第3章 唸る海水

第21話 海水浴1

「「ああああ!!!うーーーみーーーだーーー!!!」」

「うるさいわ!」

「「あいだっ!」」

龍牙と潮崎が魁斗達に叩かれていた。今、俺たちは海に来ている。まあ、夏休みだし?遊びたいから来た……っていう訳ではない。

実は数日前…


「零!日向!ちょっと来てくれるー?」

母さんが俺たちを呼んできた。

「なんだよー」

「なーにー?お母さん」

「あなた達バイトしたくない?」

「は?バイト?」

「え、なんで?」

「うん、実は、お母さんのお友達がね、海の家を夏の間やるらしいんだけれど、来るはずだったバイトの子が辞めてしまったらしいのよ。それで、そのバイトの子がいなくなった穴埋めをしないといけないんだけれど、人数が少ないからどうしても回らないらしいのよ、それで私の方に頼み込んできてさー」

「つまり…?」

「海の家でバイトしない?」

「「…………えええええええええ!!!」」


まあ、つまり、母さんの頼みでこの海の家で数日バイトすることになった。ならば、なぜ?龍牙や潮崎がいるのかというとー


「え!れいちゃん、海の家でバイトするの?いいなーーーー」

「いや、俺家でゴロゴロする予定だったのに、それを潰されたんだから、最悪だよー」

「そんなこと言ってー可愛い女子とイチャコラするんじゃねーのー?」

「はぁ…あると思うか?そんなこと」

「そうだけれどよー夢みたいじゃねーかー」

「はぁ…ゲームしたーい」

俺はトホホってなりながら学校の机に突っ伏していた。すると…

「俺も行っていい?」

「え?」


という感じで、何故か一緒にバイトするーとかで今ここにいる。ついでに、魁斗達も誘ってくるねーとか言って、本当に魁斗達を連れてきやがった。メンバーは俺、龍牙、魁斗、日向、悠真、潮崎、小鳥遊さん、桜花里さん、そして…

「いやー夏だねー!!」

「……はい、夏ですね」

なんとなんと、凍野さんと七瀬さんの2人も参加するらしい。

聞いたところによると、2人とも小鳥遊さんのお友達らしい。そして、何故か日向も友達になっていたらしい。いつの間にか……

まあ、だからだろうか、龍牙と潮崎のテンションが高いのは……

「れいちゃーん!あーそーぼーうーぜー」

「アホかー!先に海の家の手伝いじゃボケー!」

「いたた!痛いってーれいちゃーーん!!」

俺は龍牙を叱ると、龍牙の耳を引っ張って、海の家に向かった。


「よく来たね!みんな!ようこそ!海の家

『マーレ・サナーレ』へ!」

この人が母さんの友達、林原 圭(はやしばら けい)さん。一応、海の家のオーナーである。

「「「「「お世話になります!」」」」」

「うん!元気があっていいね!ところで、聞いてた人数より少なくないかい?」

「あー実は…ここにいるメンバー以外は遅れてくるらしくて…」

「ああ!なるほど、分かった!とりあえず、今いるメンバーで回してもらえると助かるよー」

「すみません、ありがとうございます。」

「いやいや、頼んでいるのはこっちだからねー、さ!仕事服に着替えてきて!」

「はい!」

俺たちは海の家にあるそれぞれの部屋に入って着替えた。


「いらっしゃいませ!お客様、何名様ですかー?」

「お待たせしましたー!ヘルシー南蛮でーす」

「ありがとうございました!また、お越し下さい!」

現在時刻午前10時

海も解放されて、お客さんが来るようになってきた。俺と龍牙、潮崎がホールで接客担当、魁斗と日向がキッチンで林原さんをお手伝いすることになった。まあ、俺は料理が出来なくて、龍牙と潮崎はキッチンで変な料理を作ったため、キッチンは出禁と言われていた。

まあ、2人とも元気があるため、接客の方が向いていたと思う。


「なんか、忙しすぎない?!お昼前なのにー」

龍牙が嘆いていた。すると…

「ごめん!遅くなった!」

「ごめんなさい!遅くなっちゃって!」

小鳥遊さんと桜花里さんの2人が到着した。

「遅いよー2人ともー」

日向がキッチンから大きな声を出してそう言った。

「ごめんごめん!日向!すぐに準備する!

