第3話 — 骸骨の叫びと境界の掟
ツキヨは霊廟に入り、できるだけ素早く扉を閉めた。
そして急いで階段を駆け下りる。
死者の世界から抜け出したことがバレる前に、戻らなければならない。
どれだけ時間が残されているかも分からない。
逃げようとする者には罰がある。
だが、罰の内容は誰も語らない。
考えないようにして、ツキヨはさらに足を速めた。
階段の底に到着し、周囲を見渡す。
誰も近くにはいない。
今なら、誰にも気づかれずに戻れる。
彼女は門を通り抜け、すぐに閉めた。
振り返ると、腕を組んだ誰かが立っていた。
それは、筋肉質な男性のような体格を持つゾンビの女性だった。
多くの者が彼女を「老母(ろうぼ)」と呼んでいた。
生前、彼女は孤児院を運営していたという。
ある悲劇的な事故をきっかけに、死後は墓地周辺の子供たちの世話をしている。
ツキヨは若くはないが、老母は彼女に特別な思いを抱いていた。
ツキヨの願いを信じてはいなかったが、毎日それを追い続ける姿を決して咎めなかった。
「自分が何をしたか分かってる? 行くよ! 奴らが来る!」
ツキヨは老母の表情に驚いた。
いつもよりも、ずっと深刻そうだった。
腕を引かれながら、ツキヨは考える。
「私が地上にこっそり出たから…?」
「こんな風に心配されたこと、今までなかったのに…」
数歩進むと、近くの路地にたどり着く。
老母はツキヨを引き寄せ、門の様子を覗かせた。
前のシフトの門番と、今のシフトの門番たちが集まっていた。
何かが始まろうとしていた。
そのうちの一人が、指で口笛を吹こうとする。
「フィー…フィー…」
他の門番たちは笑い出す。
一人が背中を叩くと、笑いながら肋骨が地面に落ちた。
門番は怒り、仲間の背骨を引き抜いた。
その門番は崩れ落ち、足だけが立ったまま震えていた。
まるで、何が起きたのか理解できていないかのように。
怒った門番は、勢いよく吹き鳴らす。
すると、どこかから音が聞こえ始める。
マラカスのような音が響き渡る。
そして、急ぎ足で現れたのは——
浮遊する骸骨だった。
門番は骸骨に話しかける。
骸骨は、顎をカタカタ鳴らしながら同意するように頷いた。
そして、叫ぶ。
「ラララララァァァァァ!!!」
その声はあまりにも大きく、作業中のゾンビたちは動きを止めた。
墓が揺れ、幽霊たちは空へと舞い上がり、門の方へと集まってくる。
門番は太った幼虫を空中に投げる。
骸骨はそれをパクッと食べ、骨の山の中へと消えていった。
そして、彼が来た。
歩ける限界の速さで現れたのは、警備隊の隊長。
小柄で傲慢なミイラ。
誰もが彼を「ミイラ将軍」と呼んでいた。
彼が到着すると、門番たちは緊張した面持ちで彼を見つめる。
「何をボサッとしてるんだ、風頭ども! 俺を持ち上げろ!」
門番たちは彼を持ち上げる。
そして、演説が始まる。
「なぜ俺が呼び出したか、分かってるだろうな?」
「我々には、たった一つの掟がある…」
「死者は、生者の世界を越えてはならない。」
「なのに、なぜ俺はこんな無駄な時間を使って、またこれを言わされてる?」
すると、門番の一人が小声でつぶやいた。
「…自分の声が好きだからだろ…」
「何だと?」
ミイラ将軍はその門番の頭を踏みつけ始めた。
頭蓋骨が砕け、地面を転がっていく。
「解散。」
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