第二百四十四話『全体攻撃』
「そうなんです!五月雨とは梅雨の事をさすんです、この5月は昔の5月で今の6月をさすんです!」
「あー実は今の6月なんだ!ややこしいなぁ」
と、サラが笑った。
「そうやって、全体攻撃をしたんだ・・・一気に3体を倒すつもりなのかな?」
と僕が呟いた。
「さすがだね!」
と、普通弓のサヤカが微笑んで、籠手弓矢のアスカが動き出した。
「全体攻撃ってなに・・・?」
とサラが僕に聞く。
「うん、普通の昔のRPGだと、基本的には武器で誰か特定の一体を攻撃するか、魔法で全体を攻撃するかなんだよね」
「ふむふむ・・・」
と僕の説明に相槌を打つ、サラ。
「で、魔法は全体に攻撃できるとはいえ、一体一体に与えるダメージは少なくなってる」
「えー!なんでー!」
と僕の説明にサラが言う。
「武器で与える攻撃が100だとして、魔法使いが全体に与える攻撃も一体あたり100だとしたら、敵が3体いたら合計300になっちゃう!」
「あ、それはずるい!そしたらみんな魔法使いになっちゃう!」
と、僕が説明しサラが笑う。
そんな状況でもサラは格闘家になりそうだけどな、と僕は微笑んだ。不利な職業でも、楽しかったらなんとかしそうなのがサラだ。
「そう!でも実際には、魔法使いが与える一体あたりのダメージは40くらいになって、全体だと物理:魔法が100:120くらいになると思う」
「あ、それでもやっぱり魔法使いの方が強いの?」
とサラが聞く。
「そう、それは結局一体ずつ倒す方がグループ戦の時に圧倒的に有利だからだね」
と僕が説明する。
「有利?なんで・・・?あ、そっか!早めに一体倒せると、『敵が攻撃してこなく』なるからだ!」
とサラが気がついて言う。
「そう!敵が攻撃してこなければ、こちらが受けるダメージが減るのでかなり楽になるから普通はそうするんだけど・・・」
と僕が説明していると、籠手弓矢のアスカがパシュパシュッと、走りながら『二張弓矢 - デュアルアロー』を使って、両手に装備した弓矢から攻撃を放つ。
「ああやって、彼女が、ひきつけてるからあまり他の二人はダメージを受けないんだね・・・」
このチームも三人の優れた身体能力を使って、普通はできないような、戦い方を実現しているかなりおもしろいチームだった。身体能力の高いアスカ、弓矢のスキルが高いサヤカ、エリカのバランスが良い。
「はい、こっちこっち!」
と、アスカは言いながらパシュと一体の『ダークウィザード』に攻撃する。
「どうやら、彼女にはなにか狙いがあるみたいだね・・・一番端の『ダークウィザード』だけを誘い込んでるみたいだ・・・」
と僕が推測する。
そう、誘いこんで一気に攻撃するつもりなのではないだろうか・・・、と思っていると。
「グゥゥゥゥゥゥ」
とこちらの、『ダークウィザード』が動き出した。
「さて、こっちも戦闘開始だね!」
とサラが笑った。
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