認しながら、初等中等迷宮第一階層迷宮通路入口付近に、表示されていた擬似怪物配置を、思う。
(ウェザー形。中型で、武器を備えることから。攻撃を当て難いとはいえ。後方に流れる洞角による頭突きだから。動き自体は比較的単純なのかな。無駄が少なく脅威とはいえ)
「……。ラヴァイト。大丈夫なのかな」
「うん」
「ふにゃ」
「メエエェーツ。メエッ。メッ、メ」
ラヴァイトは、一、二尺の高さで、空中を足場とすると、ウェザー形右半身腕頭筋付近から広背筋周辺までを、切り裂き。ウェザー形左半身中殿筋付近へと連続で突きを放ち、核を破壊したのか、討伐に至る。
(核の位置が、一撃目からは遠いのなら。三撃掛かるのは、流石に、仕方がないのかな)
「それでは。迷宮通路最奥まで、鷲馬猫達、翼猫達交代で、ウェザー形に対峙するよう」
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第一階層迷宮通路最奥の階段を、上る。
(今回は、配置三体、しっかり見て置くのかな。鋸原牛ウルス形、有脚蛇アケク形、犬頭豹リンクス形と。角鹿馬イッペラポス形ではないのか。今回はこれくらいで、大部屋に)
「……。切りが良いのなら。そろそろ、一度、大部屋へと戻ろうか」
『うん』
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、既に、迷宮等探索を終え、大部屋で休憩している惑星間旅行者数名を、確認後。昼食を取り、再び初等中等迷宮へと向かい。第二階層迷宮通路から、迷宮等探索の方を、再開する。
『鋸原牛ウルス形は、肩高八尺三寸強、頭胴長一丈五尺七寸前後に及ぶ巨体であり。左右の角は差し渡し一丈あり。巨体ながら瞬間的に達する最高速度は、四十里毎刻に達する』
「ラヴァイト。大丈夫なのかな」
『うん』
「ふにゃ」
ラヴァイトは、特に問題なく。鋸原牛ウルス形、有脚蛇アケク形、犬頭豹リンクス形擬似怪物を、討伐し、ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第三層へと進む。
『四足蛇アケク形には、グリフォンに近い形も居るのだけれども。初等中等迷宮に、配置されているのは、蛇様の胴体を持つ蜥蜴形を、している。体高が二尺弱で、全長は、一丈前後に及ぶ。蛇身の柔軟さと、巨大な体躯に比して低い体高とは、人間に、頭部を下げることになる隙をつくらせそうで、対峙し難い面がある、擬似怪物のように、思われる。速度は、十里毎刻で、比較的速くはないとはいえ。跳躍力に、優れている面はあるようで』
(ラヴァイトは体格的に、低い位置を攻撃することを、苦とはしないのかな。また、龍とはいえ、人形で居ることが多く。蜥蜴形や蛇形が仮の器等に思うことは、余りなさそう)
『犬頭豹リンクスは、頭胴長六尺三寸前後、肩高三尺七寸前後と、ウェザー形とほぼ同じ体格なのだけれども。尾長も、三尺七寸前後に及ぶ。ウェザー形と比較した場合における頚部の角度等からの頭部の高さの低さや、体毛の短さもあってか、幾らか細身に見える。リンクス形は、瞬間的に達する最高速度は三十里毎刻程、速度というより、身の熟し・敏捷性に優れる。迷宮等通路内には障害物が殆どなく、身の熟しを、活かし難いとはいえ』
「(強いね)」
「(そうね)」
『(ふにゃ)』
(今回の配置三体は、旧鬣犬レウクロッタ、夜爪犬リゾス、耳翼蛇ボアのようなのかな)
『旧鬣犬レウクロッタ形は、肩高三尺七寸前後、頭胴長八尺前後に及ぶ、巨体で、肩高のほぼ同じ、犬頭豹リンクス形より、頭胴長において、一尺七寸程、勝る。歯列が一体化しており、身体の柔軟性に欠ける。狩猟豹を超える程の敏捷性ともいわれるが。流石に、瞬間的に、三十三里毎刻弱に達するくらいであり。流石に、擬似怪物が姿容を模したとしても、六十里毎刻弱に達するようなことは、ないとされている。また。牛のような鳴き真似声といわれる。人語のような鳴き真似声も、発声するとされるとはいえ、再現はされないのだろう。そして、一見、犬のようで鬣犬と言われる鬣犬等は、犬の類ではないように』
(旧鬣犬レウクロッタ形は、身体の柔軟性に欠けるから。一体目に配置されたのだろう)
『夜爪犬リゾス形は、肩高三尺前後、頭胴長五尺四寸前後程。特徴としては、比較的大きな爪を備えている。身の熟しに、優れ瞬間的に達する最高速度は、四十里毎刻に達する』
(爪という武器を備え、身の熟しに優れ、最高速度は、四十里毎刻に達する程であり。これらから、四足獣形擬似怪物としては、備えたい長所の類が、揃っているようなのかな)
ラヴァイトは、旧鬣犬レウクロッタや夜爪犬リゾスともに、余り問題がなく、対峙することが、出来ているようなのかな。そうして、迷宮等通路を奥へと進み、耳翼蛇ボアと、対峙することになる。
『耳翼蛇ボア形は、全長五丈前後、胴の直径が三尺三寸を超える巨体とはいえ。巨大な耳と小さな翼一対とを備え、蛇形でありながら痕跡ではない後肢を備える。流石に、地を這う者として、所謂蛇腹の類を、備えるとはいえ。巨体であっても、その飛行能力は脅威』
(龍として生まれたラヴァイトなら。問題なく、空中を足場とすることが、出来るとはいえ。一般討伐者が、初等中等迷宮において、飛行能力に優れる擬似怪物に、対峙するの)
「……。ラヴァイト。大丈夫なのかな」
「うん」
「ふにゃ」
「シューッ、シュッ、シュ、シー」
ラヴァイトは、ボア形右半身腹部を、長く切り裂き。ボア形右半身耳部を、二度、切り裂き、核を破壊したのか、討伐へと至る。
(二対の翼と後肢、尾部で、枝分かれが多くなるのなら。核の位置は、絞り難いのかな)
「鷲馬猫達、翼猫達は交代で、迷宮通路最奥大扉前までは、ボア形擬似怪物との対峙を」
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第三層迷宮等通路最奥へと向かう。
「それでは。一応、転移所を登録しようか。一度で、突破が、出来るだろうけれどもね」
『うん』
『ふにゃ』
「とはいえ。今回は、大部屋の方に、戻ろうか」
「ん。時間が足りないの」
「まあ。大丈夫なのだろうけれど。一応ね。初等中等迷宮に、ボア形を配置するくらいだからね。最奥とはいえね。(ん。設定的に、流石に、幾らか時が掛かるようなのかな)」
ヴァレウス一行は大部屋へ帰還。惑星間旅行者等の間接的外出を見送り、保護し、帰還を出迎え。星アステルへと帰還、両星で物化因子等交換を検査後、央の国離宮へと帰る。
(今回も、間接的に、幾らかの惑星間郵便物等を、輸送できたのだろうけれども。明日にでも、幾らかの惑星間郵便物等を、直接的に輸送できるのだろう。両星の擬似薬草にも、惑星間交換のような異常は、なさそうなのかな。まあ。流石に、物化因子除去を、徹底しているのなら。人間には、共有空間内に出すと、物化因子との分離が困難な擬似薬草を、荷車内に、持ち込むようなことは。流石に、避けるのだろうから。閉じた系・範囲境界で囲まれていないのなら。従属物と見なせないようなものことは、転移の対象とはならないのなら。潜ませるとしても、操縦する性質上から従属はしない物化因子が、転移所によって、惑星間移動することは、精霊等が利用するのでなければ、通常は、考えられないと)
そうして、翌日朝となる。
ヴァレウス一行は、星エステルが一討伐者組合に、隣接調整・配置されている初等中等迷宮へと、再び向かう。
