第百八十三話『砦その3』
「アクティブトロールを倒して、平和を取り戻したかに見えた『妖精の森』に新たな敵が現れた、それを倒して、平穏を取り戻せ!」
と僕が、前回と同じように淡々とそのクエストの説明を読む。
「また、襲われちゃったみたいだね・・・」
と僕。
「ちょっとー!!ぜんぜん『妖精の森に平穏』続いてないじゃん!!」
とサラの声がこだました。
『トロール』を倒し、『アクティブトロール』を倒した『妖精の森』に更に新たな魔の手が近づいているらしかった。
「どうする?」
と、僕がサラに訊ねる。
ここらで別のクエストを混ぜて、一旦休憩するというのも全然アリだ。
お寿司屋さんでガリを食べるイメージを思い浮かべた。
一回口の中をまっさらにするのだ。
「もちろん、行く!!妖精さんを襲うなんて許せない!!」
とサラが言い、僕らはまたクエストを受注して『妖精の森』に向かった。
「さすがに、これ、全く同じことを8回やったら、すごいクレームくるから、3回か4回にしてほしいな・・・」
と僕が呟く。
これはチュートリアルのような部分を含んでいるから、ありと言えばありだけど・・・。
できれば3回がいい・・・。四天王だと4回だけど、人間って同じこと4回も耐えられない気がする。
「8回?なにそれ?」
とサラが聞く。
「昔、同じ話を8回やった伝説のアニメがあったんだ・・・」
「えー!」
「伝説のアニメだね・・・」
とサラと僕が雑談をしながら、長老の所に向かう。
「最近、この森を襲ってくる、モンスターがいるのじゃ。その討伐を依頼したい」
と、長老が言った。
いつものセリフだった。
「全く同じだね・・・トロール四天王倒さないとこれ繰り返す感じだね!きっと・・・」
「よし!わかった!倒そう!!すぐ倒そう!」
と僕の考察にサラが答える。
「長老さん!倒してきます!」
とサラが言って僕らは、砦に向かった。
「長老からの説明は以上です!では、この『妖精の粉』をお使いください。ダメージが回復します」
と、お付きの妖精が前回とまったく同じことを言った。
「せっかくもらったのに全然使ってないなー『妖精の粉』」
と僕が呟いた。
「それ、フラグっぽいですね!」
と奈緒子が笑った。
バシバシッと、サラが砦に出てくるモンスター、スライムやゴブリンを倒し、ドンドンと先に進んでいく。
「あ、BGM変わりましたね!」
と、奈緒子が言う。
「うん、ボスの登場だ!」
「今度はどんなボスかな??」
とサラが僕達に聞く。
そして遠目に見るといつものシルエット、トロールだった。
「また、トロールだね・・・」
と僕が呟いた。
「ほんとだ、でも、色が違う!」
とサラが答える。
「また、色違いのトロールだ!!」
サラが言う。トロール、アクティブトロールともまた違う色のトロールだった。
「ファイヤートロールだ!」
と僕が言う。
「戦闘開始だ!!」
と僕は言った。
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