心の中の大きな空
雨宮るり
第0話 何処か、空の果てで
ふと、夏の空を見上げる。
蒸し暑さや五月蝿く鳴く蝉の声も掻き消してしまうほどに、空はどこまでも蒼く、高く、意識はいつのまにか雲を追い越して宇宙まで飛んでいく。
何の穢れもない清らかな上の景色。その下に住む僕達は決して綺麗とはいえない。その中で必死に生きていくのは疲れてしまう。
それでも足掻きもがいて行きていかなくてはならない事は分かる。
けれどできることなら、僕は空へと飛んでいきたい。
この空の向こうへ、どこまででも。
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