第二百五十七話『バーストジュエル』

「すごい!すごく遅くなった!!奈緒子ちゃんすごい!」

とサラが喜んでいる。


「さすが奈緒子!」

と僕も言った。

相手の戦い方、相手のモーションから、相手がやってくることを読んでいたのだ。奈緒子は『未来予測 - ビジョン』がなくても今までのゲームの経験から未来を予測したのだ。


「私も、お二人に負けないように活躍したいんですよ!」

と奈緒子は笑った。


「よっし、じゃぁ、一気にやっつけよう!」

と動きの遅くなった、『エリートダークウィザード』に向かって一直線に走っていくサラ。


そう、『エリートダークウィザード』を倒せば一気に戦況が楽になる。知能の高い『エリートダークウィザード』が常に場をコントロールしているからだ。


「これは、奈緒子のおかげで一気に楽になったぞ!」

と僕が言う。


奈緒子が『エリートダークウィザード』の魔法を跳ね返したおかげで、自分の魔法により、動きがかなり遅くなっている『エリートダークウィザード』。これは実際自分がやられたらかなり嫌なものだ。自分がやろうとしたことを相手にやられる。それはパニックになってもおかしくないくらいやられると辛いこと。


「うん!奈緒子ちゃんほんとナイス!」

とサラが言いながら、どんどんと『エリートダークウィザード』に近づいていく。


このスピードでは、『ダークウィザード』も『リザードマン』も手をだすことが出来ない。

ここでいきなりリーダーを叩くことが出来たら、かなり楽になる!


「とぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ」

とサラがジャンプしながら、『エリートダークウィザード』のもとに飛んでいった。


そして、おおきく振りかぶって、ジャンプしながら『鬼神の籠手』によるパンチを打つ所だ。

いつもならこれで終わっている。


僕がそう思った瞬間・・・。


『バーストジュエル』


と『エリートダークウィザード』が相手を吹き飛ばす、アイテム『バーストジュエル』を使用した。

それは魔法使いが相手に寄られた時に使って、吹き飛ばして、位置を変えて『アタッカー』に攻撃させるために使うものだ。


それを『スローダウン』で遅くなっているにも関わらずタイミングを合わせて使ってきたのだ。


「え?」

とサラが言うと、かなり後ろに吹き飛ばされるサラ。


そう、認識するのが難しい。

それは物理現象とは違う。


『ゲームならではのルール』だからだ!


「え!ええええぇぇぇぇぇぇ!」

と言いながらサラは吹き飛ばされた。


「賢すぎだろう・・・」

と僕が言う。


そうまるで人間のように戦う『エリートダークウィザード』。山なりに『ファイヤーショット』を放つことができるし、『スローダウン』も『バーストジュエル』もタイミングよく使いこなす。


「これは、ほんとにすごいね・・・そして、『リザードマン』ちゃん・・・こんにちわ!」

と『リザードマン』の元に飛ばされたサラが笑った。

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