「迷宮支配者の脅威度次第で、我々も、参戦することになるけれども。先ずは、ラヴァイトの相方精霊レッテリフ、リジョンザが、参戦するように。その次に我々、ルセレナン」
『ふにゃ』
「うん」
「ラヴァイト達。一応、錬金薬を渡すから。場合により、訓練と思い使用するようにね」
「うん」
『ふにゃ』
ヴァレウスは、ラヴァイト達に、攻撃的属性補助薬、防御的属性補助薬、高率仮想体力回復薬、高率仮想体力範囲回復薬、高率継続仮想体力回復薬、高率仮想精神力回復薬、高率仮想精神力範囲回復薬、高率継続仮想精神力回復薬を複数個ずつ、渡す。流石に、属性攻撃関係の錬金薬は、役割、技能系統聖女・錬金術士複合では、製作が難しくて、渡せない。高役割段階成長、高技能系統熟練度成長の賢者・魔術師等は、単独戦闘能力が限定的なことから、人数がかなり少ない。
「うんしょ、うんしょ、うんしょ。ん」
『ふにゃ、ふにゃ、ふにゃ』
鷲馬猫も、翼猫も、器用に、錬金薬を、猫耳多重空間鞄へと収納する。
高率仮想精神力範囲回復、高率仮想体力範囲回復以外は、聖騎士・武僧の技能系統が相補的で、対応が可能。流石に、役割上級聖者・聖女には劣るとはいえ。それでも、ラヴァイトの役割段階成長、技能系統熟練度成長は、低過ぎるから。劣化再現であっても、ヴァレウスの役割段階成長、技能系統熟練度成長を反映した錬金薬を、用いることで、補う。『相当に均衡のとれた役割武僧とはいえ。役割錬金術士や役割戦士のように、錬金薬化による劣化再現を補う道具使用威力(効力)強化や道具使用範囲強化の技能系統が、ない。役割上級聖騎士も、役割武僧のように均衡型であり。他の役割上級と複合が、ある程度は可能としても。通常、役割上級間複合では、資源要素の分配が非効率的であり。武器補正が強同士で、強と中とが複合のように、超にはならないということに、繋がってしまう』
(もう少し、ラヴァイトを、擬似怪物等と対峙させた方が、良かったのかもしれないな)
リジョンザの役割、技能系統は、賢者・魔術師であり、後衛としてラヴァイトを補助できる選択とはいえ。後衛系の役割、技能系統であっても、翼猫なのなら、問題なく前衛を担うようなことが出来る。ラヴァイトの聖騎士・武僧が、防御重視なことから。攻防における属性付与において、最上級に強力な攻防の属性纏を可能とする(ことで、長所を伸ばし、短所を補う)ために、リジョンザは、賢者・魔術師を、選択したようなのかな。レッテリフの聖女・錬金術士も、聖騎士・武僧が届き難い、高率回復系技能系統等を、補う。
「ラヴァイト達。準備の方は、大丈夫なのかな」
「うん」
『ふにゃ』
「もし、足りなくなるような場合には、猫耳多重空間鞄の方を通じて、補給するからね」
「うん」
『ふにゃ』
「私にも」
「ええ。そのように、ルセレナン」
物化精霊質製の装備を、纏っていることから。怪物等の攻撃であっても、仮想体力の方は、損なわれないのだけれども。遠い未来に、「眷族」等が欠ける可能性を考慮して。物化精霊質製の装備を纏って、迷宮等探索を行うにしても。技能系統等の使用を練習する。
ヴァレウス一行は、初等中等迷宮第三層通路最奥大扉の向こう側に、入場する。
(ジフィウス形は、水属性。大扉は閉鎖。特殊地形なし。体力目盛りあり、核はなしと)
梟頭魚ジフィウス。全長七尺前後の海豹を、丸飲みするくらいなのなら。全長は、七丈を超える。加えて、梟の類は、顔盤が発達していて、嘴の幅に比して顔面が広いのなら。体格をそれに合わせると、途轍もない、大きさになるのだけれども。流石にないのかな。仮の器を構成する純雑質の資源要素量から、低位精霊の相転移炉の出力が、問題になる。
幾ら巨体であろうと器を動かすことに比べて、多量の純雑質を物化することには、遥かに資源要素量が、大切になる。
『梟頭魚ジフィウス。全長は七丈前後に及び。水中ではないことから、空中を泳ぐように移動するその移動速度は瞬間的に、三十五里毎刻に達する。鬼・魔霊級精霊形。水属性。梟頭にしては大きな嘴の下には、牙を多数備えた口となっている。耳羽を備えた木菟形。木菟形とはいえ。その嘴は太くて、多数の牙を備えた口を覆う程に、大きくはあるよう』
(獣霊級精霊において、四足獣形の殆どは、土・地属性となっているのなら。それらと対峙することでの属性成長は、水属性に対し有利なのなら。多少配慮は成されているよう)
「ん。ラヴァイト。体力目盛りが見えるね。ということは、恐らく、一応、一撃で討伐が終わり得るのかな。核は余りないのだから。核が破壊のために、位置を絞らないようね」
「大丈夫」
「ワラックル」
「ふにゃ」
「ホーツ」
「『錬金薬・高率継続仮想体力回復薬』、『錬金薬・高率継続仮想精神力回復薬』」
技能系統の使用において、声を出すことは大切ではなく。声に出さなくとも、一党構成員や連結一党構成員には、使用情報が伝わるようになっている。
「ホーツ」
ラヴァイトは、鬼・魔霊級精霊形という対象の推定脅威度の高さからなのか。錬金薬を用い。その間、ジフィウス形の水弾様射撃型水属性攻撃を、回避する。
(高位精霊たるワラックル等の威圧により、不発に終わったというよりは。流石に、開幕特殊行動が、設定されてはいなかったようなのかな。流石に、初等中等迷宮なのだから。とはいえ。ジフィウス形仮想体力が八割、七割という段階等で、特殊行動があり得ると)
「『防御的属性纏木』、『防御的属性纏土・地』」
リジョンザ、レッテリフも、対象の推定脅威度が高さからなのか。参戦をするよう。精霊は、役割段階成長、技能系統熟練度成長に、関係なく、(中位、高位精霊ともなると。各)属性要素が扱いに、相当程度の親和性が、自然にあり。「眷族」等が膂力のように、ある程度は、制約されるとはいえ。人間と比べると、相当程度、高くなっている。
「『錬金薬・防御的属性補助木』、『錬金薬・防御的属性補助土・地』」
役割上級聖者・聖女による技能系統『防御的属性補助』は、『防御的属性纏』程ではないとはいえ。一応、それに次ぐような強力な属性補助と、なっている。一部とはいえ、効果は重複し、それぞれの効果時間等が異なることから。隙を小さくすることが、出来る。
「ホーッ。ホッ、ホ、ホ。ホーツ」
ラヴァイトは、前衛として、前に出る。脅威度がある程度は高そうとはいえ。後衛役割の「眷族」等が、後衛であり続ける程の脅威だとは、思っていないよう。
(連続攻撃で仮想体力は、殆ど減らないのかな。前回は、最奥大扉の先へ入場前に、途中で帰還したのは、幾らか好ましい流れだったのかな。それにしても、多いようなのかな)
「ホーッ」
出力先が、初等中等迷宮最奥大部屋の床面が上の範囲属性攻撃を、ヴァレウスらは、効果範囲外へと退避することで、回避する。出力先が、初等中等迷宮最奥大部屋の床面が上の範囲属性攻撃では、迷宮等床面にはじかれてしまうことから。属性攻撃で、迎撃することが、幾らか難しいように思える。
(待ち時間が、殆どない。これなら、連射できるようにも。躱し続けるのは、難しいか)
蓄積動作等のある属性攻撃でなければ、迎撃することが、幾らか難しい。そのうえに、出力先が、範囲ともなると、一部分以外の迎撃は、より困難となるのかもしれないかな。
「ホーッ。ホッ、ホ、ホッ、ホ」
ラヴァイトは、ジフィウス形に、近接直接攻撃を、繰り返す。
(減り難いようなのかな)
「ラヴァイト。ジフィウス形の仮想体力目盛りが、見えているね。その目盛りが、数割等を割る時には、迷宮支配者側が、特殊行動を取る可能性があるから。気を付けるように」
