第三十四話『レア宝箱』

宝箱を開いて僕は驚いた。

「こ、これは!!」


このゲーム「ラスト・オンライン」はステージごとの、ボスを倒すと、全員がひとりずつ、『レア宝箱』を開けることが出来るのだった。


このガチャと人間の動きを読み取るコントローラー「バーチャルウォーカー」がゲームの売りでもある。


僕らはなんとか、『冒険者の街』へと続く『森の道』のボス。武装したゴブリン「アーマードゴブリン」4体を倒したのだった。


そして、僕は宝箱を開けた。

「神の鎧 - ゴッドメイル」を手に入れた。


「ま、まじすか・・・」

またもや、SSSランクの防具だった。


これは、僕が最初に手に入れた「 神の剣 -デュランダル 」に続く「神衣 - カムイ」シリーズの鎧だった。

このシリーズをすべて手に入れたものは、神に等しい力を手に入れるという、伝説上の鎧だった。


「すごいのが出た・・・。またSSSランクだ・・・。」

「え、ほんとですか?」

ぼそりと言う僕に対し、ぐっと近づいて、宝箱を覗き込む魔法使いの少女、奈緒子。


「わ、すごい!」

奈緒子のメガネはスキル「天秤 - ライブラ」を持つ。強さを色で判断できるという。彼女にはまた視えたのだろう。「神の鎧 - ゴッドメイル」の強さが。


「これは凄いですね。ここに攻撃したら、全くダメージを与えられないんじゃないかしら。以前戦った最強クラスのドラゴン「ドラゴノス」の色に似てますね」

「ドラゴノス」は最初のクエストで、僕らがLV.1で戦ってしまった、最強クラスのドラゴンのことだ。僕が手にしたSSSクラスの「 神の剣 -デュランダル 」を持っていなければ、傷一つつけることは出来なかっただろう。


そして、この、「神の鎧 - ゴッドメイル」は、それに匹敵する防御力を持つという。いいのだろうか、こんなに最強の武器や道具を手に入れてしまって。


「えー、いいなー、私はまた『格闘家の籠手』というすごく普通な感じのなんですけどぉ、ほんとにこれレア宝箱なの!?」プンプン!と大げさに怒ってみせる格闘少女のサラ。サラはふつうのバンドなどの「ふつうの」シリーズばかり持っていた。実際、ほんとは、それが普通なのだけど。


「レア宝箱で手に入れた武器はスキルがつきやすいと言われてるから、しばらくつけてみるといいかもよ!」

と、僕が雑誌で読んで勉強してあった知識を披露した。同じ武器でもスキルの付きやすさは違うということらしい。なかなか難しいのであった。


「あ、そうなんだー、楽しみ!」

とすでに、シュッシュと『格闘家の籠手』をつけて、素振りするサラ。すると、ピロンという音が鳴った。


「あ、覚えた!」

「え?!」

ぽつりと言う、サラに僕が驚く。


「素振りしてたら、スキル覚えちゃった!!『雷迅 - ライトニング』だって!!強いのかな??これ??」と尋ねるサラ。


僕はつぶやいた。

「『雷迅 - ライトニング』!!それ、Aクラスのスキルだよ!!」

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