ラブリーネクロマンサー
星丸
ミントゾンビーズ 誕生
少女の名前はミント。魔法使いの両親のもとに生まれた娘で不思議な力を持つ。
ミントの両親は高い魔力を評価され、その国の国王専属の魔法使いとして宮廷に使えていたが、突如隣国の同盟破棄による侵略戦争によって、王族もろとも殺害されてしまった。
ミントは他に身寄りも無く、行く当てもないので、乗っ取られた後の宮廷にて雑用兼奴隷として陵辱されていた。
その地獄のような毎日が嫌で、ミントは隙をみて宮廷から逃げ出し、街はずれの山中の森にある空き家に隠れ住んでいる。
ミントは宮廷での辛い日々忘れる為、両親の残してくれた魔法書(たった一冊だけ手元に残った)を日々熱心に読み、実践し、魔法の修行に没頭した。
その魔法書とは、死者を蘇生し使役する、[ネクロマンサー]が用いる教材である。
ミントは死んだ両親に会いたい一心で死者蘇生魔術を修得することにしたのだった。
ミントはその日も死者蘇生魔術の修行に独り励んでいる。まず手始めに、寂しさをまぎらわす為、ゾンビの友達を作る事を目標にした。その日は初めて手応えのようなものを感じた。
ミント「ニャンニャカ・ニャカ・ニャカ・ニャッ!」ミントが地面に向かい手をかざす。すると次の瞬間地中から、ボコッ‼っと手が飛び出してきた。
腐乱したあまりにも気持ち悪い手に驚き、集中が途切れ、飛び出してきた手はそのまま土にかえってしまった。
ミント「……今、成功しそうだったんだ(;・ω・)」
ミントは更に念を込める…しかし、それ以上進展せず。
ミント「……はぁ、また失敗かぁ(;・ω・)」
「今日はこのぐらいにしよう♪おなかペコペコだよ(ノ´∀`*)」
ミントが魔法の練習をしているのを、街の神父が隠れて一部始終見ていた。 この神父、名前をニヒロという。
ニヒロ「……そりゃぁ無理だろう…あの娘が使おうとしているのは、暗黒魔法だ…しかし、あの娘から感じるオーラは………」
多少の魔力を持つものなら気がつくほど、ミントは不思議な光のオーラに包まれていた。
ニヒロ「おっと、急がねば。仕事仕事。」
ミントが隠れ住む森にはモンスターがたくさんいたが、どのモンスターもミントを襲おうとしなかった。それどころかミントが寝ている間、小屋の周りでその小屋を守っている様な行動をとった。あるモンスターなどは、ミントの為に食料を持ってきたりした。その日もモンスター達が持ってきてくれたごはんをお腹いっぱい食べ眠りについた。
ミントが暮らしていた国、[マジョルカ王国]は滅ぼされてしまい、現在は隣国の[パスカルト国]に名前が変わっている。マジョルカ王国の王族は、他国に嫁いだ二人の姫以外皆殺しにされた。大抵のマジョルカ王国の兵士や騎士、傭兵などは[パスカルト国]に鞍替えしたが、一部の忠誠心の高い者達は散り散りになり反撃の機会をうかがっていた。その為パスカルト国の王は、日々マジョルカ王国の残党狩りをしていた。
雨の日も風の日も、場所を変えながら毎日ミントは魔法の修行に明け暮れた。
その日はついに一体目のゾンビを作ることができた。
ミント「……できた‼あたしの友達第一号♪名前はなんていうのかな?あたしはミント(*´ω`*)」ゾンビ「………あぁあ……」
ミント「まだ生まれたてだから喋らないか、そもそもゾンビって喋るのかな?」
ゾンビ「マ……カラ……」ミント「わぁ今、マカラって言った♪あなたの名前はマカラね(*≧∀≦*)」マカラ「ア……あぁ…」
ミント「よろしくね(*´ω`*)マカラ♪」
マカラ「………あぅ」
これはこれですごい現象だった。普通、ゾンビは喋らない。
マカラは死後数日ぐらいの比較的新しい死体で身体中剣で斬られた傷痕が多数あり、大人数でよってたかって攻撃されて殺された死体だった。
三日後には二体目のゾンビを作ることができた。踊り子の格好をしているかなり美人な女ゾンビである。死後数日ぐらいの綺麗な死体で首を絞められた後がくっきりと残っている。他には下腹部から流血した後がある。おそらく強姦されたのち絞殺されたのだろう。
ミント「わぁ♪素敵な女の人だぁ♪ヽ(´▽`)/」
誰が見てもめちゃくちゃ美人な女性のゾンビが誕生した。
ミント「キレー(*ノ▽ノ)お名前言える?」
ゾンビ「ぁあしあ……うぅ…」
ミント「(*≧∀≦*)アーシアね♪素敵♪」
アーシア「(*´ω`*)」ミント「わぁ♪笑顔になった♪可愛い‼」
普通ゾンビは笑顔を見せない。マカラといいアーシアといいどこか普通のゾンビとは違った。アーシアの笑顔を見て、マカラも笑みを浮かべた。
ミント「(*≧∀≦*)二人ともいい笑顔♪ヽ(´▽`)/」ミント「よろしくねアーシア♪」
その様子を再び隠れて神父が見ていた。
ニヒロ(……嘘だろ?………あの娘の力…素晴らしい)
(聖なる力で、暗黒魔法を使うと……面白い。だがこれは赦される事なのか…)
ニヒロは神父という立場なので死者蘇生魔術には難色を示す。
ニヒロ「おっと、仕事仕事」
ミント「今日はまだいけそうだ(*^_^*)」
ミントは三体目の製作に取り掛かった。
ミント「ニャンニャカ・ニャカ・ニャカ・ニャ♪( ☆∀☆)」ミントは地面に手をかざす。
シ〜〜ン……何も起こらない。
