異変…ソレイユ公国

国境を越えたあたりから、デイジーは「あれっ?」や「うそっ?」などとしきりに独り言を言っていた。

街につくなり、みんなも異変に気付く。街全体を陰鬱な淀んだ空気がつつんでいた。

そこかしこ、いたるところに街の住民の遺体が転がっている。

デイジー「え………?なにこれ…そんな、何があったの?」

ミント「そんな……マジョルカと同じだ……」


パスカルト国は、マジョルカ王国を攻め落とした後、一月ひとつき経たずにソレイユ公国にも侵攻していた。

さほど軍事力を持たないパスカルト国が何故これほど他国に侵攻しているのか、これにはわけがある。


[ 蛇の一族]である。

蛇不羅知じゃふらちという名の、蛇の一族の中でも、とりわけ狂暴で戦闘能力の高い[白蛇しろへび]の男が一族の頭領になってから、蛇の一族の国を持ち、本格的に他国に侵攻を開始したのだ。この世界に蛇の一族は全人口の1割もいないが、その中でも[白蛇]はさらに少なく、十数人しかいない。

蛇の一族の国、名前を[オロチ国]という。

大陸から少し離れた西方にある島が丸々[オロチ国]である。

パスカルト国の裏に[オロチ国]が暗躍していた。

意識を取り戻したダイキリが呟く。

ダイキリ「……マジョルカに続きソレイユまで……やはり、本気で世界を………もう終わりだ…………」

ニヒロ「…………(ナイハイロはまだ燻っているのか……)」


デイジーは泣き出しそうになりながらもソレイユ公国の城へ向かうように、絨毯タクシーの運転手に言った。しかし運転手は完全にビビっていて、ここから先は別料金だと主張する。

運転手「俺は危険な場所へ客を運ぶ仕事はやってない!命が幾つあっても足りない!!でも、このぐらい出せるなら、考える…」

運転手は両手を開きニヒロの前に突き出した。

10万…………10万出せば、城まで運ぶという。

デイジー「あ、後払いじゃ駄目?ひっく…うぅ……」

運転手「…………必ず払ってもらうよ?後払いでいい!じゃ、みんな早く乗って!!」

運転手はなかなか男前だった。


城まで軽く2時間はかかる。

リンシュウ「運転手さん、名前はなんていうの?」

運転手「ライ……ライっていいます。」

マカラ「ライさん、もっとスピード出せないの?」

ライ「俺の魔力じゃ、これが限界だよ!!」

ニヒロ「……ちょっと私も力を貸します」

ニヒロがライの肩に手を乗せる。

最強の魔法使い、イクス・ナイハイロの分身であるニヒロから強力な魔力がライに注がれる。運転手も入れて総勢10人も乗っている魔法の絨毯タクシーのスピードが格段にアップした。