「うん」
『ふにゃ』
「距離を取るか。距離を詰めるのかな」
「ええ。流石に、初等中等迷宮で、距離を詰めての回避は、余りないのかな。逃走訓練としては、好ましくはないのだから。怪物等は、討伐者を倒そうとしているのではないし」
「うん。基本的には、距離を取る」
「そうだね。距離を詰めることを考えることを、止めないのは、大切だね。口は出さない方が、よさそうなのかな」
「いいえ。問題ないのかな」
「うん」
『ふにゃ』
「ん。ありがとう。(アルウロム、トゥリベルは、出来るようになるのかな)」
「(数年はあるのなら。大丈夫では)」
「『錬金薬・攻撃的属性付与木』、『錬金薬・攻撃的属性付与土・地』」
役割錬金術士による攻撃的属性付与は、役割上級聖者・聖女の防御的属性付与がように強力ではないとはいえ。劣化再現であっても。ラヴァイトが役割武僧の攻撃的属性付与に比べれば、強力となっている。
「『攻撃的属性纏木』、『攻撃的属性纏土・地』」
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
レッテリフも、聖女・錬金術士とはいえ。翼猫として、近接戦闘能力に優れる。
(流石に、レッテリフの近接直接攻撃の威力ともなると。蓄積動作が余りないような属性攻撃が、解除されることも、あるようなのかな。いや、二回目からは、流石にそこまで)
攻撃的属性纏の補助対象は、ラヴァイトであり。流石に、翼猫達は、未だ本格的な参戦は、控える面があるようなのかな。ラヴァイトへの補助が、張り終えていないにしても。
『翼猫達は、近接戦闘能力に優れることから。得物を、短剣を束ねた短剣、長剣どちらの補正も可能な刃渡り二尺三寸の爪型にするとして。役割、技能系統を、選択するのかな』
(レッテリフが、前衛を担うことで、一党としての攻撃能力は、大丈夫そうなのかな。あとは、精神的な負担次第で、ラヴァイトが、長時間の探索・戦闘活動が、可能かどうか)
「……。ラヴァイト。仮想体力目盛りに、注意するようにね」
「うん」
『ふにゃ』
(ラヴァイトは、器用に空中を足場とするとはいえ。空中を足場としない対象にと対峙するに当たり、ジフィウス形の顎は、用い難い。討伐者側が、頻繁に空中を足場としなくても、槍や複合槍といった長柄の武器で、空中の擬似怪物への攻撃が可能なことに対して)
「ホーツ。ホッ、ホ、ホッ、ホ」
ジフィウス形は、射撃型、範囲型水属性攻撃を、中心に戦うとはいえ。攻撃の頻度は、比較的疎らとなっている。
(仮想体力九割、八割等、早期の特殊行動で、形態変化が、行われることになるのかな)
「仮想体力目盛りが、九割を割りそうなのなら。一応、より注意をするように。補助の貼り直しは、未だ大切ではないとはいえ」
「ホーツ、ホ、ホ、ホ、ホ」
「割ったよ」
(よし。ラヴァイトは、事前に距離を取っているし。レッテリフの離脱は、流石に速い)
「ホーツッ」
「翼。翼爪」
(空中における移動能力に、優れるとはいえ。流石に、翼爪を近接戦闘へ、用いるのは。まあ。梟形の前肢等となると、そのようなのだけれども。魚形としての機動力が、多少低下するにしても。今回は、後肢ではないのかな。翼等が加わるのは、機動力の低下どころか。大幅な向上にさえも、繋がるのかもしれないとはいえ。難易度調整の類なのかしら)
翼の単純強固さが確保され、空気抵抗がない(物化している関係で、野外等において無視するには、繊細な調整が大切になることから。混乱状態の精霊を統御している核には、難しい)こと等から。翼爪を、武器として用いることに問題は、幾らか少ないとはいえ。
「ホーツ。ホ、ホッ、ホッ、ホ」
様子を見て、ラヴァイトは、近接複合攻撃を再開する。
(流石に、未だ水属性攻撃が、擬似怪物側攻撃の中心なのかな。とはいえ。一応、翼爪を警戒して、討伐者側の攻撃箇所が、幾らか後半身側へと変わりそうでは、あるのかな。それでも、ジフィウス側は、未だ、形態変化を、複数回は設けているのかな。属性攻撃は)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(機動力の向上は、単なる射撃型水属性攻撃であっても。彼我の距離を詰めたり広げたりすることで。幾らか対処を、困難にしているようなのかな。とはいえ。レッテリフには)
素早く移動できなければ、射撃型水属性攻撃の回避は、困難になり。範囲型水属性攻撃への警戒により。空中を足場としないことを、選択し難い中にあって、射撃型の発射方向や出力位置(射撃型として、流石に、ジフィウス形からそれ程は、離れないとはいえ。位置取りの調整位は、補ってくる)が、多くなるようなのかな。
「ホーツ。ホッ、ホッ、ホ、ホ」
「八割の今回は、大丈夫だろうけれども。一応、警戒を」
ラヴァイトは、ジフィウス形と距離を取る。
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
レッテリフの近接直接攻撃で、ジフィウス形の仮想体力は、八割を割る。
(ん。八割を割ったとはいえ。何もないのかな)
「次の七割を警戒。形態は変わらなくても、属性攻撃等が、変わっているかもしれない」
(一応、機動力に変化はなさそうなのかな)
「ホーッ。ホ、ホ、ホッ、ホッ」
(ラヴァイトの連続攻撃に対して、今回は、幾らか後半身の姿勢維持に優れているようとはいえ。流石に形態変化もなく、防御能力が向上したという訳では、なさそうなのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(流石に、特殊行動や形態変化もなく。能力が類の振り分け等が、大幅に、変わるようなことは、初等中等迷宮においては、なさそうなのかな)
「ホーツ。ホ、ホッ、ホッ、ホ」
(射撃型属性攻撃は、解除されないとはいえ。流石に、そのまま迎撃のために、零距離等で、発射されるようなことは、ないようなのかな)
「恐らく次で、七割を、割るよ」
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(割った)
「ホーツッ」
(やはり、今回は、後肢なのかな。これで、殆ど木菟形なのかな。それでも、機動力の方は、低下しないのだろうな。防御重視の形態ではないから)
特殊行動としての属性攻撃は、未だないよう。
「ホーツ。ホッ、ホ、ホッ、ホ」
(翼、後肢で、側面、底面、後方からの攻撃が難しくなったことから。ラヴァイトは、上方から、近接複合攻撃を加えるのかな。「眷族」なのなら。空中を足場にするどころか、水平飛行状態で、強撃を放てる。未だ、補助を張り替える程、時は経ってはいないとはいえ。流石に、次までは。そのうえ、恐らく、五割の時には、形態変化や特殊行動が伴う)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
レッテリフは、正面から、ジフィウス形と対峙する。
「六割を割る前に、五割に備えて、補助の方を、張り替えるようにね」
「うん」
『ふにゃ』
(ジフィウス形が、機動力重視の関係から。リジョンザでなければ、対処できないようなことが、少ないのかな。属性攻撃の迎撃はしているとはいえ。余り高威力ではなさそう)
「ホーツ。ホ、ホ、ホッ、ホッ」
