第九十五話『金の抵抗値、2.21ナノオーム』
そのとき、奈緒子が気がつく、「珊瑚ちゃんそのゴーレムかなり強いです!!」奈緒子は「天秤 - ライブラ」のスキルで敵の強さがなんとなくわかる。
それを聞いて、はっ、と僕が気づく。
「逃げろ珊瑚!その子が『ゴールドゴーレム』だ!!」
僕が叫んだ。ゴールドゴーレムといっても、泥にまみれているので、他のゴーレムと見分けがつかない。ただの小さいゴーレムに見えても仕方がない。
「え、なんやて??」
そう言う珊瑚に、襲いかかる『ゴールドゴーレム』。それは、固く頑丈な拳で高い攻撃力を誇る。子どもだと油断していた珊瑚にその攻撃は直撃してしまった。
「うああぁぁぁぁぁ」
珊瑚が『ゴールドゴーレム』に吹き飛ばされる。
地面にたたきつけられる。
「珊瑚ちゃん!」
水晶が駆け寄って行く。
「かわいい子どものフリして許せない!!」
スキル『雷迅 - ライトニング』を発動させる格闘少女のサラ。全身に電撃を纏い、髪の毛がふわりと浮いている、その様子がサラの怒りとリンクしているように見えた。
「このぉぉっっ」
サラはその掛け声とともに、足に纏った電撃で地面を蹴り、ゴールドゴーレムに飛んでいき、そのまま、電撃の蹴りを入れる。
「あ、まずい!!サラ、『金』は電気を通す!!」
と僕が叫ぶ。しかし、かなり遅かった。事前に伝えられるはずだったのに・・・。
言った直後、自身の電撃を浴び倒れるサラ。
『格闘家の籠手』と『格闘家の靴』以外は絶縁処理がされていない。
「サラちゃん!!」
奈緒子が駆け寄り、スタン状態のサラに状態回復魔法『リフレッシュ』を掛ける。
「金の抵抗は2.21ナノオーム、銀、銅につづいて抵抗値が低い。水より遥かに電気を通す。」
と僕が呟く。現象を整理するため、学校の授業を思い出す。今まで無敵に近かった、サラの『雷迅 - ライトニング』の弱点が浮き彫りになった。
「と、なると炎もダメですか?」と奈緒子が聞く。
「そうだね、信じられないくらい高温なら、燃えなくはないと思うけど、金は熱も良く通す。アルミや鉄よりも。」
と僕は思い出す。
「となると、物理攻撃しかないな、僕が行こう!」
とSSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を構える。
「グググゴゴゴゴォォォォ」
呻くゴールドゴーレム。
そして、攻撃を繰り出してくる。
大きく腕を上げ、僕目掛けて、振り落ろしてくる。
僕はしっかりと動きをみて、なんとか避ける。
大きく振りかぶった腕が、地面に突き刺さる。
「これならはずさないよ!!」
と、僕が大きく振りかぶって『 神の剣 -デュランダル 』で斬りつけ『ゴールドゴーレム』を倒した。光のエフェクトが舞い、半透明になり消える。
と、その時、視線の先に、大きな影が動いた。
それを視線で追おうとした時、奈緒子が僕に向かって叫んだ。
「ジュンさん、後ろにいる、ゴーレム、その『ゴールドゴーレム』より強いです。」
そう、たぶん、今倒した、ゴールドゴーレムの親『ビッグゴールドゴーレム』が現れたのだった。
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