第三十四話『結界』

「結界がある」

と取り出して、にこりとするキョウちゃん。

「じゃあ、ごはんね!」とカナデも微笑んだ。


ちゃちゃっと『ビッククラブ』から素材を集めて、結界を張る、キョウちゃん。結界が張られた事を確認すると、おにぎりをみんなに渡すヒビキさん。さすがにここでカレーや唐揚げを作るわけにはいかないようだ。


「結界があるんだったら、敵も寄ってこないし無敵なんじゃないの?」

と、僕はヒビキさんにもらったおにぎりを頬張りながら、キョウちゃんに向かって、疑問を口にする。


「そんなことはない、条件がある」

と、応えるキョウちゃん。

いつでもどこでも発動できるわけではないらしかった。


「ある程度の広さが必要とか?」僕が推測して訊ねる。

「そう」

と、おにぎりを食べながら頷く、キョウちゃん、おいしくて嬉しそう。


「私の魔力もつかう」と発動条件を教えてくれるキョウちゃん。

「なるほど、万能というわけでもないのかぁ」

と納得する僕。納得しつつ、やはり結界というのが気になったので「結界」で検索する。


「結界 - 戒律を守るために行動区域を制限すること。」

と僕らのイメージとは全然違うものが出てくる。


「ああ、そもそもはそういう意味なんだ。行動可能範囲のことなんだ。アニメや漫画に出てくる結界はオリジナルの概念なのか・・・そもそも、妖怪とかモンスターがいないか元の世界には・・・」

と納得する僕。


「しかし、この世界に来てから、ガンガン検索するから、どんどん賢くなるなぁ」

と僕は笑う。


「ちゃんと調べると、一般的なイメージと結構違うことあるよなぁ。サソリが固くないとか、蟹の泡に毒がないとか、調べるまで全然しらなかった。」

「コータはすごい」

とキョウちゃんが褒める。この世界での情報通だからだろう。情報を正しく持っていることをとたも高く評価してくれる。


ただ、基本的にはネットに教えてもらったことなので、若干そこまで褒められることには後ろめたい気がしないでもない。気にしないけど。


「そんなことより『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』がかなり強いわね」

「ほんとだよ、なんなのこれ?いいの?」と笑う。

「いい。コータが自分の力で手に入れた」とキョウちゃん。


「確かに僕がブラックドラゴンを倒したけど、いきなりこんなチートな能力手に入れちゃったいいのだろうか・・・たたでさえネットだけでもチートなのに」

「そんなこと言う必要ないと思うよ!十分コータの実力だと思うよ、使うのだって難しいと思う。だれでも武器の性能を最大限までだせるわけじゃないんだし」

と、カナデが僕に微笑む。


「自信もっていいよ!」

とポンポンと肩を叩くカナデ。いい人だった。


「じゃあ、どんどん頑張りますか!」と僕。

「うん、また唐揚げも作ってね!」とドサクサに紛れてお願いするカナデ。

「また食べたい」キョウちゃんが大きく頷いた。


すでにみんなはおにぎりを食べ終わっていて、ゆっくり休憩も出来た。


「じゃあ、そろそろ行きますか。洞窟後半戦スタート!!」

カナデがゆっくり立ち上がってみんなに言った。

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