熱砂
ほんの気持ち程度の
とてもじゃないが言えないね
切れそうなほど細い未来の空間曲線
つまらない息をするのはやめるにしても
どこにも
くだらない
せめて少しぐらい
積み上がる冬を
痴れ言がうそぶく
空言が
さっぱり真実は見失っても
どこかで感じる
それじゃたどり着けないよと
そんな当たり前のことを言外に
痴れ言が空言を並べ立て
空言が痴れ言をのべつ幕無し
吹けば飛ぶような詩情では
言葉にするそばから
痴れ言にも空言にも振り回される
少しばかり呼吸が難しくなる
立て板に水の痴れ言と空言を
ちょっとした仕草で結んでしまいたい
それは未遂でも立派な罪業になり
書くべき事を見失って
自分の首を絞める
何が焼かれるでもないのに
蜃気楼のきみがいるダンスフロア
抑揚のない面持ちで
僕は少し爪を研ぐ
痴れ言と空言に惑わされて
[隣の霜が崩れるのは山羊が詩文を食べたから]
嘘を重ねようか
[行軍を止めても犬は流氷に吠える]
僕らはただ愛されたかっただけであり
[越冬できない働き蜂になる]
高潔な孤独を知っている
[愛をいくらで勘定すれば気が済む?]
落ちる宵闇が奏でる弦楽で
[企む遊戯は灰を被って待ち続ける]
ひと踊りしましょうか
[明かりの点らないダンスフロア]
孤高に
[世界に残された一匹になれることの是非]
結ぶ手のひらの温もりを愛しめる
嘘
並べ立てた虚言
軽薄な怠惰
騙くらかす
愚考の果てに重ねてみても
誰かが救われるだなんて
そんな夢物語に酔うことすら
できやしねえよ
欺き続けることはできない
聡明なきみなら
半日も保ちやしないよ
虚飾ばかり収集したところで得るものもなく
けれど真実は存外持て余すもの
こんな不毛な旅路の馬鹿馬鹿しさに顔を覆っても
砂漠のダンスフロアはそこに
きみとひと踊りするために
痴れ言と空言を餌にする
ちょっと涙を
ステップを刻んで
手を伸ばして
息を止めるな
何も大丈夫な事なんてない
足を止めるな
踊り続けなきゃ砂に侵される
熱砂の渦は
足下にずっとある
鼓動を止めるな
何も大丈夫な事なんてない
ステップを刻んで
手を伸ばして
息を止めるな
逃げるな
愛をいくらかで勘定したところで
そうさ
小銭でも買える
空言で描く
切れそうなほど細い未来の空間曲線
これは痴れ言だよ
生き抜けよ
涙を止めるな
目をそらすな
手を繋ぐために
傷つけよ
積み上がる冬を嵩上げしてやるくらいのもんさ
関の山の上々で
服の裏で砂がざらつく
汗と混じって
つまらない悲鳴を上げているよ
少しもがけば
足元の砂が崩れる
烈々たる厳冬の中
熱砂にあがけば
太陽も気取る
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