muonacreous -香鳴裕人詩集Ⅰ&Ⅱ-

ヒズムリズムヨルニキザム

明日なんて見てねぇってディストーションで

ミライを

粉々にぶち壊してよ

テストが嫌なわけじゃない

シアワセすぎる毎日に吐き気がするよ

記憶なんて要らねぇってオーバードライブで

オモイデを

無惨に打ち砕いてよ

ファーストキスを忘れたいわけじゃない

ハジケルのに足枷（あしかせ）は要らないってだけ

ディレイとリバーブで

綺麗に騙して

惑う思いを

撃ち抜いて

焦がし尽くして

一夜の奇跡に変えてよ

そして思わせて

“明日なんて要らない”と

歪むRhythm

夜に刻んで

下水道グロウルで

抱き寄せて

ツインドラムを下敷きに

フランジャーに包（くる）まって

ソウルを撃ち込んでよ

そして思わせて

“愛なんて要らない”と

月が降ってきて

コーラスの兎が並ぶ

前奏はクラシカル

熱狂の客は半ば死人

低音にくらくら祈る

この一瞬の連鎖が

夜に満ちるリズムに

命を与えて

ミライを爆撃して

そして

私たちは生まれ変わる

キズなきKissなら要らない

抱き寄せるなら痕のある腕にして

さあ

たった今

放たれた

ソニックの温度が

体温をはるかに超えた熱が

消していく

ミライとオモイデ

私はただ今ここにいるだけの私でありたい

もしこの夜が明けるなら

その時は

今夜の私は

曙光に照らされた死体

二度とないって古くさいスローガンを

今ここに掲げる

エモーショナルに打ち上げて

今夜は流れていく

ソニックの中で

乱痴気（らんちき）は続く

明日には違う夢を見てる

そんなビューティフルライフに

バスドラムを叩き込んで

いっそ殺して