第3章 : エフィカックスシード

アンダルスの屋敷に夜が訪れ、長い影が石壁を這い進んでいた。

書斎では、ろうそくの灯りが、わずかに開いた窓から差し込む風に揺らめいていた。


アーサーの手に握られた鴉の羽根ペンが羊皮紙の上を踊り、黒インクの跡を残していった。そこには、彼の年齢には到底及ばない壮大な夢と計画が綴られていた。


「配送サービス…安全で、効率的で、正確で…すべての人に」彼はまるで自分に言い聞かせるように、静かに呟いた。


銀翼の紋章を掲げた馬車、アンダルシアの旗を掲げて雄々しく航海する帆船、そして帝国の主要都市の至る所に建つ石造りの倉庫。その光景に、彼の心はときめいた。


しかし、ペンは止まった。インクの一滴が落ち、羊皮紙の角に染みを残した。アーサーはしばらくの間、その染みを見つめた。まるでその小さな点が、これから待ち受ける障害の深淵を象徴しているかのようだった。


「この奉仕は…ギルドなしでは続かないだろう」と彼は静かに思った。


それが何を意味するのか、彼は知っていた。法的な保護、貴族の支援、そして長らく交易路を牛耳ってきた巨大組織、富豪ギルドの独占に挑む勇気。


彼の小さな手が再び動いた。大まかな線がシンボルを形作り始めた。鷲が爪に巻物を掴んだ丸い盾。未来のささやきのように、突然その名が浮かんだ。エフィカックス。


アーサーはその絵を見つめた。まるで長く果てしない道への扉を開けるような気がした。商務省の許可証で満ちた道、あらゆる地域で課せられる重税、そして何よりも厄介なのは、富裕層の力を常に恐れてきた零細商人や庶民の信頼だ。


ドアを軽くノックする音が、彼の物思いを中断させた。コルトンが封書を持って、落ち着いた足取りで入ってきた。

「帝都より、若様。皇帝の赤い印章です。」


アーサーは素早くペンを置き、封を切った。中には、ナバ・デ・スティコ公爵の城で開かれる冬の祝宴への招待状が入っていた。ピースへ出発する3週間前のことだった。


正式な招待状の下には、明らかに誰の目にも触れることのない小さなメモが添えられていた。


鋭い頭脳と用心深い心を持ってきてください。あなたに微笑みかける人が皆、友人とは限りません。


アーサーは黙り込んだ。テーブルの上のろうそくが震え、その炎はまるで警告を繰り返しているかのように揺れていた。彼は窓の方を向いた。夜空は雪雲に覆われ、星々を覆い隠していた。まるで彼から未来を隠しているかのようだった。


北への旅は、アカデミーでの教育の始まりに過ぎないことに彼は気づいた。それはエフィカックスの種を蒔くための闘いの始まりだったのだ。帝国の様相を変える可能性のある種であると同時に、芽を出す前から敵に狙われるであろう種でもある。


そしてどこかで、貴族たちの微笑みの裏、あるいは赤い蝋の封印の裏で、ライバルたちが鍬を手に、彼を地面から引きずり下ろす時を待ち構えているかもしれない。

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