第二百話『妖精の森の平穏』

サラの『鬼神の籠手』にAクラスのスキル『雷迅 - ライトニング』がついた。

CPUの無機質なアナウンスが流れる。


「おー!『雷迅 - ライトニング』ちゃんが戻ってきた!」

とサラが喜ぶ。


「よっぽどサラと相性がいいんだな『雷迅 - ライトニング』は!」

と僕は微笑んだ。

『鬼神の籠手』に『雷迅 - ライトニング』を付けた最強のサラが誕生した。


「よし、これで『妖精の森』に戻れるね!」

と僕は言う。


すると、しばらくして妖精の森に転送された。

僕らは『ファイヤートロール』と四天王『鬼王のアルバート』をなんとか倒し、クエストを終わらせたのだった。


そして、長老の元に僕らは戻った。

「おおおお、この『妖精の森を襲う』砦のモンスターを撃退してくれたのかのぉ!」

と長老が言った。


このやり取りは何回目だろう!

と僕は思ったけど、サラは気にせず、元気よく答えた。


「はい、やっつけました!今回は本当に!全部!」

とサラが全部を強調して言った。

たぶん、妖精さん達はこの意味にまったく気がついていなかったと思うけど、それはそれで良しとする。


「これで、しばらく、この『妖精の森』にも平穏が続くことじゃろう。ほんとにありがとう!」

と長老が言った。



いつもなら、いやな予感しかしない、このいつもと同じセリフだ。いつもは、倒した瞬間また襲われていたからだ、このやりとりも3回目だ。


だが、今回はほんとに平穏が続くことを僕達は知っていた。



『ファイヤートロール』だけではなく、そのボス、四天王の『鬼王のアルバート』まで倒したからだ。


「うん、みんな元気に楽しく暮らしてねー!」

とサラは妖精たちに向かって、ブンブンと大きく手を振った。


そして、僕らは寄り合い所に戻った。


そして、すぐ僕は行動した。


「一応確認してみようか!」

と僕が、クエストを確認した。

そう、いつもなら『妖精の森を守れ、その4』と更に同じクエストが追加されているところだった。


「おおー!ない!ないよ!!『妖精の森を守れ、その4』ないよ!!」

と僕が喜んだ。

「おおおー!!やった!!妖精さんの森をほんとに守ったー!」

とサラも喜ぶ

「やりましたね!」

と奈緒子も胸の前に手を持ってきて微笑んだ。


サラの念願かなって、しっかりと妖精の森にしっかりと平穏が戻ったのだ。

あの時、無茶をしながらも四天王の『鬼王のアルバート』を倒してよかったな、と僕は思った。


「さて、今日のところはログアウトしようか!」

と僕は、いつものように皆に言った。

みんなも確かに今日は頑張ったーとか、頑張りましたねーと言っていた。


そう、ほんとに頑張ったのだ。

四天王の『鬼王のアルバート』を倒す程に。

C級英雄が四天王を倒したという話は聞いたことがない。


そして、次の日、僕らはまた合流した。


「次はC級英雄ランク戦だ!」

と僕は微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る