地下闘技場
「いけー!お姉さま!」
「不謹慎な第三課の奴らに目に物を見せてください!」
「やれぇぇえええええええええ!」
「どっちが勝つと思う?両方とも、共闘経験があるだろう?お前は」
「わからん!だからこそ、このマッチは面白い。一度、共に戦ったからこそわかる。彼女は、化け物だ。だが、五条様も等しく化け物。私の想像の範疇にはいないな」
な、なんでこんなことに。
多くの魔法少女たちに囲まれる中、僕は途方に暮れる。
「……お父さんも、余計なものを作りやがって」
恨むべきは、お父さんなのかもしれない。
今、僕がいるのはお父さんが主導で作った魔法少女用の地下闘技場だ。
大量の魔法少女たちを聴衆に抱え、僕はこれから魔法少女ランキング第一位の五条さんと戦わなきゃいけなくなっていた。
まさか、あの流れで本当に模擬戦をする羽目になるなんて……くそぅ。これが出来てしまう地下闘技場を作ってしまったお父さんの責任でしょ!これはもう!
不可能だからで逃げられなくなった!
「ごめんなさいね」
僕が内心で頭を抱えていた中、自分の前に立つ五条さんが謝罪の言葉を口にする。
「こんなつもりじゃなかったのだけど……第一課のみんなの不満が、大きすぎて私一人じゃ抑え込めなかったわ。第一課の頂点に立つ者として、みんなの意見を無視するわけにもいかなくてっ……貴方にも迷惑をかけてしまったわ。本当に、ごめんなさい。謝ってすむような話じゃないと思うんだけど」
「……あっ、はい」
謝られるとは露にも思っていなかった僕は五条さんの謝罪に対し、何とも言えない生返事を返す。
「いや……あのっ、えっ?」
「ふふっ、そんな、困惑しないで頂戴?悪いことをしている自覚があるわよ。貴方たちだって、……理想論ではなく、現実論で必要でしょう。その、組織があることはこんな立場だもの。聞き及んでいたわ」
「あっ、そうだったんですか」
「だからこそ、本来なら私は止めなきゃいけない立場なんだけど……ごめんなさい」
「いやいや全然!別に、気になさらず。あれでナイーブになるなら第三課にはいないです。自分も、他の二人も」
「あら、そう……それなら、良かったわ。ライブ、私も見たわ。その上で、……ちょっと勝てそうにないというのが私の結論」
「……ありゃ?」
始める前から降伏宣言?
なら、もう模擬戦そのもの辞めにしない?
「でも、それで引くことも出来ないの。私の全力、ぶつけてみるから……その上で、超えて頂戴。馬鹿なあの子たちにもわかってもらえるように」
「……えぇ、もちろん」
まぁ、当然なしにはならないよね。
仕方ない。やるしかないか……あんまり気乗りしないけど───赤宝族を叩きのめした時、異世界で戦っていた時のような物騒な感覚が戻ってきてて、うーん、あまり人と戦いたくないんだけど。
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