第2話 バランス

重い。

夕べは楽しく呑んでご機嫌だったのに。

酒に呑まれることはない。

だから二日酔いじゃない。

目覚めたら何故かこころが重い。

こころの中は鉛色の冬空のよう。

弾まない足取りでワン子の散歩に出た。

重い。

小さなワン子にまで引きずられる、こころ。

自転車に乗った小学生くらいの女の子がやって来た。

渋々ながら自転車を避けようとした。

すれ違いざま、女の子は「おはようございま~す!! 」。

思わず「おはようございます!」と応えた。

鉛色のこころに、こころなしか弾むような陽が射しはじめた。

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