第2話 高台

なにが起きたのかわからない。


ふと青空が見える。

父が死に母は末期の胃がんで闘病中。


先の見えない不安が津波のように押し寄せる。


でも、笑わないといけない。

母にはまだ伝えていないのだ、父の死を。

ならば、自分は折れてはいけない。


笑え、笑え、笑え、辛い時こそ嫌な時こそ。

から元気でも元気だ。


無理にでも笑えば、楽しくなる。

辛い時は、散歩する。

自然公園の中を樹木に囲まれた中を。

木々から揺れ落ちる木漏れ日を。

静かに肌と耳をくすぐるそよ風を。


そして、高台に上がり、下を見る。

人が小さく見えるここ途に気が付く。


『そうだ、人なんて世界から見れば小さいんだ。

その小さい人がたくさんいるんだ。

自分もその一人なんだと』と。


高所が怖いくせに高い所に行きたがる。

名所のタワーや山寺。


高いところから景色を見る。

世界は、広く、人は多い。


そんな中であがいているのは自分だけでは無い事。

さあ、前を向こう。

苦しいのは自分だけじゃない、と。

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