あ!オーナーさんですか?」

林原さんを見つけた桜花里さんは、林原さんのところへ走って行った。

それから、林原さんとお話をし終えると、すぐに自分の部屋がある階段を登って行った。それに続いて、小鳥遊さんも登って行った。

「来れたみたいだな」

「だなー!よし、これでさらに仕事が捗るぞー」

「はいはい、ほら、お客様の接客するぞ!」

「おーー!!」

俺と龍牙もせっせと働いた。


小鳥遊さんがキッチンに、桜花里さんがホールでの接客担当になった。みんながそれぞれの仕事をこなしていった。12時ごろになると、多くの客が押し寄せてきた。

そこへ…

「遅くなっちゃってごめん!!」

「……すみません……遅く……なりました。」

七瀬さんと凍野さんの2人が到着した。

「お!来たみたいだな!小鳥遊さんー」

「はい!何ですかー?って…!2人とも!」

小鳥遊さんが驚いていた。キッチンから飛び出してきて、七瀬さんと凍野さんのところに向かった。

「2人とも!もう、遅いよー」

「あははは!ごめんごめん!やっと用事が終わったから、来たんだけれど、大丈夫そ?」

「今、めっちゃお客さん来てるところだから!2人とも手伝ってー!」

「分かった!任せてよ!」

「…任せて」

2人ともすぐに林原さんのところへ小鳥遊さんと一緒に向かい、すぐに階段を上がった。

「れいちゃん!大変だよー」

「何だよ!龍牙!」

「『図書館の花』と『流星姫』の2人が揃ったよ!!」

「はいはい…分かったから仕事しろー!!」

「へーい」

俺たちはすぐに接客した。


「いらっしゃいませ!何名様ですかー?2名様!あちらのお席が空いております、どうぞお座りください!」

「いらっしゃいませー!」

「ご注文お伺いします。」

「メロンソーダでお待ちのお客様!お待たせいたしました!」

「ありがとうございました!また、お越し下さい!」

店が繁盛しまくっていた。

(めっちゃ人来るじゃん!!これ、俺たち来なかったら、林原さんと数人で回す予定だったのか?!無理じゃね?!)

俺はヘトヘトになりながら、必死に働いた。


「みんなーお疲れ様!!今日はもう、店を閉じるから、終わっていいよー」

「「「よっしゃーーーーーー!!!!」」」

俺と龍牙と潮崎の3人が思わず叫んでしまった。

「いやー、人、めっちゃ来たね!」

「めっちゃどころじゃないですよ、あんなに人が来るなんて…」

「あははは!まあ、毎年のことだからねーさて、それじゃあみんな!これが給料よ!受け取って」

林原さんから給料をいただいた。

「うお!めっちゃある!」

「こら、龍牙!今ここで金額見るな!」

もらってすぐに見てしまった龍牙を叱った。

「みんなのおかげで何とかなったよーありがとうね?零くん日向ちゃん、また、頼んでもいいかい?」

「いいですけれど、程々にしてくださいよー」

「流石に連続で入るのは無理ですからね?」

「あははは!分かってるよ!本当にありがとうね?」

林原さんは何度も感謝していた。


「れいちゃん!みんな!これからどうする?」

龍牙が俺たちにこの後の予定を聞いてきた。

「俺は休む」

そう言って魁斗は自分の部屋に戻って行った。

「了解!みんなは?」

「俺は海で遊ぶかなー?」

「零と同じかな?」

「俺もー遊ぶー」

「私は後片付け手伝ってくるねー」

「じゃあ、女子は手伝おうよー男子は後で、重いもの運びやってもらうから」

みんなそれぞれのやりたいことを言ったが、結果的に、女子は片付けをして、その後で海に行く。男子は、先に海で遊んだから、重い荷物運びをすることになった。


「「うおおおおお!!うーーみーーだーーー」」

「それ、朝もやってたじゃん」

俺は龍牙と潮崎にツッコミを入れながら、悠真と一緒に海を見ていた。まだ、多くの客がいて、人で賑わっていた。

「何する?れいちゃん」

因みに俺たちはみんな、海パンを履いている。まあ、泳ぐかどうかは分からないが、海に行くならばって海パンを履かされた。

「泳げば?」

「いいね!よし!行くぞれいちゃーーーーん」

「な…!はーーーなーーーーせーーーー!!」

突然、俺のところまで走ってきたかと思ったら、俺の腕を掴み、無理やり引っ張ってきやがった。抵抗しようとしたが、こういう時の龍牙の力が強いため、俺は抗うことが出来ず、海に放り込まれた。


「何すんじゃーーーー!!」

「あはははは!!!」

大爆笑している龍牙に俺はピキッとなった。

そして……

「りゅーーーーうーーーーー?!」

「れ、れいちゃん?!か、顔が……怖いんですけれど…………」

「覚悟は出来てるよね?」

「えっと……」

「ぶっ殺す!!ボケアホバカーーーー!!!」

「いーーーやーーーー!!!」

龍牙を追いかけて、捕まえると、海に沈めてやった。


「えっと、何してんの?」

日向が仕事を終えたのだろう、俺たち男子を呼びにきたみたい。ただ、その光景を見て、固まっていた。

龍牙が砂に突き刺さっていて、潮崎がそんな龍牙の体を木の棒でツンツンしていて、悠真は呆れていた。俺は手に木の棒を持っており、さっきから龍牙のお尻を叩きまくっていた。

「龍牙をしばいてんの」

「なんで?」

「こいつが余計なことしてきたから」

「小学生か!!」

日向にツッコまれ、龍牙を助けることになった。


「はぁー助かったー、めっちゃいてぇんだけれど?」

「知らんがな」

「ひどい!れいちゃん…」

おーいおいおいと嘘泣きをする龍牙。

「よし、もう一回やってあげようか?ん?」

「いえ!何でもありません!…んで、日向っち終わったの?」

「うん、終わったから呼びにきたんだけれど……アホだね?あんたらは」

「あははは!!照れますなー」

「いや、褒めてないし、まあいいや、重い荷物を運んでねー?」

「了解」

俺と龍牙、潮崎と悠真は日向に言われた重い荷物を運び出した。


「終わったぞー」

俺は日向を呼びに行った。すると、海の方にパラソルが立っていて、そこに女子達が待っていた。

「遅いぞー、ほら!早く!」

日向が手招きしていた。俺たちが急いで向かうと、女子達が水着姿になっていた。

「「うおおおおおおおお!!!」」

龍牙と潮崎がめっちゃ叫んでいた。日向は青のフレアビキニで、フリフリのレースがついていた。小鳥遊さんは、黄色のオフショルダーで少し大人っぽさが出ていた。桜花里さんは、桜色のクロスホルターで、とてもセクシーな姿だった。七瀬さんは、水色のフランジビキニを着て水色のパレオを腰に巻いていた。凍野さんは、白色のボーイレッグのビキニに上から紺色のラッシュガードを着ていた。

「どうどう?めっちゃ可愛いでしょ?」

日向が俺の前でクルクル回っていた。

「おー、似合ってんじゃね?」

「…反応うっす!!」

なんか、日向ががっかりしているようだった。

「な、なら、他のみんなはどうよ?!」

そう言って、日向が女子のみんなの方を向くようにしてきた。

まあ、見るんですけれど…

「男子!そんなにジロジロ見て来んなよ!」

桜花里さんが男子達に牽制してきた。

「まあ、いいんじゃないですかねー?」

俺はあやふやな評価をした。

「はぁーこれじゃあれい兄に春は来ないわー」

「なんか言ったか?」

「何でもないでーす、よし!遊びますか!」

「「「「「「「「おーー!!」」」」」」」」

俺たちは海に向かって走って行った。


※あとがき

どうも!こんにちは!七瀬 芽衣です!

みんなで海に行ってるよー!男子も女子もめっちゃ楽しそう!私も!思う存分楽しむぞー!


次回、海水浴2 現れるクラム

お楽しみにー

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