にゃべ♪の短編童話集
にゃべ♪
「ミキオ君の大冒険」
やあ!僕ミキオ!
僕は今大空の散歩中さ!
え?君は鳥かって?
違うよ~、僕は鳥さんみたいな翼はないんだ!
翼がないのに空を飛べるのかって?
もちろんだよ!だって僕は空を飛んでるんだから!
じゃあ、君は誰かって?
僕は風船なのさ!
黄色い風船だからミキオ!
かっこいいでしょ♪
昨日は旅立って最初の日だったから少し緊張したけど、優しい風さんの
お蔭でとても気持ちいい旅立ちだったよ。
ああ~いい気持ちだな~♪
お空って本当に気持ちいいんだよ♪
目の前がまっさおなんだ!
これから風さんと遊びながら、気ままな旅が続くんだ。
白い雲さん、こんなに高く飛んでるのにまだ会えないや。
雲さんとお話したいのに少し残念だなぁ。
今度は何か高いビルが見えて来たよ。
うわぁ!すごい風だ!!
僕は風に乗って高く舞い上がったんだ!
今までと違ってすごく速い風にびっくりしたけれど、こう言うのも面白いなって
とてもわくわくしたよ♪
あれからどのくらいたったかな?
もう見た事もない景色が広がっているよ。
ここはどこだろう?
いつの間にか随分と旅をして来たなあ。
最初は楽しかったけれど、お空でずっと独りぼっちは寂しいな。
僕も疲れて来ちゃったのかな?
段々飛んでる高さが下がって来ちゃったよ。
ああっ!電線にからまっちゃった!
いやだよ~こんな所でずっと独りぼっちだなんて!
そうしたら僕に気付いたカラスさんが声をかけてくれたんだ。
「どうしたんだい?」
「ぼく、動くけなくなっちゃったよ」
「それは大変だ、助けてあげるよ!」
「ありがとう」
カラスさんは、そのくちばしを器用に動かして僕を助けてくれたんだ。
「大変だったね、これからどこに行くの?」
カラスさんはとても退屈していたみたい。
だから僕も今までの事を全部カラスさんに話したんだ。
「自由気ままな旅か~それは楽しそうだね。」
カラスさんは言いました。
でもしばらくしてカラスさんは
「でもずっと一人の旅はなんて寂しいんだろう。
これからずっと僕が側についていてあげるよ!」
と言ってくれたんだ。
こうして孤独だったミキオ君にも友達が出来ました。
楽しい旅の始まりです。
ある時はミキオ君を割ろうとする悪い鳥さんをカラスさんがやっつけてくれたり、カラスさんが疲れて来たら電線に引っかかってゆっくりとお話したり。
とても楽しいひとときをミキオ君とカラスさんは過ごしました。
でも、そんな楽しい旅も長くは続きませんでした。
なぜなら、とうとうミキオ君に飛ぶ力が無くなってしまったからです。
「短い間だったけど、とても楽しかったよ」
ミキオ君はカラスさんに言いました。
「僕も楽しかったよ、もっと旅がしたかったね」
二人はとても名残惜しそうに見つめ合っていました。
「カラスさん、お元気で!今までありがとう!」
「こっちこそありがとう、君の事は忘れないよ!」
しばらく二人は別れの挨拶を交わしていましたが、とうとうお別れの時間がやって来ました。
カラスさんはカァ~ッと一言鳴くと、大空に帰って行きました。
そうしてまたミキオ君は独りぼっちになってしまいました。
ああ、こんな見知らぬ街の知らない道で独りぼっちは寂しいなあ。
ミキオ君はとても悲しい気持ちになりました。
街が夕焼けに染まる頃、一人の女の子がミキオ君の側にやって来ました。
そして地面に転がっているミキオ君を見つけました。
「可愛い風船さん♪こんな所でどうしたの?」
「僕、もう、動けないんだよ」
「まあ、それは大変!良かったらお家に来ない?」
「うん、連れてって」
こうしてミキオ君は女の子のお家に招待されました。
その時、女の子はミキオ君の先に付いている手紙に気が付きました。
「あら?これは?」
そうです、実はミキオ君は遠くの街へメッセージを送るメッセンジャーだったのです。
そして、手紙を出した男の子とミキオ君を拾った女の子との文通は今でも続いています。
二人を結びつけたミキオ君は今でも女の子のお家で大切にされています。
良かったね、ミキオ君。
おしまい♪
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