第百八話『今後のライディング』

「どんどんレベル上げて竜に乗ろう!」

サラが初志を思い出し微笑んだ。

とにかくサラの願いは最初からドラゴンに乗ることだ。

分かりやすくていい。これだけの情熱があれば、意外にすぐに乗れるようになってしまうかもしれない。


その「騎乗 - ライディング」獲得のために、僕らは、馬にのって十周回るというシレンをクリアしたのだった。僕とサラはかなり苦戦していた。奈緒子は乗馬の経験があるのか、かなり上手にゆっくり乗っていた。


そうこうしていると、少年が口火を切って、僕らに説明をする。パンパン、と手を叩いて、注目を引いてから話しだした。

「はい、みなさんは、いまの練習で、「騎乗 - ライディング」のスキルを獲得しました」

と、たんたんと少年が言う。ブリアンナ、エスメラルダ、シャルロッテにお前たちはもう戻っていいぞ、と、彼らの部屋に戻す。馬が好きそうな優しい少年だ。


「この後は、騎乗可能モンスターと出会った時にはそのレベルに合わせて、そのモンスターに騎乗することが可能になります。」

とても丁寧な口調の少年だった。その口調から竜は難しいのだろうな、と僕は思った。もしかしたら、さらに別の難しいモンスターがいるのかもしれないけど。


「いろいろなモンスターに乗って試してみてください。

意外なモンスターにのれるかもしれないですよ!」

と、NPCっぽい思わせぶりなことを言う、少年だった。

「ラスト・オンライン」は人工知能の会話が凄いとはいえ、流石にここは、もともとのテキストっぽかった。こんなセリフをしゃべる、プレイヤーがいないからだと思う。


「やった、さっそく乗りに行こう!!ドラッゴン、ドッラゴン!!」

と両腕をぶんぶん振るサラ。相変わらず志が高い。

その少年はいきなりドラゴンは難しいという口ぶりだったけど。サラは気にしない、そこがさらの可愛らしさだな、と思う。まっすぐだ。


「背の低い動物当たりが最初は簡単かもしれないですね」

と、頬に手を当てて、冷静に考える奈緒子。奈緒子はどうやら、騎乗スキルがかなり高いので、もしかしたら、いきなり竜に乗れちゃうかもしれない、と僕は思った。


「じゃあ、それっぽいモンスターがいるところに行こう!!」

とサラが言う。それってどこ??と僕らにさらに聞いてくる。


「そうですね。そこの草原のフィールドに何かいそうですよね??」

と奈緒子が僕をチラリとみて言う。

いもの場所は、RPGで言う所の街フィールドから、外フィールドに移る境界線のような場所。そこに僕らはいるのだろう、と思う。


そう、すでにここは、もう街の端っこ。都会を離れた千葉や埼玉の駅から20分歩いた場所、みたいな感じが漂う場所だった。快速がとまるのに、畑がたくさんある、みたいな。


「よし、全部わかった!!」

とサラが笑う。


「草原フィールドへレッツゴー!!」

元気なサラが僕ら二人を引っ張っていく。

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