第百七十四話『アイテム実験』

「グオオオォォォォォ」

トロールがこちらを向いて吠えた。

そのまま、また僕の方に向かってくるようだ。


「さて、次はアイテムを使ってみよう!!」

と、僕がアイテムを取り出した。

ピロンと音がなり、光のエフェクトと共に、手元にアイテムが実体化する。


「何を使うの?」

と、サラが聞く。

その質問とほぼ同時にトロールに動きがあった。


「グオオォォォォォ」

と、トロールがまた僕に向かって攻撃してきた。

攻撃モーションのゆっくりなトロールをしっかり見て、バックステップで攻撃を避ける。

そして、攻撃を外した、トロールは同じ姿勢で停滞している。


まさにここが反撃のタイミングだ。


「これだよ!」

と、僕はそのアイテムをこの砦のボス、トロールに投げつける。

そのアイテムは僕の手元を離れ、一直線にトロールの元に向かう。

そして、そのアイテムはトロールに当たり粉がトロールを包み込んだ。


「お?」

と、サラがその様子を見て言う。

トロールは光のエフェクトに包まれ、異常状態を示していた。


「グオォォォォォ」

と、トロールはうなる。

しかし、トロールはまだその場に停滞している。


「動かなくなった??」

と、サラがその様子を見て言う。


「そう!しびれ薬だ!」

と僕が言う。

武器屋さんで試したアイテムだった。

実際のモンスターに使うのは初めてだった。


「アイテムはいろいろ、種類があって、回復させるもの、相手の動きを封じるものと様々なんだ!」

と僕が説明を始める。

その説明を聞いて疑問に思ったことがあったのか、サラがこちらを向く。


「ジュン先生!質問があります!!」

と、その話を聞いたサラが、僕に質問してきた。


「うん、なに?」

と僕が答える。


「敵を回復させるとどうなるの??」

「良い質問ですね!」

と、サラの質問に僕は先生のように答えた。


「それは実際に試してみるといいだろうね、敵に『回復薬』なげてみて!」

と僕が言う。


「え!なんだかもったいない!!」

とサラが言う。


「実験だからやってみよう!」

と僕がサラに言う。


「なるほど、確かに!やってみよう」

とサラは砦のボス、トロールに向かって、『回復薬』を投げた。


すると、ピローンと、回復のエフェクトが発生し、トロールは回復した。

「あああぁぁぁ、回復しちゃった!!」

とサラが驚く。


「そう、敵に『回復薬』を使うと回復しちゃうんだ!強い敵の時は気をつけてね!ドラゴンに使ったりすると大変なことに!」

と僕が説明する。


「あはははは!そうだね!それはいきなり大ピンチになる。そして、私やりそう!試しておいてよかった」

と、笑うサラ。

自分の性格を把握しているようだった。

ドラゴン戦でそれをやったら命とりになるので、ここでやっておいてよかった、と僕は思った。


「次は別のアイテムを使ってみましょう!」

と奈緒子が新たなアイテムを取り出してそう言った。

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