鳥形の後肢が関節は、逆関節のようだけれども。膝関節が隠れていて、足首関節が目立つことが、多いのかもしれない。
「ホーツ。ホ、ホ」
レッテリフは、ジフィウス形の仮想体力を、六割を割らせないように、調節を図る。
「『錬金薬・高率継続仮想体力回復薬』、『錬金薬・高率継続仮想精神力回復薬』」
「『防御的属性纏木』、『防御的属性纏土・地』」
「『防御的属性付与木』、『防御的属性付与土・地』」
「ホーツ」
(レッテリフは、流石に、道具使用威力(効力)強化は、用いない)
「『攻撃的属性纏木』、『攻撃的属性纏土・地』」
「ホーツ」
ラヴァイト等は、複数の射撃型水属性攻撃を、回避しながら。補助を、張り直す。
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(ん。レッテリフの近接直接攻撃で、六割を割る)
「ホーツ。ホ、ホ、ホッ、ホッ」
(六割では、大きな動きがないか。やはり、大きな区切りは、五割に)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(出力位置は、加速のための制約ではないようだから。恐らく、痛痒において、当たり方は余り関係なく。回避が大切になるのかな)
「ホーツ。ホ、ホッ、ホッ、ホ」
「五割。警戒。形態変化、特殊攻撃ともに」
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
補助は、張り直せているのなら。一応、準備に時間は、余り掛からない。
「ホーツッ」
(膨らんだ。というより厚くなった。魚よりの機動で、機動力の低下を補う形なのかな。収束射撃型水属性攻撃。大きな球から。線というか面に。射角を変化させることで、薙ぎ払うのか。とはいえ。継続的出力のために空中に留まるのなら。リジョンザが迎撃可能)
「『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(こちらは、面というか。立体的な攻撃なのかな。出力は、二箇所でも、多くに対して、迎撃が可能。しかし、特殊行動として終わらず、迎撃することになるとは。強いのかな)
土・地属性に、金・空属性を複合させることで、多量の砂礫を線状に、放出し続ける。金・空属性は、水属性に対して不利とはいえ。流石に、負とはならないのなら。土・地属性に、複合させることが、出来る。そして、流石に、空気抵抗がなく、多少軌道等が安定するかもしれないとはいえ。木属性攻撃を蔦のように、用いることで、複数の対象を迎撃するのは、相当難しい。
「ホーツ。ホッ、ホッ、ホ、ホ」
(ラヴァイトの近接複合攻撃でも、通りが少し良くない。流石に属性攻撃の継続が解除されるまでには、及ばないにしても。とはいえ。ジフィウス形の近接戦闘能力は、低下しているのかな。機動力も。この形態でも、属性攻撃重視なのかな)
ラヴァイトは、収束射撃型水属性攻撃の出力箇所の多い、ジフィウス形上方、下方を避けて、側面から近接複合攻撃を図るとはいえ。防御能力重視の形態がためか。流石に、ジフィウス形の翼爪による反撃には、力強さが、余り感じられないのかな。
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
やはり、レッテリフも、ジフィウス形側面から近接直接攻撃を、図る。
(レッテリフにも。攻撃的付与が。ん。まあ。数割を割る時宜の調整等を思うと、余り)
「ホーツ。ホッ、ホ、ホッ、ホ」
「『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(出力が四箇所に、器用だな。巨体のレッテリフが近接直接攻撃を妨げないように。全てを、撃墜は出来ないとはいえ。機会行動毎に、二回の制限がないのなら。出力先を調整することで、零距離、レッテリフの位置取り等に関係なく。迎撃可能なのだろうけれども)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(四回の機会攻撃で、一割を削れないとはいえ。流石に、後二回で、足りる筈なのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホッ、ホッ」
「『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(ジフィウス形の機動力が低下していることから。機会毎の近接複合攻撃の回数を、増やすのね。とはいえ。ラヴァイト。流石に、レッテリフから、試して貰いたかったのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ、ホ」
ジフィウス形の仮想体力が四割を割っても。特殊行動や形態変化が、恐らく、ないだろうことから。レッテリフも、機会毎の近接複合攻撃の回数を、増やす。
「ホーツ。ホッ、ホ、ホ、ホ、ホッ」
「『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(リジョンザは、単純な射角で、迎撃が可能な程に、出力箇所を、増やしているのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ、ホ」
(「眷族」等だから対処出来ているけれども。一般討伐者方では、難しすぎるのかな。そうなると。堕天使等が設置する新設本迷宮を踏破することで。相転移炉代わりの迷宮核を獲得するようなことは、相方精霊が、一、二体居たとしても。難しいということになり)
「ホーツ。ホッ、ホ、ホッ、ホ、ホ」
「『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(リジョンザ。ジフィウス形の属性攻撃を、凡そ迎撃したとしても。流石に、ジフィウス形を攻撃はせずに、動きを牽制するに、留めるのかな。ラヴァイトの討伐訓練なのなら。まあ。これで、レッテリフ、ラヴァイトは、位置取りを、余り制限されなくなるのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ、ホ」
「次は、三割だから。特殊行動や形態変化に、警戒を。属性攻撃の方も、射撃型中心から範囲型中心等に、変化する可能性があるのなら。注意をするようにね」
(補助の張り直しは、次なのかな。防御形態の次は、多くは、回避重視の高速機動形態なのかな。仮想体力継続回復等が、発動するのかな)
「リジョンザ」
「ふにゃ。『複合収束射撃型土・地属性攻撃』、『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
「ホーツッ」
ラヴァイトは、形態変化が予想される中、近接複合攻撃を加えるのを避け。リジョンザの属性攻撃により。ジフィウス形の仮想体力を削り。三割を割らせる。
(高速機動形態で、近接直接攻撃に。とはいえ。やはり、仮想体力継続回復が発動する。とはいえ。やはり、三割以上には回復をしないようなのかな。形態変化等の関係なのか)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(近接直接攻撃は、先ず、レッテリフが、対処)
「ホーツ。ホッ、ホ、ホ、ホッ」
