異世界仙人の見る夢は
apop
序章 復活
第1話 仙人の目覚め
ゆっくりと意識が覚醒する。
今さっきまで見ていた夢がスルスルと遠のいていくのがとても惜しい。愛おしむように夢の記憶を
ああ、もう目覚めてしまう。
淡い光が揺ら揺らと目覚めを誘う。そうか、夢を見ていたんだ。
ゆっくりと瞼を開く。水底に射し込む
そうして
その世界には
先ほど目覚めたのはその一人、ローデヴェイク・デ・ランゲ・アルシュヴァラ。かつてはローデヴェイク
復活したばかりの現在の姿は若木のような青年だが、実のところは枯れて苔むした古老であった。
仙人は長命な種族と言われているがそれだけではない。肉体の寿命が近づくと自ら眠りにつき、やがて再生し復活を遂げる。
人跡未踏の聖域には仙人の眠る
再生復活を永い年月繰返すことで仙人は智慧と技を積み上げる。それは仙術とも法力とも呼ばれ人々を惹きつけてやまない。
しかし今ではその仙人が人前に姿を見せることは
水の中でゆらりと起き上がった
「かはっ、はぁっ、ひぃぅ」
水面に出たとたん、肺の中から羊水が吐き出され細い息で空気が吸い込まれる。ああ何度経験してもこの瞬間は本当に苦しい。
水から上がり浮力を失った重い体をようやく持ち上げて玄室の床に立ちあがると室内を見渡す。
岩壁は滑らかに整えられ淡く光り、天井は高く空気は清浄さを保っている。
「何も変わりはないようだな」
眠りにつく前に用意しておいた大きな布が衣桁に掛かっている。柔らかいそれに顔をうずめ頭から被って玄室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます