ドリアンジュース

「ドリアンジュース美味しいですね」


 石田三成はご機嫌であった。

 そこは神戸の元町商店街の一角である。

 生ジュースのお店の前であった。


「うえ―――、三成、お前、どういう味覚してんだ? このたまねぎのような強烈な香りは酷すぎるだろ」


 島左近が今にも吐きそうな表情で耐えていた。

 吐けば楽になるのに武士の意地だろうか?


「それが、案外、慣れると癖になります。隣のタイ人とベトナム人観光客がおかわりしてる気持ちがわかります」


 三成も二杯目のドリアンジュースをおかわりした。

 タイ人とベトナム人観光客はすでに五杯目である。

 ドリアンジュース人気過ぎだろう。 


 熊本地震ボランティアも1ヶ月ぐらい続いたので、現場を新メンバーの大谷吉継に任せて安心している二人であった。


 『タックスヘイブン真田丸』という、いわば独立国を造って自衛隊に包囲されてる真田幸村の説得という任務を忘れてるわけではない。


 公安警察、秘密結社<天鴉>のリーダーの神沢優との待ち合わせ場所が何故か、神戸の中華街であり、合流が数日後なので暇つぶしに神戸観光をしているだけである。


 久々の平和な時を楽しんでる三成と左近であった。

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