(単純な防御能力の方は、五割を割った時の防御形態から、戻っているようでも。迎撃が大切ではなくなったから。実質的に、リジョンザは、属性攻撃を、中止しているのかな)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(構えの類は解かないとはいえ。より、介入が難しい段階の近接戦闘に、移っているのなら。流石にね。一応、基本的に、誤射の類は、防止されているのだけれども。気が散る)
「ホーツ。ホ、ホ、ホッ、ホッ」
(継続回復の効果で、未だ二割を割らない)
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
「ふにゃ。『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
(リジョンザの属性攻撃で、二割を割るも、直ぐに二割以上に。ここでは、回復上限は)
流石に、二割を割ることでの特殊攻撃等は、傾向的にないのなら。リジョンザが動く。
「ホーツ。ホッ、ホ、ホッ、ホ」
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(リジョンザの遠距離土・地属性攻撃で、ラヴァイトが攻撃の時宜がずれた分、レッテリフが、攻撃間隔を詰めて来るようなのかな)
「ホーツ。ホッ、ホッ、ホ、ホ」
「ホーツ、ホ、ホ、ホ、ホ」
「一割を警戒するとしても。もう、ここは、攻撃を継続、止められないのかな」
「ふにゃ。『複合収束射撃型土・地属性攻撃』」
「ホーツッ」
(形態変化で、継続回復上限が、変化するも。継続回復自体は切れず、超過分が直ぐに)
「ホーツ。ホ、ホッ、ホッ、ホ」
「ホーツ。ホ、ホ、ホ、ホ」
(流石に、継続回復分等、削り切れない)
「後肢から、前肢に、付け替えたようなより攻撃的な形に」
「ホーツ」
(ラヴァイトの攻撃を躱す。リジョンザは、流石に、もう、追撃はしないか)
「ホーツ。ホ、ホ」
(継続回復分を、レッテリフが削り直して)
「最終攻撃に気を付けて」
「ホーツ、ホッ、ホ、ホ」
「ホーツッツ」
(良し。最後は、ラヴァイト)
「ふにゃ」
分離した前肢は、レッテリフが、受け止め、撃墜し。複数の牙は、正面ではない分、回避が多少用意だったのか。ラヴァイトが、回避、迎撃する。
(不意を衝くのなら。流石に、属性攻撃ではなく、直接攻撃の類)
「ラヴァイト。初等中等迷宮を、踏破だね。ん。報酬の方は、どうなのかな」
「ん。銀貨一枚、報酬上限、一万二千アスタリ」
『ふにゃ』
(一応、子ども扱いされるだろうラヴァイトとは、算定割合が異なるとしても。ん。流石に、報酬上限には届く程の高い脅威度となるような迷宮支配者という設定だったのかな)
「レッテリフ、リジョンザ、ラヴァイトは、「眷族」等だから。一般禁止に関する野外活動特許設置の方は、関係ないのだけれども。一応、認識票の方に、踏破が記録されるね」
「ん。うん」
(可愛い)
『ふにゃ』
『ふにゃあ』
「ふふ。それでは、央の国離宮の方へと帰ろうか」
「うん」
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、央の国離宮へと向かう。
『ただいま』
『ふにゃ』
『おかえり』
「初等中等迷宮を、踏破したよ」
『ん』
「ああ。こちら側への制約は、変わらないのですが。擬似怪物側への補正が、大きくて」
『相当程度の脅威度の類となると。良かったね。レッテリフ、リジョンザ、ラヴァイト』
「うん」
『(可愛い)』
『ふにゃ、ふにゃあ』
「年齢が年齢だからね」
「ヴァレウスは、自ら」
「(そこは、一応、立場が異なるのかな。制約の関係で、竜、龍の違いというよりは)」
「そうなのかしら。ええ。それこそ年齢補正が。ん。そこは殆ど報酬面だけなのかしら」
「ええ」
『ふにゃ』
「ヴァレウス。次は、どうするのかしら」
「一応、物化因子や擬似薬草の交換が、起こっていないかを、簡易検査等よりも詳細に」
「擬似薬草を焼くのが、好きね。ふふ。その後は、惑星間郵便物等輸送ね。惑星間旅行の結果、幾らかありそうなのでしょう」
「ええ」
「うん。そうだね」
『ふにゃ』
「告知して、始めたのだから。第三回、第四回のことも、考えるのよ」
「ええ。それも。変化を加えられるのかは、別ですが」
『それは、そうだね。とはいえ、応募者数を考えると』
『ふにゃ』
「三回目、往路。四回目。レッテリフ」
『ふにゃ』
「ふふ。そうだね」
「ん。それでは。皆で、配膳を行おうか」
「ええ」
『うん』
「ふにゃ」
夕食を終え、各々、自室等へと戻り。また、一日が終わろうとしている。
(新設計擬似薬草、新設計の巨大結合物化因子や、新規の巨大結合属性要素が、交換は、両星において、範囲境界や目視除去の徹底で、大丈夫と。意図的な持ち込みは、困難であり、一応、真偽判定の類があるのなら。大丈夫と。とはいえ。両星それぞれにおいて、優占的な擬似薬草とそれに関係の深い物化因子。それと、優占的な擬似薬草の数量に、問題は、なさそうなのかな。範囲境界間通過交換が行われずに、摂取されずに元の星に戻された食品等深部構成要素等においても、問題はなかったと。人間の体内から、物化因子を除去するより。範囲境界内への優位性・優先権が保持の有無と、除去介入受入承諾の有無から。目視除去での残存等可能性が、若干上がり得るのだけれども。大丈夫そうなのかな)
ヴァレウスは、央の国離宮へと帰還する。
(明日は、一応、機会毎に回収した擬似薬草等に対する標本調査なのかな。頭数は大切とはいえ。ラヴァイトでも難しいのなら。流石に、アルウロム、トゥリベルには、より困難と思われるのなら。星の海に関わる設定変更については、明日と別の機会にするのかな)
各機会における擬似薬草や、それに伴う物化因子構成割合には、これと言った異常値はなく。やはり、機会の回数が多いことから、幾らか時間が掛かってしまったとはいえ。一応、堕天使等の計画に繋がるような発見はなく、標本調査を、終えることが出来たよう。また。ヴァレウスは、惑星間郵便物等輸送の方も滞りなく、行うことが出来た。
そうして、後日、ヴァレウス一行は、東の国離宮へと向かった。
『こんにちは』
『ふにゃ』
『いらっしゃい』
『ふにゃ』
『ラヴァイトちゃん、ヴァレウスちゃん』
『アルウロム、トゥリベル』
『今日は、どうしたの』
「星の海」
『星の海』
『ふにゃ』
「現世等で、惑星が恒星の周りを公転するようなこととは。両星というか。両系・両世界は、異なるから。仮想光点・星々の方を、擬似的に、両惑星の周りを公転させようかと」
「季節で、星々の見え方が、変わるようなの」
『変わる。ん。季節、長いよ』
『ふにゃ』
「日々での変化は、小さいから。それくらい長い尺度で、違いを思い、表現するのかな」
『変化は、小さい』
「恐らく、一日では、一周の三百六十分の一くらいなのだろうからね」
『それは、小さいね。ルセレナン』
『ふにゃ』
「範囲境界の調整に慣れている惑星間旅行者等なのなら。そちらで、調整すれば、再現できることなのだけれども。慣れていないと、席を立ちたくなるとして、立てないからね」
「床面や天井を透過させるようには、思えても。既に窓があって、窓以外の壁面を、透過させようとは、思い難いよね。天井は空いているから、比較的想像し易そうでも」
『うん。天井、壁面、床面は、残ってないと、不安になるね』
「うん。座席とその下の床面だけでは、足りないよね。他の乗客が居るのを、無視できなくて、見え難い所もあるから」
