わざわざ
「来たわよ」
「あら、お義母さん。今日はわざわざお越しいただきありがとうございます」
「いやねぇ花代さん。『わざわざ』だなんて、嫌みのつもりかしら。思っても無い事おっしゃらないでくださる?」
「え?」
「アナタももう山田家の人間なんですからいつまでも学生のような気分では困るのよ。きちんと相手に気持ちの伝わる言葉を話さなきゃだめよ?」
「思っても無いなんてそんな事……」
「顔に出てるのよ、それに水臭いでしょう?」
「じゃぁ……はい。あの……」
「何かしら? あいさつはきちんとなさい」
「えっとぉ…………、この糞暑いのに、デブが肉揺らしてノコノコ満員電車乗り腐って、他人様に汗押しつけて、膝の軟骨ガタガタに散らして、無理して無理して『わざわざお越し頂き』可哀想な底の減った靴を造らされた職人さん、心中お察し致します。日の沈む西の空に向けて、せめてもの慰めとして『ありがとうございます』こんにちわ~」
「ダメダメダメダメ。出すぎ、出すぎ。すっごいの出ちゃってるから。せめてブタとか、そういうのだけにしてぇ!? 悪口は!!」
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