第百七十七話『立ち回り』

「え?すごい?無傷??」

と僕が驚く。


サラはギリギリのタイミング、ギリギリの距離、だけ避けたのだった。

そんなことできるんだ・・・。

ほんとに無駄のない動きが出来るということだった。


「なるほどー!これがギリギリ当たらない範囲なのかな?」

と達人のような回避技を見せたサラが、大したことないことの用に言ってにこっと笑った。


「相変わらず、半端ないことをさらりとやるな、サラは・・・」

と僕が驚いていると、サラがいえーいと笑う。


「いつもみたいに、激しく避けるよりずっと難しいよ・・・それ・・・」

とサラの達人的回避芸を見て思っていた。

早めに避けたり、大きく避けたりするのは実際にはそんなに難しくない。

そういう安全率を多めにとって、行動するのだ普通は。


「ジュンが当たり判定?の話してたからね!どのくらいなのか気になったからやってみた!」

とサラが笑った。

今回のでギリギリのフレームつまり時間も、ギリギリの距離も見切ったことだ。

格闘ゲーマーとして最強のスキルを持っているといえるサラだった。


「ジュンさん、いきますよ!!」

と、奈緒子が言った。

サラが完全に避けたのを確認した奈緒子が次の作戦に移った。僕の位置をしっかり確認してアイテムを取り出す。


「なにやるの??」

とサラが言う。奈緒子の行動から聞く。

しかし、その質問に答える時間は奈緒子にはなかった。

次の行動にうつる。


トロールはサラが避けた後もゆっくりとモーションを続けている。今がチャンスである。

初期のモンスター、しかも攻撃力が高く、スピードが遅いトロールはこの期間がとても長い。


「そして、ジュンいつのまにそんなところに!」

とサラが驚く。

そう、サラにトロールの意識を集中させている間に、サラに対して、左、に移動していた。


「いきます!!」

とサラに対して右に位置していた奈緒子が、横からトロールにアイテムを使う。

すこしサラと距離をとっていたところから、投擲が正確に行える距離に、とととっ、と走った。


「バーストジュエル!!」

と、相手を吹き飛ばす効果のある宝石型のアイテム『バーストジュエル』を投げつけた。


ドカアアアァァァァァァ!!

と大きな音と大きな光のエフェクトが発動され

トロールは吹き飛ばされる。


「ジュンさんお願いします!」

と、奈緒子が言う。


「ああ、そういうことね!!」

と、サラが二人の行動を理解してつぶやいた。


「ジュンのところに移動させたんだ!!」

と、サラが理解できたことを喜ぶ。


そのとおりサラと奈緒子の前にいた、トロールが、奈緒子の対角線上のところに移動していた僕のもとに、吹き飛ばされていた。

そして、ゆっくり減速し、移動が完了した。


そう、僕の目の前に。


「いくぞ!」

と、言って僕は、大きくSSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を構えて振り下ろした。

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