「ああ。まあ。人間に、人間を無視する形の視覚調整は、性質上、難しいよね」
『たぶん』
「アルウロム、トゥリベル。一緒に、宇宙空間への荷車内に、行こう」
『うん。行く』
『ふにゃ』
「ルヴァレリ。大丈夫でしょうか」
「ああ。ルセレナン。お前が、付いているのだろう。問題は起こらせまい。とはいえ。アルウロム、トゥリベル。気を付けるのだよ」
『うん』
『ふにゃ』
『一緒』
「うん。そうだね」
「それでは。ラヴァイト。今回も、第三回目、第四回目が往路等の練習として、レッテリフが牽引する精霊荷獣車ということに、なるのかな。猫耳多重空間鞄が準備は、大丈夫」
「ちょっと待って。うんしょ、うんしょ、うんしょ。ちゃんと、輓具、あったよ。前回、ちゃんと、猫耳多重空間鞄の中に、直したからね」
『ふにゃ』
(可愛い)
ラヴァイトが、レッテリフに、胴輪で荷車を繋駕し。ヴァレウスは、運転室の助手席に着く。アルウロム、トゥリベル、ルセレナンは、乗員室代わりへと搭乗し。レッテリフは、怪物等に、追われるようなこともなく。順当に、星アステルを脱出する。
『到着』
『ふにゃ』
「床面と天井は、どうするの」
『最初は、窓だけでの見え方を』
『ん。多分、変わらない』
「ええ。まだ、星々の巡りを変えては、いないからね。幾らか変化した様子を、試しに」
『変わった』
『ふにゃ』
『一季節、土用を含めて三箇月間も、変えなくても。流石に、気付く者は、気が付くのかな。どのようにかわったのかは、わかるかな。アルウロム、トゥリベル』
『うん。横に、右回りかな。ルセレナン』
『うん。そうだね。現世等では、惑星が恒星の周りを左回りで、公転するようなのなら。この世界らしく、一応、惑星の位置は変えずに、星々を右回りということにしたのかな』
『ふにゃ』
記憶の残滓からというよりは、「眷族」等が聴いた、世界を超える精霊達の話からは。
「星エストラが、陽月の巡りからすると。曲率調整巨大岩石惑星表面状大陸面に対して、垂直に巡り、西中、東中しない周期もあるとはいえ。白夜、極夜の方が、目立つからね」
「床面、天井の透過は、試すの」
「ええ。そうだね。先ずは、床面の方から」
『右回りで変わったの』
『そうだね。とはいえ。座席等に、隠れるとはいえ。アルウロム、トゥリベルは、それぞれ見ようとして、見えはするから、窓側よりは、わかりにくいのかな。たとえ、星雲・銀河が、写真等のような色彩で、比較的区別が付き易くてもね』
『うん』
『ふにゃ』
「星の海を見る時には、床面透過より、天井透過の方が、好ましいかもしれないのかな」
星の海を眺めるというのは、発着時等に、惑星内で、集落等の景色を眺める場合と、多少異なるのかもしれない。
「うん」
『うん。落下はしないとしても。床面はね』
『ん』
『ふにゃ』
(アルウロム、トゥリベルは、怪我をしないからか。落下等を、余り気にしないのかな)
「惑星の外で、右も左も、上も下も、ないのかもしれないけれども。気にはなるのかな」
「うん。気になる」
『ふにゃ』
(人間の子孫や人間としての記憶の残滓があるのでもなくて。普通に、星の外で活動ができる。精霊達も、そのようなのなら。アルウロム、トゥリベルも、何れ気にするように)
「……。窓の類は、どうしようか」
『残す』
『うん』
「うん」
「ええ。ん。見え方が限られることで、変化が気になるような面が、あるようだからね」
『ふにゃ』
「ああ。それで、アルウロム、トゥリベル。このまま星エストラに、行って見るのかな」
『うん』
ヴァレウス一行は、精霊荷獣車で、星エストラに到着した後に、東の国離宮へと帰還をする。
『ただいま』
『ふにゃ』
「おかえり」
『星エストラに、行ったの』
「そうか。何か変わったことは、あったのかな」
『ないよ。星アステルと違いは、わからないよ』
「ああ。大森林、大山脈が、共通するくらいだからな。星と精霊とのあり方も、同様なのなら。わかり難いのだろうよ。まあ。だから、「眷族」として、両星を同じように扱うことが、出来るのだから」
(各貴族家領地間ですら、移動の制限がある文明水準なのだから。余りに大きすぎる領地間の差が、生じるようなことは、好ましくはない。一つの聚成帝国としてあるのだから)
『文明水準の類が、過当競争により発展するのか。そのようなことがなくとも。抑えることの出来ない、人の望みや思いで、発展するのかな。それらを、過当競争は、損なう面はあるのだろうから。過当競争はあるにしても。族滅規模の生存競争が、村落の規模を超えて、ある訳ではないのだから。都市規模で集落としての仕組みが、失われ得るにしても』
「それでは。ルセレナン、ラヴァイト。行こうか」
『うん』
『ふにゃ』
『いってらっしゃ』
『いってきます』
『ふにゃ』
ヴァレウス一行は、これ以上、アルウロム、トゥリベルを連れ回さないように。二体をルヴァレリのもとに残し。央の国離宮へと向かう。
『ただいま』
『ふにゃ』
『おかえり』
『ふにゃ』
「アルウロム、トゥリベルは、いないのね」
『ええ』
「そう。とはいえ、迷宮等へは、行かないのよね」
「うん」
『ふにゃ』
「そうね。流石に、日帰りしない。惑星間旅行に、アルウロム、トゥリベルを、関わらせ過ぎることは、出来ないわね」
「ええ。まあ。ラヴァイトは、帰還させた方が、好ましいのでしょうか」
「まあ。流石に、大丈夫だよ」
「そうね」
「そうなの」
『ええ』
『ふにゃあ』
「それでは」
『ええ。それでは』
ヴァレウス一行は、ヴァレウスの部屋へと向かう。
(遭遇は極めて稀とはいえ、人間にとっては絶対的な怪物等という脅威に晒されていて。転移所がなければ、多くの人々にとって、集落間の移動は、困難とはいえ。転移所があることで、都市と周辺村落との結び付きが薄くなるようなことは、避けたい。基本的に、貴族家領を超えて、各財政専売所・討伐者組合外へと、移動できるのは、通常、(反収や人口の構造的に、農地保有等が困難な)討伐者に、限られるとはいえ。財政専売所等関係を除き、(財政専売所等があることで、基本的な資源は、聚成帝国中で、入手が可能なのだから)産業連関の基礎的な他部分は、周辺集落間で形成されることが、貴族領のあり方としては、好ましいのかな。転移所は、距離は考慮しない(聚成帝国にあって辺境が存在し続けるということを、許容することは出来ないのなら)とはいえ。従量制で、数量、重量等は、利用料金や利用制約に関わるのなら。転移所によって、生産物として重視されるものこと(情報)が、軽く高価な物品ばかりとなることが、促進されるようなのは、避けたいのなら。郵便物等輸送のような取り組みを、行うことに繋がるのかもしれないのかな)
聚成帝国にあっては、対外競争等(異世界等からの干渉)が基本的に、あり得ないのなら。資源を集中させること等により、意図的に、先進地を形成するようなことは、欠かせないという訳ではなく。同様に、先進地を形成する反動として、辺境が辺境のままあり続けてしまうようなこともまた、欠かせない訳ではない筈なのだろうから。都市問題の類を避けるための選択先としても、村落が好まれる可能性はあり得るとはいえ。外からだと。
各貴族家領の村落等における開発の類は、順当に、貴族家当主等(任期二十年以上の長期計画に及び得るのなら、当番を超えて意思疎通し)、計画、調整、実施、評価、調整される。とはいえ。辺境等開発を目的として、帝国行政職員組織により、交付金等が支給され得る。そのため、代官貴族担当領地において、両貴族家は緊密に連携し、開発事業が任期次第で容易に、覆り得ることではないというふうに、示し続けることが、大切になる。
