XYZ

がたがたの赤いMINIは、高速道路をがたがたと走る。

コイスルサカナ、16サイ。コイビトの職業をきけないままでいた。

「サカナ、海と水族館とどっちがよか?」

「サカナっぽい方」

「よし」

がたがたと赤いMINIは地面を鳴らす。

座り心地がいいのと、居心地がいいのだったら、サカナは居心地がいいのがいい。

がたがたがたがたがた

着いたのは波止場だった。いくつもコンテナが並んでいる。

サカナは、彼氏の職業を、きけないままでいた。

コイスルサカナ、考える。ここってサカナっぽいか?

否、

サカナっぽくないよ!

コイスルサカナ、慌ててドアを開け、ぴょーんごろごろごろ…

ごろごろ

回転の勢いと車の慣性で飛ばされたその先、サカナはごちんとコンテナに側頭部をぶつける。

痛い。逃げなければ。きっと、これから取引が始まるのだ。

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