ライ「おぉ!あなたは何者ですか?これなら十数分で着きます!」

ニヒロ「(笑)ただの神父です」


城に近づくにつれ、住民の遺体が増えていく。遠くに城が見えてきたあたりで、城から煙が上がっているのがわかった。


まだ戦闘中である。


沢山のパスカルト兵士達が見える。

デイジー「きゃぁっ!!お城が燃えてる!」

ダイキリ「……ちぃッ!!!」


パスカルト兵達の頭上を通りすぎ、城に到着したマカラ達は落ちている武器を手に取り、戦闘準備完了である。

パスカルト兵士「なんだ貴様ら!!」

マカラ「悪ぃな、相手してる暇ねぇんだわ」

デイジーを先頭にマカラ達は城の中へ走り込む。奥から怒号と悲鳴が聞こえてくる。

後を追おうとする兵士達の前にニヒロが立ち塞がる。

ニヒロ「おっと、行かせませんよ?」

ニヒロは城の入口に結界を張った。

パスカルト兵士「な、なんだ?先に進めん!」

ニヒロ「……ふぅ、ライさんもここに居てくださいね?危ないので♪」

ライ「……はい。」

ニヒロ「ダイキリさんはどうしますか?」

ダイキリ「……ここにいますぅ〜〜」

ニヒロ「……駄目って言ったらどうします?」

ダイキリ「……ここにいますぅ〜〜(T^T)」

ニヒロ「仕方ないですね(笑)」



デイジー「ふぇぇ…父上、母上……無事でいて!!」


〜 玉座の間〜

今まさにソレイユ王が襲われる寸前、マカラが数人のパスカルト兵をかわして走り込み、蛇の一族の狂戦士の剣を止める。


デイジー「父上!!ご無事ですか!!!」

デイジーは泣きながら叫んだ。

ソレイユ王「オォ♪ヽ(´▽`)/無事だったかデイジー♪♪あぁ、この奥の間にみんないるぞ!全員無事だぞ!娘よ!!」

デイジー「色々あったけど、ひっく…とりあえずあたしは大丈夫です(*≧∀≦*)父上!!ぐすっ」

ソレイユ王は割って入ったマカラに頭をさげる。

ソレイユ王「誰だか知らんが、すまない、感謝する!若者よ!!」


ルドラ「マカラはえぇ〜!」

パライソ「さっすがマカラ先輩なんだな♪」


蛇句羅じゃくら(白蛇)「………なんだてめぇ?」

マカラ「なんでもねぇけど?」

蛇句羅「なら、邪魔すんなよ?(…こいつ、俺の剣を止めやがった…)」

マカラ「邪魔しにきてんだよ(笑)てめぇの」

蛇句羅「……ほぅ、この俺と戦う気か?死ぬぞてめぇ?」

マカラ「どうかな(笑)何人もいるんなら別だが、蛇が一人ぐらいどうだろうな?」

蛇句羅「……(# ゜Д゜)完全に舐めてるな(笑)俺が白蛇だと知っても、平気か?」


マカラ「!」(なんだろ?ちっとも怖くねぇ(笑)以前なら、真っ先に逃げる事を考えたのに)


ゾンビの特性の一つに、怪力がある。勿論それだけでは無いが。


ただでさえ強いマカラ達に、[ゾンビ]の怪力がプラスされ、戦闘能力が跳ね上がっているのだ。

マカラ「白蛇か(;・ω・)でも、なんか負ける気しねぇ(笑)」

ルドラ「マカラ♪タイマンだぞ?俺等は回りの雑魚処理だ(笑)」


蛇句羅のほかにも、蛇は数人いる。ソレイユの近衛兵を倒し、みんな返り血を浴びて真っ赤である。ルドラに雑魚呼ばわりされて激昂して襲いかかってきた。



ミント「ゆけーーッ!!!あたしのゾンビ達!!!」

リンシュウ「ラジャー!」

マカラ「ブラジャー!!」

ルドラ「おパンティーッ!!!」

パライソ「スキャンティーーッ!!!」

アーシア「………てぃ、Tバックゥッ!!!」

デイジー「ふぇぇっ(;つД`)ソレイユを守ってぇー……あっと…えぇと、ブーメランパンツゥッ!!!」


ミント「………えっと、

アーシアとデイジーはあたしのそばにいてよ…」

アーシア「あい(///ω///)♪」

デイジー「うん♪ぐすっ…」


ふつうの戦士達なら束になっても、蛇の一族には敵わないが、ゾンビ達は強かった。

マカラと蛇句羅が激しく戦ってる側で、他の蛇達とパスカルト兵士達の大人数を相手にルドラ達は互角以上に渡り合っている。

蛇句羅「………!!貴様達何者だ?なんなんだこの強さは?」

マカラ「お気楽な正義のヒーローダゼ♪(笑)」

蛇句羅「………!!馬鹿にしやがって!!」


蛇句羅「だいたいありえねぇだろ?俺たち蛇の一族だぜ?なんなんだこのザマは?」


マカラは蛇句羅の剣撃をことごとく止める。逆にマカラの攻撃が蛇句羅を捕らえ続ける。

マカラ「オイオイ、傷だらけだぜ?大丈夫か?おまえ」

蛇句羅「!!クソがっ!!はぁっはぁっ」

マカラ「(笑)息が上がってるぞ♪」

蛇句羅「な、なんで貴様はそんなに動き続けられるんだ!はぁっ……はぁっ……」

マカラ「ん〜〜?絶好調だからじゃね?」

蛇句羅「………!!と、とことん、なめくさりやがって」

マカラ「なんだ、白蛇もこの程度か(笑)」

蛇句羅「くそがッ!!!」


ルドラ、パライソ、リンシュウの三人は蛇句羅以外の蛇の一族達を打ち倒した。


パスカルト兵士「馬鹿な!!」「なんなんだコイツら!?」「ひぃえぇ〜〜〜〜〜〜!」

蛇達が敗れさったのを見て、残りのパスカルトの兵士達は逃げ出した。


入口で結界を張っているニヒロの元へ城内にいた兵士達が押し寄せる。

ニヒロ「おやおや、ここまでしておいて、今更逃げようってのは、いささか虫が良すぎますね(笑)」

パスカルト兵士「じゃ、邪魔だ!どけっ!!!」

ニヒロ「仕方ないですね(笑)全員お仕置きです(*´ω`*)」


城の入口のほうから沢山の悲鳴が聞こえてきた。

ルドラ「お?神父さん大丈夫かな?」

パライソ「あの人は大丈夫なんだな♪♪」

ルドラ「パライソが言うなら大丈夫だな(笑)」


蛇句羅の動きが鈍くなり、そろそろマカラが勝負を決めようとする時、離れて見ていたもう一人の白蛇が割って入る。


マカラの剣を止める。


蛇孔じゃこう「そこまでにしとけ?……あ〜〜…くっだらねぇ……」「なんなんだ、この茶番は……」


この白蛇は明らかに他の蛇達とは雰囲気が違った。

蛇句羅「………!!邪魔すんじゃねえよ!!!」

蛇句羅が激昂して言う。その刹那、マカラが言う。

マカラ「蛇孔!!!」

マカラはこの白蛇を知っていた。

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