「人形遠隔操作端末を利用すれば、討伐者組合等外に、出掛けるようなことが、出来るとしても。有名な都市や観光地ばかりに、転移先が偏ることにも、繋がってしまうのかな」
「貴族家領主が、領地に責任を負う以上、その領民を移動させるようなことを許すのは、困難とはいえ。流石に、人形遠隔操作端末を用いるのなら。当該領民が、領地から離れないということを、仕様的に、目視的に、保証することが、出来るのなら」
「とはいえ。人形遠隔操作端末の利用により。財貨の移動が偏るというのは、避けたい。各財政専売所等で、集落の特産品等を扱うのなら。調整は可能とはいえ。特産品の価格というのは、様々なのなら。まあ。そのような訳には、行かないのかもしれないのだよね」
「利益等を調整したとしても。今度は、各地へのその還元において、問題が生じ得ると」
「ええ。まあ。そのような問題に対処するのが帝国行政組織といえば、それまでだけど」
「「眷族」等側の都合だからね」
「ええ。まあ。予算執行を伴わないことで、帝国行政組織等の介入を受けないとしても」
(特産品の類は、地元の討伐者を介して、入手が可能なのかな。まあ。転移所で大量に移動させることは出来ないのだけれども。一応、行程を半分にするようなことは、可能と。行きの荷を捌けないのなら。遠隔地商人にとって、どうなのか。関係施設として、真偽判定の類が可能な「眷族」等が、出入りする可能性がある討伐者組合等にあって。地元討伐者が、商会等に対して、詐欺の類を行うとは、考え難いけれども。正規の広告が大切に)
「ふにゃ、ふにゃ」
『ふにゃ、ふにゃ』
(可愛い)
『ふにゃあ』
「星の海が絵葉書を、販売しているのは、財政専売所だよね」
「ええ。ラヴァイト。ん。聚成帝国の規模からすると、少額に留まるとはいえ。他の要素等と合わせることで、各集落等で、調整することが、可能となるのかもしれないのかな」
(ラヴァイト。鷲馬猫、鷲猫、獏、翼猫達に、夢中なようで、しっかり考えて居るのね。ん。公正さを思うと、振興対象は辺境の類となるとして。辺境等振興の方策としては、惑星間旅行のように、村落と村落を、精霊荷獣車で、結ぶことになるのだろうけれども。村落毎に、分かり易い特色が、あるのだろうか。それぞれの村落側が、人数は限られるとはいえ。財政専売所・討伐者組合(宿泊施設を含む)は別としても。数十人旅行者を受入れるようなことが、可能なのかどうか。そうなると、辺境は辺境でも、都市ということに。滞在時間を工夫して、村落も、都市もということに。まあ。人形遠隔操作端末は問題ないとしても。精霊荷獣車を牽引するような中位、高位精霊の数が、少な過ぎるのなら。惑星間旅行同様に、広くは行えない。というか、惑星間旅行に付随する形等で、行うことに)
基本的に、集落間移動がない関係で、通常、村落に、村落外の者が、数十人滞在するための財政専売所で得られない物資が、常備されているようなことは、余り考えられない。
(集落間移動か。役割、技能系統における瀕死の仕組みによる身体保護等が、あるとはいえ。範囲境界を用いての身体保護が出来ないのは、制圧可能性の低さから。とはいえ。範囲境界展開条件を工夫すれば、用いることも。ん。目視範囲というか、範囲境界が暴露する目視可能距離において、怪物等の属性要素や伴う物化因子の感知を以て、展開可能に。まあ。資源要素供給が不安定で、信頼性が低いのなら。期待し過ぎるのは、どうなのか。展開時の移動速度の方も、厳しい制約を設けることで、集落内等への介入を、防止して。併せて、各集落等を覆う目視範囲対象設定境界に、特殊登録することで、目視範囲境界内では、利用が制限される程の優位性・優先権獲得に、制限することで、利用を可能にと。まあ。初等中等迷宮突破から、外出特許が設置された遠隔地商人等に、向けてなのか。貴族家領主等は、人々の移動を好まないのなら。人形遠隔操作端末利用が、大切なのかな)
「ふにゃ、ふにゃ」
『ふにゃ、ふにゃ』
(可愛い)
『ふにゃあ』
(ラヴァイトは、また、何かに思い至るのかどうか。討伐者を増やしたいとして、何か。筐体、没入型仮想現実用気密容器での人形遠隔操作端末操作に、習熟すれば、迷宮等探索において、アクリス形擬似怪物等に対峙することが、出来る者達が、増えるのだろうか。習熟し過ぎた場合は、生身での範囲境界利用と、感覚的に変わらなくなるのかもしれず。とはいえ。基本的に、人形遠隔操作端末は、単純強固さが足りないことから。怪物等を対峙する相手として、過度な期待等をされるようなことは、避けられているようなのかな)
「ふにゃ、ふにゃ」
『ふにゃ、ふにゃ』
ラヴァイトは、精霊達に、夢中なよう。
(流石に、短時間で、何度も、何かに思い至るというようなのは、難しいことなのかな。ん。とはいえ。人形遠隔操作端末操作に対しては、夢魔という脅威が、あり得るのなら。拠点の方を防衛すれば、大丈夫とはいえ。広く利用するのは難しい。放棄したとしても、対消滅光炉等を含めて、怪物等に、吸収されるのは、防止されている。制圧可能性のために、単純強固さを比較的低くしていることから。対消滅光炉等を搭載したり、吸収防止用の加工をしたりすることは、幾らか難しいのだけれども。一応、設定可能ではあるよう)
人形遠隔操作端末を通して、野外で間接的に活動するとして。怪物等に遭遇する可能性が高まってしまうのなら。討伐者として活動するようなことは、より敬遠されてしまう。
人形遠隔操作端末は、怪物等を統御する核側にとっても、実力者による解放を期待する囚われの低位精霊側にとっても。余り魅力のないような対象として、設計・設定とすることが、出来てはいるのかもしれない。
(人形遠隔操作端末で、間接的に出掛けることが出来るようになったとしても。転移所の従量制料金から。一貴族家領から、消費が流出し過ぎるようなことは、避けられるのだろうから。貴族家側からの反対は、一応、避けられるのかな。貴族家関係者も、人形遠隔操作端末を、利用したいのだろうから。転移所利用で問題なく購入出来てしまうような小さく軽く高価な商品というのは、代替品を含めて、各貴族家領で、製造、供給されていることは、稀なのだろうから。それ程、深刻な消費の流出とはならないのかもしれないかな。惑星間旅行においては、集落の外に出られるということが注目されて、村落については。ん。転移所を利用するのだから。中継地点の類を設けることで、人形遠隔操作端末利用者を集め、対夢魔等の拠点防衛が負担を軽減することが出来るのなら。導入できないとも)
「どこ領がどこかしら都市圏産の何かを、購入したい」と思える程の情報を、一般領民が、持ち合わせているとは思えないのなら。「どこ領がどこかしら大都市圏産の何かを、購入したい」と、なってしまうのかもしれないのなら。正規の広告は、大切になってくるのかもしれないのかな。
比較的大きく重く安価な差別化されていない(財政専売所で取り扱いのない)食品というのは、遠隔地商人ではなく、行商人の類により、限定された範囲、幾つかの中核都市圏間から、供給されることが望まれるのだろう。ある程度の数量で、確保しようと思わなければ、転移所を通したとしても、それ程、負担とはならないとはいえ。貴族家に、富はないのなら。そうして、小さく軽く高価な商品を、貴族家関係者が、比較的容易に購入できるという訳では、ないから。特産品に成り切れていない、比較的大きく重く安価な差別化されていない(財政専売所で取り扱いのない)食品というのは、期待してしまうのかな。
