桜姫伝〜世界で一番偉い"姫"になっていた件〜
RUKA
第1話 朝のお支度。〜私が桜姫になった日〜
エピローグ
これは500年前のある国のお話。そこにはとても美しいお姫様がいらっしゃいました。名前は雪姫。彼女は言いました。
「500年の時を経て、この国には春が訪れる。また私のような姫が来るだろう。彼女は春のように暖かい笑顔を作り、桜のように可憐で儚い顔立ちをしている。彼女の生きる向こう100年はこの世界は安定に包まれ、民は毎日笑顔で暮らすことだろう。」
と、予言を残し、雪姫様は歴史の影へと埋もれていきました。そして今日がその500年後。さぁ、この国の春が始まります。
第1章
「姫様、姫様、朝でございますよ。」
「んー…もうちょっと…」
お母さんだろうか、私のことをまた今日という地獄へ連れ出そうとしている。え、あれ、なんか声しゃがれてない?
驚いた私は布団をぶちまけるように飛び起きる。ボサボサの髪、寝起きの間抜けな顔、とてもではないが見てられない。て、そんなことより隣にいるおばあちゃん誰?!私の目の前にはお面を被った巫女装束の老婆がいた。は、どゆこと?それに後ろにも地雷系の巫女装束を着た女性が2人立っている。んー、まじで地雷系のお姉さんだわ…まだ頭がよく働かない。今も目の前の光景を少し受け入れてしまっている。よし、どういうことなのか聞いてみよう!
「あの〜…どなた…です?」
気まずい空気が流れる。しかし途端に私の部屋には品のある笑い声が響いた。
「何言っておられるのですか?またまた姫様面白いことを…お告げは聞いておられないのですか?」
お告げ…?なんだそれ…
「お姉さま、まだこの方は生まれたばかりといっても過言ではございません。姫様、夢は見ていらっしゃいませんか?」
この巫女さんはおしとやかなのだろうか、もう1人の巫女さんとは違い、物静かに私に尋ねる。それにしても夢…あっ!
「夢の中で凄い綺麗な青系統の十二単衣?を着ていた女の人なら…」
うろ覚えだが何か言ってた気が…まあいっか!でもホントになんなんだろう…
「あぁ、ありがたや、ありがたや」
え、なに?!急に3人とも合掌し始めたんだけど?!老婆の人なんか土下座してない?!
「そんな、私死んでるんですか?!やめてください!」
そういった瞬間だった。急に3人は手を合わせるのをやめ、私を見つめてきた。
「申し訳ございません。以後気をつけます。」
「では、姫様、お着替えしましょう!手伝いますよ!」
地雷系の巫女さんはそう言って夢の中で見た人が来ていた物と同じような綺麗な十二単衣を取り出した。
「では、2人ともお願いね。姫様、私はお支度の準備をしてまいります。」
そう言って老婆の巫女さんは私の部屋から出ていった。そして…まって、これ着るん?!そんな…私に似合うか…
「私にはもったいないです。見ての通りみすぼらしい者なんで…」
そりゃそうだ。クラスでは一応中心に立たせてもらっているし、自慢ではないがかわいいともよく言われる。でも、夢の中にいたあの女の人とは比べものにならない。
「何を言っておられるんですか?ほら、見てください!この世の何物よりおきれいでございますよ!」
元気な巫女さんは手鏡を取り出して私の方に向けた。そして、鏡に映っていたのは私が夢にも思い描いた綺麗な姿だった。透き通るような白い肌には毛穴1つ見つからず、きれいなぱっちり二重。髪は見た人を皆惹きつけるように滑らかな漆黒。自分では何だがとてもきれいだ。
「あなた様はこれから"桜姫"でございます。過去のお名前は捨て、これからは世界の頂点として生きていくのです。」
頭が追いつかない。世界の頂点?桜姫?そしてまずこの姿はなんなんだ?たくさんの疑問が浮かんでくる。そんな事を考えながら十二単衣を着させられ、もういらないだろうメイクも施される。そして私はされるがまま家族にお辞儀をされながら黒いリムジンに乗せられた。
あとがき
皆様こんにちは。RUKAです。触れないだろうと思っていた和風ファンタジーに触れてしまいました。書いててとても楽しいです。楽しすぎます。楽しすぎて書く手が止まらないので今夜にも第2話を公開予定です。あの夏の日のラブレターは明日からは桜姫伝〜世界で一番偉い"姫"になっていた件〜と並行で執筆予定です。これからもよろしくお願いいたします。
RUKA
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