ワルコフに気をつけない2
10:VRーSTATI◎N
1:TOGGLE<鬼>OGRE’S
「彼の血に蛮勇が降り立ち―――」
GET! DEAD-HORNS! AWAKENING!
「彼の血に蛮勇が降り立ち―――」
DEVELOP! ZOE-TOGGLE WEAPON! REBIRTH A PERSON!
READY―――! FIGHT!
ゴコン。パパンペチペチトタッタタン。
ギャリギャリ。トンタタンパン。
………………おらっ!
…………おし!
………よしよーし。そこだ!
……ふざっけろよ。おし、入ったー!
ゴコン。パパンペチペチトタッタタン。
ギャリギャリ。トンタタンパンゴカカカッ。
ガガットタン。ペチペチペチ。
ドガアアァァァァァーーーン!
「君たち~。1回だけって話だったでしょおー? そろそろ行かないと、今日中に
ちょっとだけならと、離れてみていた笹木
笹木
表示されているのは、自分のランキング。想定よりも
YOU! WIN!
HORNS HAS SPROUTED!
『ワレワ、アラネコガミ、ニャン♪』
血で血を洗う決闘に決着が付いたゲーム画面が、
「かーっ! ……コレはしゃあねー。今のは
「だろ? だっろー? でも、今のは、
フロアの一角、やや空いた空間の中央に、対戦ゲーム機が背中合わせに連結されている。それぞれに白いブレザー姿の男子生徒が陣取り、やや大きな声で、たった今行われた、世紀の決闘を褒め称え合っている。壁により掛かる少女はふと、それを睨み付け、スグに自分のランキング推移に視線を戻す。
ポン。笹木講師のたおやかな指先が
「あらぁ? あららぁらぁ!? なぁに、このカワイイ
はぁはぁ。なんかぁ、どこかでぇ聞いたことのあるようなぁ? はぁふぅん?
敗者から飛び降り、後ろ足で砂をかけている。
「しまった、先生がイチオシしてた、ワルコフ用の音声ライブラリって、”オウガ▲▲ニャン”の中の人じゃん」
「
男子生徒達は、独り
シルシは鷲掴みされた肩を、するりと引き抜き、ゲーム筐体の対戦者側に隠れた。
じゃあ、そろそろ、行こうぜ。そうすっか。
したたたたっ!
鞄を背負い、逃げるように走り出す男子生徒2名。
えーちょっとまってー、このかわいーいー娘ー、なんてーいうーのぉー?
携帯ゲーム機を鞄にしまい、スタスタと歩いてきた
若干、制服に着られている感のある女子生徒は、かいがいしく、美女のお世話をし、フロア中に響く怒声を発した。
「
張りのある
「戻ってきなさい!」
ポンコツ美女ご一行様以外には、誰もいない地下フロアに、再び、
「「へーい」」
ちょっと寂しげな店内を、男子生徒達はスゴスゴと引き返してきた。
◇◇◇
「どお? 先生、落ち着いた?」
「まったく。あんな、カワイイ感じのネコミミキャラなんて
「あれ、
「しらないわよ。そんなの」
ここは、”VRーSTATI◎N特区本店”、
「重度の
「ネコミミマニア……その手があったか……あ、っそうだ、
会話に割り込む
「わかってるよ。でも、”トグル<人鬼入>オーガ”の
「だっろー? 尻尾だけだとインパクト弱いモンなー。ネコヒゲも有った方が良いかもしんねえなっ」
缶ジュースを開ける、遠目で見れば最高に絵になる、モデル顔でガタイの良い少年。
「……それはちょっと助かったわ。他に愛でる対象がないと、ゲーム筐体に当分、張り付いてただろうから―――!!! 酸っぱい!」
顔をしかめ、威勢良く缶ジュースをテーブルへ置く少女。ブルーのカチューシャで、押さえられたロングヘアーは背中全面をウエストまで覆っている。凛とした美声と相まって、