ミント「……アレ?まだいけそうなのに…おかしいなぁ…(;・ω・)」
どうやら連続してゾンビを作るのは無理みたいだった。
ミント「まぁいいや♪おなか空いたし夜も遅いし今日はここまで(*´ω`*)」
ミントが食事しているのを、マカラとアーシアが笑顔で見ていた。時折マカラとアーシアは向かい合って何かを話しているように見えた。うぅ…とか、あぁ…とかしか聞こえてこないが。ミントはモンスター達が置いていった食料を二体に与えてみた。すると、生まれたばかりのアーシアは口にしないが、マカラは少し手に取り口に運んだ。
ミント「(*≧∀≦*)マカラ♪美味しい?」
マカラ「うぅ…(*´ω`*)」マカラはニコッと笑顔になった。それをアーシアも笑顔で見ていた。ミント「……アーシアも、もう少ししたら食べられる様になるのかな?」
アーシア「………」
その日の夜、ミントは二体のゾンビと一緒に眠りについた。不思議と、この二体からは腐敗臭がしなかったが、ミントは初めてゾンビを作った為、腐敗臭がしない事を変だと感じもしなかった。二体のゾンビは目を閉じて横たわり、まるで本当に寝ているかのようだった。
翌日、朝起きるとアーシアはまだ横たわっていたが、マカラは小屋の外でぼ〜っとしていた。まるで日光浴でもしているかのようだった。目覚めたミントは隣にマカラがいない事に驚き、あわてて外に出た。
ミント「(*≧∀≦*)わぁ♪こんなところにいた( ゜o゜)何してるの?」
するとマカラは振り返り笑顔になってハッキリとこう言った。
マカラ「おはよう(*´ω`*)」
ミントはびっくりした。このゾンビはミントに解る言葉でハッキリと朝の挨拶をしたのだ。
ミント「……お、おはよう(*´ω`*)マカラ♪」マカラは挨拶の後、また朝日を浴びてぼ〜っとしている。
ミントが製作したこのゾンビ達には、普通のゾンビには有り得ない[自我]があるのだ。だが、やはりミントはそれがおかしい事だと気づきようがなく、[そういうもの]として、納得した。
その日は、マカラとアーシアが見ている前で三体目の製作に取り掛かった。
ミント「まだまだたくさん友達作るよ〜(*≧∀≦*)ね♪マカラ♪アーシア♪」
マカラ「うん(*´ω`*)」アーシア「………」
ミント「いっくよ〜〜♪ニャンニャカ・ニャカ・ニャカ・ニャ♪( ☆∀☆)」
ボコッと地面が隆起して小さな手がでてきた。ミントと同じぐらいの女の子の手である。更にミントは念を込める。
ボコボコと全身が出てきた。背格好はミントと同じぐらいで可愛らしい女の子のゾンビが誕生した。着ているドレスの様な服から上流階級の貴族の娘だったらしいことがわかる。
ミント「きゃあ♪(*≧∀≦*)可愛い♪あたしミントあなたのお名前は?」少女ゾンビ「…あ……」ミント「……まだ無理かな?」
よくみると少女の後頭部が陥没して穴が空いている。山中にある崖からの落石で命を落としたのだ。この少女もまた死後数日ぐらいの綺麗な死体だった。少女ゾンビはゆらゆらとアーシアの方へゆっくり進んで行った。するとアーシアは笑顔になり少女ゾンビの頭を撫でた。少女ゾンビは口をパクパク動かしている。
アーシア「…で…ぃじぃぃ………(*^_^*)」
ミント「え?デイジーって言った?アーシア?」アーシア「…(*≧∀≦*)」
アーシアは満面の笑みを浮かべる。
ミント「(*≧∀≦*)その子の名前ね♪デイジーっていうのね♪はじめましてよろしくねデイジー♪」
デイジーはミントの方へゆらゆら近寄り、薄汚れたスカートの両端の裾を右手と左手でそれぞれもち、貴族ふうの挨拶をした。それを見たミントも真似して挨拶を返した。
次の日の朝、ミントが目を覚ますと隣にはデイジーだけが横たわっていた。
ミント「……アレ?」
小屋から出て辺りを見回すと少し離れた所にある小川の水辺にマカラとアーシアがいた。
マカラは川の水を飲んでいる。アーシアは朝日を浴びてボーっとしている。
ミント「おはよう(*´ω`*)マカラ♪アーシア♪」
マカラ「おはよう(*´ω`*)マスター♪喉乾いちゃってね(笑)」
作られてから六日目になるマカラは、普通に会話できる様になっていた。
アーシア「(*^_^*)」
アーシアは笑顔で頭を下げて挨拶した。
川で水を飲み、顔を洗うマカラを見てミントは違和感を感じた。
ミント「……?」
(マカラの全身にあった剣で斬られた傷が減っている様な……)
ミント「まぁいいや♪おなか空いたからご飯にしよう♪(*≧∀≦*)マカラ、アーシア♪」
マカラ「よっしゃ♪腹ペコだぜ♪」
マカラは食事中、しきりに自分の身体中の傷のあたりをポリポリ掻いている。
ミント「どうしたの?マカラ、痒いの?(;・ω・)」
マカラ「なんかね(笑)痛痒いんだ(笑)」
ミント「……ふぅん、あんまり掻いたら駄目だよ(ノ´∀`*)」マカラ「あぁ(*´ω`*)」
ゾンビであるマカラに痛覚がある。やはりミントが作ったゾンビ達は普通ではなかった。
ミント「賑やかになってきた(*´ω`*)でも、後もうちょっとぐらい作ろうかな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます