第4話 左手の秘密

 湊の左手には紋様が書いてあった。 


 その紋様は、紫色の円の中に赤いひし形の図形が浮かんでいて、その中央に赤い瞳のような点が描かれていた。


「僕の左手には魔王の力の一部を封印しているんだ。だからいつも左手に包帯を巻いているんだ。」


 湊は至って真面目に話しているが、俺は逆に中二病ではないかと思い始めていた。


「へぇ。そうなんだ。本格的な紋様だね…。」


 うーん。これは本当に中二病かもしれないな…。


 俺のそんな心情を察したのか、湊は必死に説明してきた。


「本当だよ!さっき南京錠を壊したのも魔王の力を使ったからだもん!」


 確かに、さっきの現象は魔法と言わないと説明できないだろう…。


「本当に魔王の力があるんだね…。なんかカッコイイ!」


「カッコイイでしょ!ドヤドヤ!」


 湊は誇らしそうに胸を張ってにやけていた。


 俺の中に湊が中二病であるという疑惑は完全に消え去った。


 ふと湊の左手に目を向けると、紋様が禍々しく光っているのが見えた。


「湊の左手が光ってるんだけど!これまずいんじゃない?」


 俺は焦りながらも、湊にその事を伝えようとした。


「左手が光ってる?」


 湊は自分の左手を見ると驚き、


「やばい!包帯どこにしまったっけ…。」


 ポケットを探り始めた。


「大丈夫?手伝うよ!」


 俺は湊と一緒に包帯を探した。


 包帯は見つかったが、湊の顔色が悪い。


「湊。体調が悪そうだけど大丈夫?」


 湊は俺に包帯を渡して、か細い声で言った。


「左手にこの包帯を巻いて…。」


 俺は湊から包帯を受け取り、湊を座らせてから包帯を巻き始めた。


 生まれて初めて中二病でよかったと思った。


 中二病だった頃に包帯なんて数え切れないぐらい何度も巻いたからだ。


 包帯を巻き終わり、湊を見るとさっきよりよ顔色が良くなっていて安心した。


「湊。体調は大丈夫そう?」


 そう聞くと湊は笑って言った。


「うん。大丈夫!」


 その後、俺たちは教室に戻りそのまま授業を受けた。



 放課後


 俺は湊と一緒に帰っていた。


「湊。体調は大丈夫なのか?」


 俺は心配で今日だけでも数十回は聞いていた。


「隼人。本当に大丈夫だって!何回も言ってるじゃん!」


 湊はめんどくさそうに答えた。


「心配なんだよ!今後も同じ様な事があるかもしれないし…。」


 俺は心配しているのに、めんどくさそうに答える湊に少しイラッとして声を荒らげてしまった。


「今回のケースは特別というか…。魔王の力を使った後に包帯を巻いてないと体調が悪くなるんだ。でも、いつもは気をつけてるんだよ!」


 俺はその言葉を聞いて安心したのと同時に疑問が湧いた。


「ていうか、そもそも魔王って何?」


「魔王を説明するには魔法を説明する必要があるんだよね。長くなるけど聞いてくれる?」


「興味あるし聞くよ!」


「まず昔の世界には魔法がありました。魔法は漫画とかアニメでもあるように魔力を使って炎を出したりするやつね。」


「それで魔法はすべての人が使えるわけではなくて、生まれつき使える人とそれ以外がいるわけですよ。」


 全ての人が魔法を使えないのは珍しいと思った。


 俺が今まで読んできた物語は魔導書みたいなのを読めば魔法を使えたりしていたからな…。


「魔王は魔法を使えたのか使えなかったのかは知らないけど、魔法に関することにすごい才能があったみたいなんだよね。」


「その才能を使って国家転覆?をしようとした人が魔王って呼ばれてるんだ。今は魔法で封印されてるはず。」


「人を封印する魔法なんてあるんだね。」


「封印する魔法ってか、石化の魔法だったはず。」


「そうなんだ。それで、なんで湊の体に魔王の力を封印してるの?」


「魔王を封印するために、できるだけ力を削がなくちゃいけなかったんだ。だから、魔王の持っていた魔法を奪って僕たちの体に封印してる感じ。」


「僕たちってことは湊以外にも魔王の力を封印してる人がいるってこと?」


「うん。僕の親戚が他の魔王の力を封印してるんだ。それぞれ違う家系でね。」


「湊の魔法は物を崩壊させる魔法だよね?他の人達はどんな魔法なのか気になるな!」


「そうだね。僕も詳しくは知らないんだよね。だから、今度親戚で集まったときに聞いてみようかな…。」


「俺は親戚であんまり仲が良い人がいないんだけど、湊はいるの?」


「うん!未来路みくろお兄ちゃんがいるんだ!会うたびに遊んでくれるんだよ!」


「それはいいね。」


 俺たちは楽しく魔王や魔法について話していたが、いつも湊と別れる道に着いてしまった。


「じゃあ、また明日話そうね!バイバイ。」


「うん!そういえば魔王とかの話しは国家機密だから誰にも話さないでね!」


「わかった!」


 俺はそう言って湊と別れた。








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