第六夜 『おいてかないで』
こんな夢を見た。
家族とショッピングセンターにいきました。
でも、そこはいつもと違っていました。
駐車場がすごくすごく広くなっていました。
地平線が見えるくらいずっとずっとずーーっと駐車場でした。
そして、新しいおもちゃ屋さんがありました。
そのおもちゃ屋さんにどうしても行きたくて、家族と離れてお店の入口まで行ったけど、ドアは開かないし、中は暗くてお休みみたいでした。
大きな窓から中をのぞくと、ぬいぐるみがたくさん並んでいました。
でもそれより奥は見えません。
私は、そのぬいぐるみが欲しいなと思いました。
もしかしたら、パパが買ってくれるかも。
でも、振り返っても誰もいませんでした。
家族は、私を置いて先に歩いていってしまいました。
私が大きな声で呼んでも振り向いてくれません。
一生懸命走るのに、足がぜんぜん動かなくてうまく走れません。
パパもママも妹も3人で手をつないで、どんどん遠くなっていきます。
どんどん、どんどん離れていって、とうとう地平線の向こうへ消えてしまいました。
とても怖くなりました。
どっちを向いても駐車場しかありません。
いつのまにかおもちゃ屋さんもなくなって、乗ってきた車もなくなって、なんにもない、アスファルトの地面だけがずっと続いています。
他の車も一台も止まっていません。
もっともっと怖くなりました。
走りたいのに脚が動かなくて、ばたんと転んでしまいました。
痛くはなかったけど、体も動かなくなりました。
助けてって思うのに、声も出ません。
ものすごく怖くて泣きたいのに、泣けません。
なまぬるいアスファルトの上で、ひとりぼっち。
うつ伏せに転んだから、息もうまくできないよ。
怖いよ、苦しいよ。
すっと影が動くのが見えました。
目だけは動いたから、一生懸命に影を見ました。
大きな大きなトラックが、ゆっくりとこっちに走ってきました。
私のところへ。
ゆっくりまっすぐ走ってきます。
私はここにいるよ。
気づいて!
トラックはどんどん近づいてきます。
大きくな大きなタイヤが眼の前に…。
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