第二百九十七話『かわいい』

「グオオォォォォォ」

ウォーゴーレムは珊瑚と瑠璃の攻撃を受けて、うめき声を上げて消滅していった。


「よっしゃ、サラ、どんなもんや!!」

ニッコリと珊瑚は微笑んだ


「やっぱりすごいね!珊瑚ちゃん達!!」

サラもその様子を見て楽しそうに言った。


---

「やっぱり、すごい」

僕もそう呟いた。


サラの言うとおりだった。

やっぱり凄いのだった。

他のチームとはやはり動きが違う。


「ただのおちゃらけ関西人じゃなかった!」

僕はそう言って笑った。

ふだん話しているとボケ倒しの女の子だが

戦うと、かなり強いのだった。


「だれが、かわいいだけのおちゃらけ関西人やねん!!」

珊瑚が僕の言葉に対して、ツッコミを入れてきた。

余計な言葉を足して。

言ったかな、そこまで・・・


「いや、かわいいだけ、とは言ってないような・・・」

と僕は呟いた。

そう、ぼくの記憶が確かであれば、そこまでは言ってない。


「なんや、私が可愛くないってことかいな!」

珊瑚が僕に対してつっこむ。

かなり不服なようだ。

身振り手振りで僕に抗議している。


「いや、かわいいけど」

僕はそう呟いた。

そう、可愛くないわけじゃない。

珊瑚はちゃんとかわいい。


「え、か、かわいい!!」

珊瑚は僕の言葉で顔を赤くしていた。

マンガだったら煙が出ててもおかしくないぐらいだ。


「ちょっと、珊瑚ちゃん自分で言わせて、赤くならない!」

冷静に様子を見ていた、魔法使いの美少女水晶が、珊瑚に対してそう言った。


「は、そうやった!しまった。だまされた!」

珊瑚はそう言って正気を取り戻した。

僕は特にだましたつもりはなかったのだけど・・・。


「いや、かわいいのはほんとだけど」

僕は、当然の事のように言った。

珊瑚がかわいいのはほんとだ。

元気過ぎるときはあるけど。


「な!!」

珊瑚はそう言いながら、更に顔を赤くした。

若干フラフラしている様子でもある。

ジュンにかわいいって言われたと呟いている。


「もう!ジュンくんやりすぎよ!!」

水晶は楽しそうにいった。

僕に講義しつつ楽しそうな水晶だ。


「ジュン、やりすぎ」

もう一人の魔法使いの美少女瑠璃もそう言った。

そして彼女もまんざらではない感じだった。


「いや、君たちは強いし、かわいいし、人気があって『ラスト・オンライン』の雑誌に載るるだけの事はある」

僕はそう言った。

奈緒子が持っていた『ラスト・オンライン』の雑誌に彼女達は載っていたのだった。

奈緒子は出会う前から、彼女たちの事を知っていたほどだった。


「そうですよ!ジェムボックスさんはすごいんですよ!」

奈緒子も僕に言った。

最初から奈緒子はそう言っていた。

普通に彼女達のファンだったのだ。


「でも、僕達も彼女達と戦えるようになってきたからね。僕達もすごくなったというところを彼女達に見せてあげよう!」

そう言って僕は剣を構えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る