「ラヴァイト。人間が、中位、高位精霊と仲良くなるためには、何が大切なのだと思う」
「ん。人間と相方になりたいような精霊は、集落にだって、出入りするのだろうから。人間の方から。何かをするというのは、特になさそうなのかな」
『ふにゃ、あ』
「ん。それは、そうなのかもしれないのかな。とはいえ。精霊達には、気になることが」
『ふにゃ、ふにゃ、ふにゃ』
「やっぱり。大森林等から出て、集落周辺で、微細精霊を超えて、目立つというのは、難しいようなのだね」
『ふ、にゃ』
「一応、そのようだって。ルセレナン」
「そのようだね。まあ。嘗ての相方等を、探すでもなければ、集落に近づくのは。略人間側に、捕捉されるとは思えないとはいえ。精霊としては、避けるのかな」
『ふ、にゃ』
「現世等でのかつての相方というのは、我々、嘗ての「獏使い」等を、別として、余り」
『ふにゃ』
(まあ。基本的に。中位、高位精霊と仲良くなれそうな人間というのは。「眷族」等に近く、何れ霊仝人に至るような人で、数多く人数がいるような者では、ないのかな。王侯)
ヴァレウスとしては、討伐者・戦闘以外のあり方で、精霊と人間とが、相方になって貰いたいのだけれども。難しいのかもしれない。
(精霊との関係性が、代々維持されることを期待するのなら。やはり、「眷族」等との関係性を、代々維持できているような貴族家関係者等ということに、なってしまうのかな)
「ん。擬似食物。前世等からの相方精霊を探した前回と、一緒」
『ふにゃ』
『ラヴァイト』
(精霊達の反応からして、それは、効果的なのかな。ん。食べ物か。まあ。誰であってもということでは、ないにしても。手段としては、心配になる程に、手軽過ぎるのではと)
『絶対者を意識することが、現世等以上に綺麗な場所には遠くても、現世等以上に避けようのない辺獄・冥界においては。精霊崇拝どころか、精霊崇敬さえ、避けることになる』
(だから。辺獄・冥界においては、精霊に食物を供えるという習慣は、存在し得ないのなら。精霊に、食物を渡すというのは、王侯等にとっては、効果的な作戦となる可能性が)
「……。ん。貴族家の子ども達が集まるような公式というか「眷族」等関連での場がないというのは、困る面もあるのかな。まあ。定期的にそのような場が設けられても、困る」
「グリュプスやヒッポグリフの好物は、果物や魚介類なのかな。例が増えたけれども」
「鷲馬猫も、鷲猫も。猫は猫とはいえ。能力的な問題なのか。比較的入手が容易な食物を常食とする訳ではなさそうだから。個体次第でも、果物や魚介類で大丈夫そうなのかな」
「うん」
『ふにゃ』
「まあ。荷車を繋駕して、見た目上に問題のないようなある程度の体格なのであれば、鷲馬猫、鷲猫に限定するようなことは、ないのだけれどもね。鷲馬猫を期待してしまうね」
「うん。猫だから。獏も可愛いけれども。最上級妖霊でも、一応、低位精霊だからね」
『ふ、にゃ』
「獏は、体格的に問題はないけれどもね。「眷族」等でなければ、物化因子の目視除去等は、出来ないからね。ソムドロム」
『ふにゃ』
「擬似食物を渡すにしても、流石に、低位精霊は、警戒心が強いのだろうから。中位に。まあ。貴族家の関係者に、特に親しい者が居る訳ではないのなら。最初は、アルウロム、トゥリベルが、試すというのは、どうなのかな。ん。仮に、偶数体とはいかなくても、せめて、精霊が複数体集まらなければ、非常に困る状況となるのだけれども。ルセレナン」
「アルウロム、トゥリベルの二人には、それ程、立場上の違いがある訳ではないのなら。諦めが付くような現世等からの関係性でもなければ、直ぐに、何方かが選ばれることは」
「うん。複数体の精霊が集まるのには、猶予があるのかな」
『ふにゃ』
「それでは。ルヴァレリの方に、話を通して。ん。ヴァルノアにも、一応、話を。ん。アルウロム、トゥリベルが、擬似食物を用いて、精霊を誘き寄せると。まあ。人間の子孫として、人間の霊性を持つにしても、「眷族」なのなら。一般臣民と、「眷族」等との精霊への親和性が類というのは、大きく異なるのだとしても。可能性を量るために、確率は」
「ルヴァレリも、特に反対は、しないのだろうけれども。ん。アルウロム、トゥリベルが近くに居ない状況で、話を通すというのは、少し、時間帯が限られるのかな。内容的に」
『うん』
『ふにゃ』
(ルヴァレリが、アルウロム、トゥリベルに聞こえないように、細工をするとは、余り)
ヴァレウス一行は、時を待って、東の国離宮へと向かう。
『こんにちは』
「ただいま」
『ふにゃ』
「ええ」
「ルヴァレリ。アルウロム、トゥリベル、二人に、相方精霊の類を探しても、問題はないでしょうか。大森林等に近づくことに、なるのですけれども」
「ああ。そうだね。恐らく、構い過ぎて離れるような精霊は、相方とはならないし、多少年齢を重ねたところで、余り変わらないのだろうから。とはいえ。ルセレナン。あの子達には、事前に、複数体見付からない可能性を、伝えて置くのだよ。前世等からの相方精霊が、この世界やエストラの方に、転移して来る時宜が訪れるための条件というのは、容易に、揃いはしないのだろうから」
「ええ。そのように」
「まあ。今回は、今日ではなく、明日等からと、するのだよ」
「ええ。そのように」
『そのように』
『ふにゃ』
「ん。ヴァルノアには、こちらから、話を通しますから。そのことは、大丈夫ですので」
「ああ。そのように」
親族の殆どが、精霊というか猫等に、恐らく、構い過ぎてしまうのだろう。
『それでは』
『ふにゃ』
「ええ。それでは」
ヴァレウス一行は、央の国離宮へと向かう。
ヴァレウス一行は朝、東の国離宮へと向かう。
『おはよう』
『ふにゃ』
『おはよう』
『ラヴァイトちゃん、ヴァレウスちゃん』
『ふにゃ』
「ルセレナン。アルウロム、トゥリベルに、今日は何をするのかを、説明はしたのかな」
「まあ。計画の詳細は決めていないから。少しね」
『相方精霊探し』
「うん。そうだね」
『ふにゃ』
「ええ。それで、アルウロム、トゥリベル、準備の方は、大丈夫なのかな」
『うん』
「そうだね」
『ふにゃ』
「猫耳多重空間鞄、一緒」
『一緒』
(ん。流石に、アルウロム、トゥリベルくらいだと。東の国離宮から出掛ける前に、終わらせて置かなければならないようなことは、ないのだろうから。これで大丈夫そうかな)
「……。アルウロム、トゥリベル。準備の一環として、朝食等で、果物は食べたのかな」
『うん。撮み食いはしないように、食べたよ』
『ふにゃ』
「朝食で、ヴァイイト達も、大丈夫なのかな」
『ふにゃ』
「果物だけ」
「擬似食物とはいえ。変質はするのなら。流石に、魚を長期間、晒すのは、避けた方が」
「相方精霊探しは、長期間になるかもしれないの」
「まあ。基本的に、今回は、現世等で相方だった精霊達を、探す訳ではないのだからね」
「見付かるのかもしれないけれどもね」
「一応、力を抑え、「眷族」等とは、わからないようにするのなら。判別等が、困難に」
「そうなんだ」
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