最弱武器で頑張る方法

みたらし団子

プロローグ

GCS、正式名称はGroup Combat Survivalといいアクティブユーザーは100万人を超える超人気のVR戦闘ゲームである

このゲームは一つの武器を選択し5対5で戦う対人ゲームで最終的には相手の陣地にある「ロッド」と呼ばれる宝物を多く自分の陣地に持って行ったチームの勝ちとなる

数多くの戦術が存在し、フィールドも広いことからかなり自由性のある対人ゲームとなっている


俺「はあ…買ってきたはいいものだなぁ…」


困惑しながら購入してきたソフトと前日に既に買っていたVRゴーグルを眺めているのは俺、神崎蒼(かんざきあおい)。今年で高校1年生となったアオハル真っ只中の学生である。

なぜ俺がこんなに困惑しているのかというと、それはこのゲームを買わされた経緯にある


一週間前


中村「だから!絶対おもろいから買った方がいいって!てか買え!」


工藤「ホントにね、てか今俺たち4人しかやってないからもう一人欲しいよね」


俺「はぁ...」


中村大成(なかむらたいせい)、同じく高校一年生のクラスメイト。こいつとは小学校からの付き合いでお互いがお互いをよく知っている関係である。


工藤燈(くどうひびと)、こいつも...っていうかそもそも今ここにいるやつらは同じ高校の一年生。こいつともう一人は他クラスだけどね。こいつとはこの高校で出あって今は休み時間によく喋る間柄だ。


上田「いや結構マジよ?なんならお金俺らが援助したっていい、なあ?」


尾松「そうね、いくらしたっけあのゴーグル」


上田「ちょっと調べてみるわ」


上田駿(うえだしゅん)、中村と同じくクラスメイト。こいつとは工藤と同じタイミングくらいで知り合って偶に二人で飯に行くくらいには仲が良くなっている


尾松大樹(おまつたいき)、こいつは他クラスで多分中村の次くらいに仲がいい。なんでかって?こいつの趣味俺と似てんだよね。


中村「いくらやった?」


上田「えっとね、12万やって!wたっか!こんな高かったっけ」


工藤「えっと?つまり?一人...」


尾松「24000やね、いやー必要経費か?一旦」


俺「...まあお前らがそんなに出してくれるならやるよ、さすがにそこまでやってほしいと思ってるとは知らんかったし金出してくれるならね…」


上田「お!!」


中村「キタコレ、とりあえず明日みんなでVRゴーグル買いに行くか!」


尾松「ソフトは自分で買ってな???7000かそこらへんだから」


俺「はーい…」


尾松「なんでしょぼくれてんだよw」


工藤「え?別に俺払わないよ?」


中村「え?w」


上田「おいひびカスええてw」


俺「ほなやめとくかぁ...」


中村「よし、尾松!殺せ!」


尾松「腹か顔どっちがいい?」


工藤「ええ!?」


俺・上・中「www」


そして現在に至る


俺「あいつら…「今日やるから最初の待機町まで来い」って言ってたけど…」

なんもこのゲームの説明されなかったしなぁ...テキトウすぎるだろ


俺「えっと、ここが電源ボタンで...お!ついた!じゃあ早速やりますかぁ」



俺「おお!?すげえ!見える!なんやこれ、プレイヤー名?あーなるほど?」

えーどうしよっかなぁ~!なんか、いいかんじの名前がいいよね


俺「…そういえば俺惑星好きやったな、そっからなんか付けるか」

うーん、せやなぁ~新星のことnovaっていうしテキトウにいじってanov(アノⅤ)とかどうよ!うわ、俺天才だわ


俺「anoVっと…よし、できた。ほんで?あー初期武器の選択ね」


次へ、ボタンを押すと目の前にはたくさんの武器種がでてきた


日本刀、大剣、大楯、バット、ナイフ、ハンドガン、スナイパーライフル、弓...色々あるなぁ


俺「...これはなんだ?」


俺が気になったのは『インパクト』と書かれた武器種。他とはなにか違うな...


詳細を見る、というボタンをクリックするとこれまた4種類ほど武器が出てきた


俺「インパクトグローブ...?」

説明欄には攻撃力を強化するグローブから衝撃波が出るらしく殴る意思を持って殴るとグローブからインパクトが発射され2mほどのところで爆発するらしい

え、俺その爆発に巻き込まれん?って思ったけど使用者の30cm手前で爆風は止まるようだ


俺「...どうやって拳で銃だったり刀に対抗すんだよw」

まったく意味がわからない、まず攻撃可能範囲、まあ要するに射程だ。この射程が刀や銃に負けているしそもそも拳で敵を倒していくとかいう脳筋スタイル。誰が選ぶんだよこんなん...


俺「...」

どんなバカが選ぶんだろうな。こんな武器




武器の選択を終えた俺は最初の町と呼ばれる『ピースフル』という町に降り立った


俺「えっと...町に来たら『KZN』って名前の店に来いって言ってたよな...」

どこだよその店。え?いやマジで


俺「うわぁ...早速詰んだか?」

めんどくせェ...人に聞くか?いや、コミュ障にはさすがに厳しいな...


???「あの~なにかお困りですか?」


俺「!?あ、えっとぉ~」

え、やばい、話しかけられちゃったよ...まずいな…


???「あ、すいません、困ってそうでしたのでつい声をかけてしまいました。自分は『ロッキー』と言います。たぶん初心者さんですよね?」


俺「あ、はい。今初めてログインして…えっと『KZN』っていうお店ってどこにあるかご存知ですか?」


ロッキー「『KZN』!あそこならここからあの風車の見えるほうに行って二個目の十字路を右に行ってすぐのところにありますよ。何か用なんですか?」


俺「えっと…友達がそこにいるらしくて…」

やばい、陰キャムーブすぎる


ロッキー「なるほどですね、では他に何か困りごとがないのであれば失礼させていただきます」


俺「あ!ありがとうございました!」

親切な方だったなぁ…俺もああいう人みたいに他人に親切でありたいもんだ


そう思いながら俺はお店に向かって歩はじめたのであった

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