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「で、幸助さんに関係あるものってなんだ?」
向かい合ってソファに腰を下ろすと、矢継ぎ早に哲哉が話を切り出した。
「オーナーがっつきすぎですよぉ。まぁ、これを見てください~」
桜季はエプロンのポケットから数枚写真を取り出すとテーブルに並べた。
「こ、これは……!」
哲哉は目を見開いて、固まった。
写真には、メイド姿の幸助が写っていた。
思わず写真を手に取り、じっと凝視した。
(か、可愛い……っ!)
「へへへ~、可愛いでしょう~。メイドのあおりんだよぉ」
桜季の声にハッと我に返る。
そして厳しい表情で桜季に詰め寄った。
「なんだこれは! まさかお前、無理矢理幸助さんにこんな格好させたんじゃないだろうな?」
ギロリと先を睨む。
どれも顔を強ばらせたり、恥ずかしそうに視線を逸らしたりして、その格好が本意でないことは明らかだ。
「違いますよぉ。これはメイド喫茶の企画の罰ゲームですよぉ」
「そうか……って、なんでお前、幸助さんと一緒にメイド喫茶に行ってるんだ!」
「えぇ~、休みの日に誰と出掛けようと自由じゃないですかぁ」
哲哉は言葉に詰まった。
確かに桜季の言うことは正論だ。
(でも、でも、羨ましい……っ!)
最近、自分が忙しいためになかなか幸助と出かけられないので、休日にこうしてデートまがいなことをしている桜季に嫉妬せずにはいられなかった。
しかもこんな可愛い姿の幸助と一緒の空間にいたのかと思うと、嫉妬が殺意に変わりそうだった。
「まぁ、オーナーにはいつもお世話になっていますからこの写真を……」
桜季がピッ、と人差し指を立てた。
「十枚セット十万円で売りますよぉ。もちろん写真のデータ付きです~」
「よし買った」
哲哉に迷いはなかった。
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