第2話 俺、入学する

3人で草薙学園の校門までやってきた。

「でっけー!この学園の校舎も校門もでかくね?」

「そうだねーめっちゃ広そう。れい兄、迷子にならないでよ?」

「なるかよ、何歳だと思ってんだよ」

「え、小学2年生」

「中学生でもないんかい!そんなちびっこじゃねーよ!」

「あはは!やっぱり仲良しやなー、ほら、クラスの番号見に行こうぜー」

俺と日向のいつもの漫才を一旦切り上げて、番号を見に行くことにした。


「えーっと、俺の…番号は…あった!1-2だ」

「私は、1-2だね…って、れい兄と一緒じゃん!」

「俺も1-2だ、こりゃ面白いことになりそうだな」

「面白そうなことってなんだよ龍牙」

「だって、俺とれいちゃんが一緒だぜ?中学の時を思い出すなぁー」

俺は龍牙の頭を手で掴み、力を入れた。

「痛い痛い、やめろよー、れいちゃーーーん」

「思い出してんじゃねーよ、中学の時のあれは、お前のせいだろーが!」

「痛い痛いってーごめんてー」

「れい兄達、こんなとこで遊んでないで、行くよ!めっちゃ目立ってるから」

日向に怒られたため、手を離してやった。

それから、周りの注目を浴びながら、教室まで急いで向かった。


1-2に到着した俺たちは教室の中を覗いた。

登校する人が多い時間だったため、教室には多くの生徒が自分の席に座っていたり、話していたりしていた。

俺たちも、自分の席を見つけるため、前の黒板に書かれいる席へそれぞれ移動した。

俺の席は窓側で後ろから2番目だった。

(主人公席じゃねーじゃーん、ちくしょう、先生に見つかりにくいと思ったのにー)

なんて思っていたら、何故か龍牙もこっちへ来た。

「ん?なんで、お前こっち来たの?」

「俺の席、お前の後ろ」

「は?マジ?」

「マジ」

俺たちは見つめ合った、本当なのか?とアイコンタクトをして。

俺はすぐさま立ち上がり、黒板へ行く。俺の後ろの席を確認すると、そこには[北條]と書かれていた。

俺は目を擦った、嘘だと思ったから、俺の目がおかしいと思ったから。

だが、苗字は間違っていなかった。

ちゃんと[北條]と書かれていた。


………

「嘘だろーーー!!おいー中学と一緒じゃねーかーよー!」

俺はみんなに見られてるとか気にせず発狂した。

そんな俺のそばまで龍牙がやってきて、俺の耳元で…

「よ・ろ・し・く・ね?れいちゃーーーん?」

めっちゃ寒気が走った。

俺は絶望の表情で席についた。


俺と北條は幼稚園の頃からクラスが同じで、席も俺と前後だった。(苗字順ではなかった。)

いつも俺の後ろか前には龍牙がいた。

俺達はこれを呪いだと思っている。

だって、ありえないだろ?こんなに一緒になることも、席が前後になることも。


「はぁ、最悪だ、入学式当日から気分下がるよーー」

「下げるなよー俺がいるから楽しいだろー?」

「おめーがいるから、面倒ごとが増えるんだろうがー!はぁー、楽に生きたいんだってー!」

「あはは!」

この龍牙と嫌な理由、それは、こいつ極度のお人好しなのだ!何でも引き受けるバカ、通称YESマン。こいつは何でも引き受けるが、何故か俺を強制参加させる。つまり、手伝わせるのだ!どんなことも全部!

[先輩に部活の助っ人頼まれちまったーだから、れいちゃん一緒にやるぞ!]だの!

[一緒のクラスのくるみちゃんから告白のアドバイスをお願いしたいって言われたー!くるみちゃんの恋、応援したいよね?!よし!一緒にアドバイスするぞー!れいちゃん!]だの!

散々だ!振り回されまくって、疲れ果てるのが目に見えてる!

そして、何よりもこれには拒否権がない!強制なのだ!どれだけ断ろうと、逃げようと、隠れようと、すぐに見つけて、捕まえては連行され、面倒ごとに巻き込んでくる。相変わらずだ。

だから、俺はこいつとはクラスが違うことを願っており、それが無理なら、せめて席が離れてることを願った。だが、その願いも虚しく、結局、龍牙は俺の後ろの席になってしまった。

(俺の平穏な日々がーーーーー!)

絶望しながら俺は自分の席で机に突っ伏した。


それから、チャイムがなり、教室のドアがガラッと開き、女性が入ってきた。黒いスーツを着ており、眼鏡をかけ、キリッとした様子の女性だった。

「初めまして、私はこの1-2の担任となりました、風雲寺 春香(ふううんじ はるか)と申します。今日から皆さんと共にこの学園で指導を行なっていきます。よろしくお願いします。」

とても、礼儀正しそうな人で、頭が堅そうな人だった。

(ほえーこわ、目つけられないようにしよう…)

俺は、平凡に楽に生きるって決めてるし、やばいことしなければ、大丈夫だと思い、静かに過ごすことを決意した。


※あとがき

この小説を読んでいただきありがとうございます。


零くん、お友達と同じクラスだったなんて、良かったですねー安心安心


安心じゃねーよ!最悪だよ!by零


なんか、怒られましたトホホ…

さてさて、次回はお友達増えるかな?

乞うご期待!


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