「やぁねぇ。先生も大人ですからぁ、最近、
酸っぱいらしい缶ジュースを、グビリとあおる、スタイル抜群の残念美女。
「最近なのかよ」「そういうところも、グッとくるって言うか―――」
残念美女が、
肩までの褐色の髪色と同じフサフサのネコ耳。ネコ耳の内側には真っ白な遊び毛が生えてアクセントになっている。背中に魔術的な文様の入った、
そして、血塗れた切っ先を正眼へ向ける、ソノ姿はまさに、ミス
人生の大半を費やして、ようやく手に入れた骨董を弄ぶ、老齢の紳士の
明るいグリーン地に、オレンジ色の縫い目が描かれた壁。ソコから生えた簡素なテーブルには、
満足げな美女を取り囲んで談笑する
「でも、”オウガ▲▲ニャン”出てくれて助かった」
「そうだぜ。倍くらい掛かるかと思ってたぜ」
「どう、姉さん? 満足した?」
「んふふふふっ、宝物が増えたわぁ!」
「……よかった」
「じゃー、みんなぁ、どれもらうかぁ決めたぁー?」
「俺は、VRデバイス1択だぜっ!」
「えーあたしも」
「俺は、……やっぱり、あの筐体にしようかな」
厳つい体型のキャラクタを掴んだ手で、さっきまでプレイしていた”トグル<人鬼入>オーガ”の筐体を指さす。
笹木
頭部の真っ青な水牛風のツノは片方が折れている。肥大した上腕を、支えるべく隆起した上半身。繰り出す
「なんでっ。そりゃ、俺だって、この筐体欲しいぜ。 けどよ、今日みたいに出掛けてくりゃ、いつだってプレイ出来るじゃんか!?」
「ソレなんだけどな。コイツの
「あ、ソッチの話か!?」
「また悪巧み!? 姉さん、コイツ等、なんか、コソコソやってんのよ」
少年達を
「昨日ぉ、
うふふふふ、と、妹の頭を撫で、
「
「ギャーーーー! ……って、今更取り乱してもなー」
「それもそうだなー」
取り乱し、やがて諦観する若者2人。
「もっと形になってからって思ってたんだけどな―――」
「……んー先生はぁ、この”量子サーバー
「母艦? あいつら、PBCに入れっぱなしだとマズイの?」
「まずくもないですけどー、窮屈だったり、退屈させるとー、
「まあ、確かに」シルシはしみじみと頷く。
「姉さん、いろいろ便利だから、開発者用のVRデバイス欲しいっていってたじゃない? いいの?」
「業務上はぁ、現行の魔女帽子でー、必要十分ですからぁ平気でーす。ソレよりもぉ、ワルさん達の謎のー仕様解析の方がぁ、急務ですし、ぶっちゃけ面白いですしおすしー」
「まーそれは解るぜ。アイツ等、無茶苦茶すぎて笑える、……でアイツ等は、カバンの中?」
「一応管理者サイドのぉ、
「……メインスイッチ切っても、ワルコフが居たら意味ない気もするけど……」
腕組みして、首を捻る
「”おやつ”進呈しましたしー、
だと、良いんだけどなぁ-。と逆の側に首を捻る
「それで、ブラックボックスユニットの件もあるしぃ、管理上の余裕を持つついでに、
「そうね、出来ることは増やしておきたいわね。悪巧みは別にしても、
「この、進呈ポイント、一人、20000Ptsって、余った分、寄せ集めて、使えりゃ良いのにな」
「贅沢言ってもぉ、キリ無いわよぉー」「そうだぜ」「直接、相談しようにも、もう引き替え窓口、締まっちゃったしな」
アファファファと笑う美女と男子生徒2人。
「アンタ
詰め寄る小柄な少女に、座った椅子を、蹴られる
「アンタこれ、勿体ないから飲みなさい」
と、自分の飲みかけを押しつけた。
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