第3話闇の使徒

僕とアキトは、並んで雲を駆け抜けていた。

雷と炎が交わり、空は光に満ちていた はずだった。


だが、雲が黒く染まり、空気が重く淀んでいく。

アキトの青い瞳が、じわじわと黒く濁っていった。


「アキト……?」


「……消えろ」


低く呟いた瞬間、アキトの拳から黒炎が爆ぜた。

轟音と共に、炎の衝撃が僕の身体を打ち抜く。


「うわぁっ――!」


雲の足場が砕け、僕の身体は暗闇の下へと落ちていった。

風が耳を裂き、心臓が潰れるように痛む。

このままじゃ 、死ぬ。


その時だ。


ビビビッ ー ッ!


紫色の閃光が、夜空を切り裂いた。

落ちゆく僕の身体を、強い腕が抱きとめる。


「大丈夫か?」


見上げると、そこには紫髪の少年がいた。

水色の瞳は冷静に光り、黒いパーカーの裾が風に揺れている。

下は紫の短パン 、どこか異質で、けれど力強い存在感。


「君は……?」


僕はユウ。闇の使徒だ」

紫の光を纏い、彼はアキトの方へ鋭い視線を向けた。


「……あの赤髪の子を、救うために来た」


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