第三百十五話『まってた』

「そんな・・・あの珊瑚ちゃんたちが負けちゃった・・・」

サラは呟いた。


「かなり強いね・・・」

僕も頷いた。


「許せない!!」

サラはモンスター達にそう言って構えた。


---

「瑠璃ちゅん!水晶ちゃん!また遊ぼうね!」

美少女格闘家のサラは、負けてしまったジェムボックスの瑠璃、水晶に対してそう言った。


「うん!また遊びましょう!」

「もちろん」

水晶と瑠璃はそう言って答えた。


そして彼女たちは消え、彼女たちと相対していたモンスターたちも消えた。

このC級英雄ランク戦は同じモンスターが2セット出て来る、それぞれの敵を倒す仕組みになっているからだ。

そして、負けると、本人たちと同様モンスターたちも消える。


「さぁ、ギッタンギッタンにしてあげようじゃない、『キングウォーゴーレム』ちゃんたち!!」

サラはそう言って笑った。


「珊瑚たちを倒すぐらいのモンスターだ、敵として不足はないよね」

僕もそう呟いた。


「はい、倒したいです!!」

美少女魔法使いの奈緒子も賛同した。


「よっ!」

ぴょんぴょんっとサラは横にステップした。


「ん?」

僕はその行動を見て不思議に思った。


「さっ、かかってこないとこっちから行くぞー!!」

サラがそう言って、『キングウォーゴーレム』を煽る。


「そうか、投斧を投げ誘っているのか!」

僕は彼女の行動を理解した。

最初の位置だと、間違えて僕らに当たる可能性がある。

彼女は一人で投斧をなんとかする気だ!


「グオォォォォ」

『キングウォーゴーレム』2体はその煽りに対応したのか、サラに向かって、斧を投げるモーションを開始した。煽りのありなしにかかわらず彼女は『アタッカー』だ。最初に倒しておくと有利という判断をしたのだろう。


「へいへい!斧カモン!!」

サラはそう言って、煽りを続ける。


「グオォォォォ」

「グオォォォォ」

2体の『キングウォーゴーレム』が、僕らから見たら巨大な斧を振りかぶって・・・


投げた。


「来るよ!サラ!」

僕は叫ぶ。


「オッケー!」

サラは言いながら、しっかりと飛んでくる2つの斧を見る。


「よっ!よっ!!」

サラはその2つの斧を軽い掛け声をかけながら、避けた!!


「まじか!!」

僕は驚く。たしかに以前も『ファイヤー』を避けていたが、今回は攻撃力も違う。あれを避けるのは並大抵じゃない、心臓の強さが必要だ。


「ふっふっふ!当たらないよーだ!」

サラはそう言って、更に煽る。


「さっきの流れだと、この後、さらに2体の『キングウォーゴーレム』が走ってくる!」

僕がさっきの戦いを思い出して言う。


「グオォォォ」

「グオォォォ」

2体の『キングウォーゴーレム』はさっき珊瑚にしたのと同じように、投斧は前フリでそこから真の目的、2体による肉弾攻撃をするために走ってきた。


「そう!それをまってたよ!」

サラはにっこり笑って微笑んだ。

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